つながり ~君は1人じゃない~   作:ティア

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2月ももう終わりですね。3月にはバミューダ、4月には高校生編の最後のブースター発売か。ふ〜ん…………。

…………。

……。

…。


一体いつの話してんだ、この小説()


ride88 芽吹く花、照らす光

「ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンドか……」

 

クリスマスカップ4回戦。俺――小沢ワタルの対戦相手は、秋にも強敵として立ちはだかったチーム、祝福の星のメンバー、柳田ケンゴ。

 

そして今、俺はグレード3であるジ・エンドにライドしたところ。向こうはまだグレード2だし、まだファイトは中盤に差し掛かったくらいだ。

 

「ジ・エンドの後ろに、ドラゴンナイト アシュガル(7000)をコール!」

 

ブレイクライドは使えなかったが、今回はいいだろう。切り札のヌーベルバーグはグレード4。まずは何かしらのグレード3にライドしないと、そもそもライドすることすらできないからな。

 

「そのままブースト!ジ・エンドでアタック!(18000)」

 

「ノーガードしよう」

 

「ツインドライブ。1枚目……ブルーレイ・ドラゴキッド。ゲット!クリティカルトリガー!パワーはベリコウスティ(14000) クリティカルはジ・エンドへ!(18000 ☆2) 2枚目……おっ、ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンドだ」

 

「……ちっ」

 

ジ・エンドの銃口から、カイヴァントに向かって炎の弾丸が発射される。痛みと高熱がカイヴァントを襲い、苦しそうな表情を見せていた。

 

「ダメージチェック、1枚目……深翠の主 マスター・ウィステリア。2枚目……月下美人の銃士 ダニエル。クリティカルトリガーだ。効果は全てカイヴァントへ(14000 ☆2)」

 

トリガーを引いたか……。けど、ちょうど運よくジ・エンドが手札に来たからな。このチャンス、活かしてやる。

 

「ジ・エンドのスキル!CB2、ペルソナブラスト!これでジ・エンドはスタンド!再アタックできる!」

 

ジ・エンドが翼を広げて、咆哮を上げる。もう1度、行かせてもらおうか。

 

「ジ・エンドで、カイヴァントにアタック!(11000 ☆2)」

 

「トリガーが乗っているにもかかわらず、ヴァンガードを狙うか……だが、ガードだ。ハイビスカスの銃士 ハンナ!」

 

別に考えなしじゃない。折角クリティカルが上がっているんだし、トリガー1枚で突破できるならそこを突いてみようと思っただけ。ま、ガードはするだろうけど。

 

とは言え、ガードされたならそれまで。手札も使わせることができたし、別にこのターンで無理に勝負を決めるつもりでもないからな。

 

「ツインドライブ!1枚目、ヌーベルクリティック・ドラゴン。2枚目、ドラゴンモンク ゴジョー。トリガーはないか」

 

ジ・エンドが、今度は大剣で攻撃する。が、ハンナが身を挺して守ったことで、その間にカイヴァントが後方に距離を取る。

 

「ガトリングクローのブースト、ベリコウスティでアウグストにアタック!(18000)」

 

「ノーガードだ。アウグストは退却」

 

「よし、ターンエンド」

 

 

ワタル:ダメージ3(裏3) ケンゴ:ダメージ3(裏1)

 

 

「俺のターン、スタンドアンドドロー。芽生えよ!自然を統べる主の名のもとに!ライド!深翠の主 マスター・ウィステリア!!(11000)」

 

カイヴァントが輝きに包まれ、緑の剣を携えたユニット、マスター・ウィステリアへと変貌を遂げる。銃士ではないが、これはブレイクライドのユニット。ヴァンガードの火力を上げるために投入されたのか。

 

「鈴蘭の銃士 レベッカ(7000)をコール!スキル発動。CB1、ミルッカを退却させ、山札の上から4枚見て……パンジーの銃士 シルヴィア(7000)をスペリオルコール!」

 

ミルッカが蕾となり、芽吹いた花からシルヴィアが現れる。すると、シルヴィアは剣を地面に突き刺して、新たなる花を咲かせようとしている。

 

「さらにシルヴィアのスキル!コールされた時、山札の1番上のカードを公開し、それが銃士のユニットならコールできる。……よし、鈴蘭の銃士 カイヴァント(9000)をスペリオルコールだ」

 

「カイヴァント……って事は」

 

「そうだ。カイヴァントのスキル!CB1、シルヴィアを退却。山札の上から4枚見て……再びパンジーの銃士 シルヴィア(7000)をスペリオルコール!コールされたシルヴィアのスキル!山札の上の……タンポポの銃士 ミルッカ(6000)をスペリオルコール!」

 

1体しかいなかったはずのリアガードが、一気に4体まで増えた。しかも、ノーマルユニットがデッキから多くいなくなったことで、トリガーを引きやすくもなっている。

 

「レベッカのブースト、シルヴィアでベリコウスティにアタック!(14000)」

 

「ち……!ノーガード!」

 

細身の剣を持ったシルヴィアが、ベリコウスティの体を切り裂いて行く。

 

「ウィステリアでアタック!(11000)」

 

「……ブルーレイ・ドラゴキッドでガードだ!」

 

「ツインドライブ。1枚目、ハイビスカスの銃士 ハンナ。ヒールトリガー。ダメージを1枚回復し、パワーをカイヴァントへ(14000) 2枚目、蒼薔薇の銃士 エルンスト。スタンドトリガー」

 

ここでダブルトリガーかよ……。運がいいな。

 

「シルヴィアをスタンドし、パワーも与える(12000)」

 

「ち……!」

 

「シルヴィアでアタック!(12000)」

 

「ここは、ゴジョーでガードだ!」

 

「レベッカのブースト、カイヴァントでアタック!(21000)」

 

「……ノーガード」

 

クリティカルトリガーが出なかっただけでも良かったと思いたい。まだ満足に手札を蓄えることができていない今、致命傷を負う事だけは避けておきたいからな。

 

「ダメージチェック……ドラゴンダンサー バルバラ。よし、ヒールトリガー!ダメージを1枚回復。パワーはジ・エンド!」

 

こっちもトリガーに助けられたって事……だな。

 

「ターンエンドだ」

 

 

ワタル:ダメージ3(裏2) ケンゴ:ダメージ2(裏2)

 

 

「俺のターン、スタンドアンドドロー!」

 

さて、この状況……まだ五分五分ってところか。けど、リアガードを展開して優位に事を進めているのは、間違いなく向こうだ。

 

だったら、少しでも立て直さないとな。そのための力は、最初から手札に持っていた。

 

「新たな時代は、暗雲裂く炎と共に!今こそ変革を呼び覚ませ、全てを超えし龍よ!ライド!超越龍 ドラゴニック・ヌーベルバーグ!!(13000)」

 

ジ・エンドの姿が光に包まれ、人の姿に近い細身の竜へと変化する。全てのユニットの先を行く……グレード4のユニットが、その姿を現した。

 

「ヌーベルクリティック・ドラゴン(9000)と、ドーントレスドライブ・ドラゴン(11000)をコール!ドーントレスで、ウィステリアにアタック!(11000)」

 

「シルヴィアでインターセプト!」

 

「だったら、アシュガルのブースト、ヌーベルバーグでアタック!アシュガルはヌーベルバーグをブーストした時、パワープラス3000!さらにヌーベルバーグのスキル発動!このアタックはグレード0でガードされない!(23000)」

 

まるで大型のサイレント・トムだな。しかもヴァンガードのアタックとなると、トリガーの事も考えないといけない。

 

……トム、か。次にあいつとファイトできるのは、いつになるんだろうな。

 

「なら、ガードする必要はないな。ノーガード」

 

「ツインドライブ!1枚目、ブルーレイ・ドラゴキッド。ゲット!クリティカルトリガー!パワーはクリティックへ(14000) クリティカルはヌーベルバーグへ!(23000 ☆2) 2枚目、同じくブルーレイだ。効果も同じように与える!(クリ 19000)(ヌーベル 23000 ☆3)」

 

ヌーベルバーグから迸るエネルギーの奔流が、ウィステリアを飲み込んでいく。クリティカルが増加したことで、その威力は通常よりも大きくなっていた。

 

「ダメージチェック。1枚目、白百合の銃士 セシリア。2枚目、ダンガン・マロン。クリティカルトリガーだが、確かヌーベルバーグには……」

 

「あぁ。ヌーベルバーグのスキルによって、自分ターンで発動する相手トリガーの効果をすべて無効にする!」

 

運に頼ることは許されない。持てる力だけで抗う事しか、ヌーベルバーグの前では意味をなさない。

 

「……なら、トリガーはスルーし、3枚目だ。桜の銃士 アウグスト」

 

「ガトリングクローのブースト、クリティックでアタック!(23000)」

 

「ハンナでガード。さらにカイヴァントでインターセプトだ」

 

「くっ……。行けると思ったんだけどな。ターンエンドだ」

 

 

ワタル:ダメージ3(裏2) ケンゴ:ダメージ5(裏2)

 

 

「俺のターン。スタンドアンドドロー。まさか、あのまま終わるわけがないだろう。俺の切り札が、まだ戦場に立ってすらないんだからな」

 

「そうか。なら、このターンで来るって事か?」

 

「察しがいいな。まさにその通りだ」

 

と言う事は、あいつだな。さっきダメージにも1枚落ちていた、あのユニットがライド先だ。

 

「……行くぞ、黒き未来を白く染める、純真なる花を咲かせよ!ブレイクライド!白百合の銃士 セシリア!!(10000)」

 

ウィステリアの足元から、辺り一面に草原が広がる。そのまま光に包まれてウィステリアが消えると、残ったのは美しい蕾。

 

徐々に膨らみ、清廉な白の花弁を見せた花から一緒に現れたのは、白百合の名を有した銃士、セシリア。帽子のつばを持ち上げ、華麗に跳躍して地面に降り立った。

 

「ブレイクライドスキル。CB1、レベッカとミルッカを指定し、山札から同名のユニットを1体ずつ探してスペリオルコール!(レベ 7000)(ミル 6000) さらにセシリアにパワープラス10000!(20000)」

 

リアガードが一気に増える……。ミルッカはセシリアの後ろ、レベッカは元いたレベッカの前にコールされた。

 

「レベッカのスキル!CB1、もう1体のレベッカを退却させ、山札の上から4枚見て……パンジーの銃士 シルヴィア(7000)をスペリオルコール!」

 

それだけじゃない。コールしたユニットからのスキルの連鎖……まだユニットは増えるな。

 

「シルヴィアのスキル!山札の1番上のカードを見て、銃士のユニットならコールできる。……運がいいな。鈴蘭の銃士 カイヴァント(9000)をスペリオルコール!」

 

「くそっ……まだ続くのかよ!?」

 

「カイヴァントのスキル!CB1、シルヴィアを退却させ、山札の上から4枚見て……桜の銃士 アウグスト(9000)をスペリオルコール!」

 

ブレイクライドと合わせて、リアガードをフル展開されてしまった。セシリアにはドロップゾーンの銃士を5枚戻すことで、デッキからセシリアを2枚コールできるリミットブレイクがある。が、この状況では必要ないだろう。

 

「レベッカのブースト、アウグストでアタック!銃士を含むヴァンガードがいるなら、パワープラス3000!(19000)」

 

「ノーガード!ダメージチェック、ヌーベルロマン・ドラゴン」

 

アウグストが高く飛び上がり、ヌーベルバーグの胴体を落下の勢いに任せて斬りつける。これでダメージは4か。

 

「ミルッカのブースト、セシリアでアタック!このターン中に山札がシャッフルされていることで、ミルッカのスキルでパワープラス3000!(29000)」

 

しかも厄介なのは、全ての列のパワーラインが18000以上である事だ。パワーが13000と一回り高く、高い防御力も誇るヌーベルバーグに対しても、シールド値が最低10000必要となってくる。

 

特にヴァンガードは、ブレイクライドでパワーも上がっている。数値で止めようとしても、限界がある。

 

「ここは、ワイバーンガード バリィで完全ガード!コストはブルーレイ!」

 

機関銃を打ちながら、バリィがヌーベルバーグの前を守る。セシリアはまともに近づけず、後続のユニットに指示を出す。

 

「く……ツインドライブ!1枚目、蒼薔薇の銃士 エルンスト。スタンドトリガー!」

 

クリティカルトリガーじゃないだけマシか。ダメージ4の今、ノーガードできない状況を作り出されてしまうのは辛い。

 

「効果は全てアウグストに(14000) 2枚目、蒼薔薇の銃士 エルンスト。スタンドトリガーだ」

 

「なっ……ダブルスタンドトリガーだと!?」

 

「レベッカをスタンド。パワーはカイヴァントへ!(14000)」

 

ある意味で恐ろしい布陣の出来上がりだ。1回はノーガードで切り抜けられるが、トリガー込みのパワーラインを、どう攻略するか……。

 

「もう1度、レベッカのブーストでアウグストのアタック!先ほどと同じく、パワープラス3000!(24000)」

 

「……こいつはノーガード」

 

2度目の斬撃を受け、ヌーベルバーグもやや後ろに体をそらす。ダメージにはバーサーク・ドラゴンが入り、トリガーも発動しない。まさに絶体絶命の状況だ。

 

「これで終わりにしよう。ミルッカのブースト、カイヴァントのアタック!ミルッカはスキルで、パワープラス3000!(23000)」

 

カイヴァントが後退したヌーベルバーグの背後を取り、ミルッカのサポートを受けて攻撃を仕掛ける。ヌーベルバーグは何とか気づいたが、時はすでに遅く……。

 

「……まだだ!ブルーレイ・ドラゴキッドでガード!ヌーベルクリティックでインターセプト!」

 

だが、その進路を阻む1発の光弾が。荒野の陰から打ち出されたその銃弾は、ブルーレイによるものだった。その隙に、ヌーベルクリティックがカイヴァントを押しのける。

 

「ダブルトリガーでも届かないか……。ターンエンドだ」

 

 

ワタル:ダメージ5(裏2) ケンゴ:ダメージ5(裏5)

 

 

「俺のターン、スタンド……アンド」

 

今の怒涛のアタックで、俺の手札は……0だ。前列は1体欠け、まともに動けるのはヌーベルバーグだけ。グレード0でのガードを封じるとは言っても、インターセプトが2回ある。手札も4枚あり、このままでは突破は厳しい。

 

そうやって弱音を吐いたところで、次のターンを回してしまえば確実に負けてしまう。やはり、佐原が言うだけの事はあるってことだ。この男、強い……!

 

「…………」

 

だが、この状況を打開するための方法が、俺には1つだけある。そのために、あのカードを引くことができるのなら……まだ、可能性はある。

 

「ドロー……」

 

運命を分ける1枚。そのカードを見た俺は、確信した。まだ俺にも、運はついていると。

 

「……こっちも、行かせてもらいます」

 

俺は手札のカードを、あいつに堂々と見せびらかす。起死回生のカード。それは……。

 

「ヌーベルバーグのリミットブレイク!CB3、SB3、そして……ペルソナブラスト!これにより、相手のリアガードを全て退却する!」

 

「……何っ!?」

 

ヌーベルバーグが、セシリア以外を焼き尽くしていく。1人残されたセシリアは、ただ茫然とヌーベルバーグを見上げるしかない。

 

「これでインターセプトは使えない!アシュガルのブースト、ヌーベルバーグでアタック!アシュガルはスキルでパワープラス3000!ヌーベルバーグはスキルで、グレード0でのガードを封じる!(23000)」

 

奴の手札4枚のうち、3枚はグレード0だ。残りの1枚が完全ガードない限り、まずガードすることは不可能。

 

だが、インターセプト要員を残してしまえば、まだギリギリガードできるだけのシールド値を用意されてしまうかもしれなかった。だからこそ、俺はこのリミットブレイクに賭けた。そのために必要だったのが、ペルソナブラストに必要な1枚、もう1枚のヌーベルバーグだった。

 

「……見事だ。ここは潔く、ノーガードしよう」

 

そう言って見せた手札は、判明済みのグレード0が3枚。そして……睡蓮の銃士 ルース。グレードは1だったが、完全ガードのカードではなかった。

 

「ツインドライブ……どちらも、トリガーはなし」

 

「ダメージチェック、赤薔薇の銃士 アントニオ。ここで完全ガードを引くとは……。俺の負け、だな」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「負けたな……まだまだみたいだ」

 

「いや。俺もヌーベルバーグを引けなかったら、負けてたと思います」

 

握手を交わし、そのまま2人でMFSを離れる。紙一重の差だったし、もう1回ファイトしたら結果はどうなるかわからないな。

 

さて、星野の方はどうなっているか……。

 

「アルフレッドのスキル!CB2、デッキトップのカードをスペリオルコールする!……来た!絆の解放者 ガンスロッド・ゼニス!!さらに手札から、小さな解放者 マロンをガンスロッドの後ろにコール!」

 

おっ、順調そうだな。しかも、このままいけば勝てそうな勢いじゃないか?

 

「アルフレッドのリミットブレイク!解放者のリアガードは5体、フルパワー!!パワープラス10000!ヨセフスのブースト、行け!アルフレッド!!」

 

「う……ノーガードです……」

 

アルフレッドが相手のヴァンガードを切り裂き、ダメージを与える。これでダメージが6枚となり、シオリが勝利した。

 

「ほう……星野シオリか。どうやら、腕を上げているのはお前だけではないらしいな」

 

「当然ですよ。秋予選で果たせなかった夢のために、俺たちはここにいるんですから」

 

MFSも機能を停止し、シオリがデッキをしまいながら歩き出す。と、目の前で談笑するワタルとケンゴの姿を見つけ、声をかける。

 

「小沢君!と……柳田さん!?」

 

「さっきのファイトの相手だったんだ。何とか勝てたけどな」

 

「そうだったんだ……。あ、お久しぶりです。柳田さん」

 

「あぁ。お前たちも優先参加権目当てだろう?俺も、月城たちと参加して優勝を狙っている」

 

「えっ、ミズキもいるんですか!?」

 

ここまで遭遇していなかったから、いないと思っていたんだけどな。でも、この先ファイトすることになるなら、最上君とは別の意味で厄介な相手になりそうだね……。

 

「平本は負けたがな。初戦敗退だ」

 

「あいつが、初戦敗退?手札が悪かったりしたのか?」

 

「いや、平本のプレイングは問題なかった。ただ、相手が悪かったと言うのが正しいだろうな」

 

平本さんほどのファイターが初戦で負けるくらいだ。相当強いファイターが紛れ込んでいるんだろうな。

 

……まさか、本当にノスタルジアの1人、過去の追憶って言われているヴェルレーデって人物が参加してるなんてことはないよね。うん。そう信じたい。

 

「月城はまだ残っているな。……ん」

 

「「ん?」」

 

柳田さんの視線の先、BブロックのMFSが起動している。1人は、さっきファイトしていた人物。破滅の翼の1人を下した、サンクチュアリガード使いだ。そして、もう1人が……。

 

「ミズキ……!今からファイトなんだ……」

 

「そうらしいな。ちょうどいい。どうせ観戦するなら、近くで応援させてもらうとしようか」

 

「私も一緒に見てもいいですか?ここに参加している以上、きっと腕を上げていると思うんです。その強さ、1度見たいと思ったので……」

 

「畏まる必要なんてない。月城との仲だろう。それに、あいつは俺以上に強くなっているぞ?」

 

「柳田さん以上に……」

 

私たちは邪魔にならないように場所を確保し、ミズキのファイトを見守ることにする。まだこっちには気づいていないのか、真剣な面持ちで手札を確認しているみたいだった。

 

「……ミズキ」

 

どれほど強くなっているのか。2人のファイトが、今始まろうとしていた……。

 


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