The Last Stand   作:丸藤ケモニング

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遅くなりましたニューイヤー。今年もよろしくお願いします。

今回もご都合主義全開でお送りいたします。





29,その頃の人たち 3

 ラナー·ティエール·シャルドロン·ライル·ヴァイセルフは、常と変わらぬ笑顔を浮かべ、竹馬の友にして唯一の外からの情報と外への影響力としての駒であるラキュース·アルベイン·デイル·アインドラと机を挟んで向き合っていた。その右脇には女忍者であるティアが、物陰に潜むようにティナがいた。

 今日、この三人を呼び出したのはラナーである。正確に言うならば、ラナーの知り合いが呼んでくれと頼んできたのだが。

 とは言え、久しくあっていない友人に会うのは楽しいもので、ついつい脱線して雑談をしてしまったのだが、その程度であの方がヘソを曲げると言うこともないだろうし、気にしないで話を続けていたが、やはりと言うか、話は次第にラナーが昔からラキュースに話していた事へと移って行く。内容に関しては、簡単に言うならば彼女が王になるため、予めやっておかねばならないこと。しかしながら、以前よりもそれはさらに難しい事になっていると、ラナーは顔をしかめる。

 

「数年前ならばいざ知らず、現在の貴族連中の支配力には、些か舌を巻きますわ。無論、レエブン侯も様々に手を尽くしてその力の伸びを押さえてくれておりますし、ザナック兄様もそれとなく牽制してくれてますが、やはり一番上の兄様と進退極まりつつある父上が足を引っ張りますわねぇ」

「それと、あいつらね。八本指……いえ、今は一部門減って七本指、だったかしら?」

「……減ったのですか?それはまた、なぜ?」

 

 ラナーの疑問に答えたのは、ラキュースではなく椅子に座って二人を眺めて涎を垂らしていたティアであった。

 

「よく分かってはないけど、奴隷部門その方向から撤退した。化け物がどうとかこうとか?」

「なるほど……フフ、さすがですわねぇ」

「?ラナー、なにか知ってるの?」

「ええ、それはもう……ただ、私に話してくれてなかったのは何故か、後で問い詰める必要がありそうですわね」

「うん?ああ、もしかして、前に話してくれた『先生』と言う人が関係してるの?」

 

 ラキュースが合点がいったとで言うような表情で問いかけると、それこそ花が綻んだように笑った。

 

「ええ、そうよラキュース。……あぁ、そうそう、今日、ラキュースを呼んだのは、実は私ではなく、その『先生』なの。ちょっとなにか用事があると言って出ていかれたけど、もうすぐ戻ってくるわ」

 

 何故かウキウキした様子でそう口にするラナーを怪訝な表情で見つめるラキュース。以前から『先生』の話をするときは、どこか浮き足だったような所が有りはしたが、今日のこれはそれとは少し違う、そんな感じが見てとれたからだ。

 そもそも、その『先生』とやらと、何処で出会ったのか今まで幾度か聞いてみたものの、軽い調子ではぐらかされてばかり、その人物がどのような顔をしているのかも説明されたことがないのだ。無論、この頭が良く、非常に勘が鋭い友人が騙される等と言うことはあり得ないが、一応注意をしておこう。そう心に決め、ラキュースは紅茶を口に含む。

 その時、ティアとティナ、二人が怪訝な表情で周囲を見回す。やや緊張を含んだ様子であるのを見てとったラキュースは、椅子から立ち上がりラナーの側へと歩みより、あくまで護身用の細剣の柄に手をかける。しかし。

 

「ラキュース、それにティアさんティナさん、大丈夫です。先生と、あら?お友達が来てくれましたわ」

「やぁやぁ、遅れてすまない愛しい教え子。少し気になることがあったものだからね。ああっと、ラキュース·アルベイン·デイル·アインドラ殿、出来れば武器から手を離してもらえないだろうか?こう見えて、僕は中々臆病なんだ。君のような実力者に武器を抜かれては、少々、あーっと、そう、困ったことになってしまう」

「ぷにっとさん、さすがにちょっと馬鹿にしすぎですよ?ああ、勘違いしないでくださいね?僕たちはラナーさんの先生と友人で、それ以上でもそれ以下でもないですからね~?」

 

 隣の、ラナーの寝室から聞こえてくる男の物とおぼしき声に、ラキュースはラナーの顔を見る。何時ものように微笑んでいるが目は笑ってない。その、細く白い手がラキュースの手に触れる。

 

「ラキュース?いくら貴女でも、先生への無礼は許しませんよ?」

「アッハイ」

 

 なんか知らないが物凄く怖い。そう思いつつ、大人しく剣の柄から手を離し、ティアとティナに向かって一つ頷くと、二人も渋々ながら苦無を懐にしまう。

 

「ラナー、友人に向かって脅しをかけるのは感心しないなぁ、僕は。それにラキュース·アルベイン·デイル·アインドラ殿は特に間違ったことはしていない。むしろ、友人である君を守るためにやっているのであって誉められこそすれ貶したり脅したりするような事ではないよ?あ、ところでそろそろそちらへ出ていっても構わないかな?いい加減、壁越しに会話をするのはどうなんだろうと僕なんかは思ったりするわけだが」

「ええ、出てきても構いませんわ先生。それと、ラキュース、ごめんなさいね?私、先生の事になると、ちょっと感情的になってしまうの」

 

 テヘペロ、とでも擬音を出しそうな仕草と表情でラナーが悪びれもせずにそう言うのを、いつもの事かとため息をつくラキュース。しかし、その人物が隣の部屋から姿を現すと同時、表情も含めた全てが凍りついた。

 

「ふむ?この席、座っても構わないかな?」

 

 それは、植物の蔦を人間の形に無理矢理纏めたようなそう言った類いのモノだ。いっそ邪悪な雰囲気も感じられるそれはしかし、ラナーの返事を待たずに勝手に椅子に座り、あろうことか恐らく口である部分で紅茶を一啜りする。

 

「ふむ……僕は紅茶には詳しくないんだけど、これはいい葉を使っているね。いや、本当は分からないけど知ったようなことを口にして場を和ませようと思うんだが、失敗だったかな?」

「そりゃぁ失敗ですよぷにっとさん。僕らは見かけ通りの異形種なんですからね?普通は警戒されますって」

 

 続いて出てきたそれは、真っ黒な粘度の高そうな水の塊、スライムだったが、何故か喋っている。基本、ああいうモンスターは喋らない。むしろ、喋る知性を持っていないと言うのが定説だ。それが、目の前で体を震わせながら喋っているのだから、もはや驚愕しか無いラキュースとティアティナ姉妹。そんな固まってしまった三人を前に、ラナーは嬉しそうにそのスライムへ、笑顔を浮かべたまま無防備に歩み寄る。

 

「ヘロヘロさん、お久しぶりですわね」

「おひさーです、ラナーちゃん。一年ぶり位かな?綺麗になったねぇ、見違えたよ」

「ふふ、ヘロヘロさんは相変わらず口が上手いですね。あ、久しぶりに、あれをやってもいいですか?」

 

 ヘロヘロが答えを口にするよりも早く、ラナーはその身をヘロヘロに向かって投げ出す。小さく悲鳴をあげるラキュースと慌てて駆け出そうとするティアとティナを手で制したのは蔦男だった。スライムへ身を投げ出したラナーは、一瞬その体に沈み込んだが、次の瞬間にはスライムの体?の上でポヨンポヨンと揺らめきながらリラックスして寝転がっていた。

 

「は~~~……ヘロヘロさんの体は、本当にいい感触ですわ~~癒されますぅ」

「それは良かった。ただ、今度からはちゃんと返答を待ってね?」

 

 その様子を見て三人の冒険者がホッと息をついたのを確認して、蔦男ことぷにっと萌えは椅子から軽やかに立ち上がり、ラキュースに向かって深々と頭を下げた。

 

「まずは……初めましてラキュース·アルベイン·デイル·アインドラ殿。僕はぷにっと萌えと申す見た通りの異形でありますな。種族に関しては取り敢えず置いておくとして、ひとまず話を致しましょう。さぁ、どうぞ椅子にお座りください。それと……そちらの双子の忍者さん……ティアとティナだったかな?一先ず、我々は争うつもりは無いので、どうか警戒を解かれますよう、お願いします。とは言え、警戒するなと言うのは無理からぬこと。さて、どうしたものか……?」

「……ええと……貴方がラナーの言う先生で、問題はないのですか?」

 

 ラキュースの言葉にぷにっと萌えは軽く首を捻り、そして一つ頷いて答える。

 

「まだまだ教育者としては至りませんけど、一応先生の真似事のようなことはさせていただいていますね。無論、このような姿形の輩が良からぬことを教えているのでは?そのような疑問を覚えられるのも事実。しかし、戦術や戦略に関すること、人の心を動かす方法などは教えましたけど、後は彼女が独力で昇華したもの。僕は見守っていた、そう言うのが正しいかもしれません。あ、お茶菓子食べていいですか?」

 

 ほぼほぼ一方的に喋ったと思ったら、今度は返事も聞かずにお茶菓子をモソモソと食べる。それを見ながらラキュースは首を捻る。つまり、この人物に対してどのような接し方をすべきか。少なくとも、ほぼ一方的に喋っているだけであったが、見るからに己の意思で喋っているのは間違いがなさそうだ。その言葉は人間の感情のようなものは薄そうな印象を受けはしたものの、ラナーが信用どころか信頼している様子からも、決して悪人ではないかもしれない。少なくとも見かけ通りの化け物と言うことはなさそうではある。

 一旦、ラキュースは目の前のぷにっと萌えから目を離しティアとティナに目を向けるが、戻ってきた返答は肩を軽く竦めると言う動作だけだった。つまり、これがどういう存在でどういう立ち位置なのか判断できないと言うことだ。一方に目を向けると、漆黒の粘体の上で今にも鼻唄を歌い出しそうなラナーと、その粘体全てをプルプル震わせながら歌を歌っているスライムの姿が目に入る。実に平和な光景だ、たぶん。

 

「ええと、ぷにっと萌えさん、でしたか?挨拶が遅れたことを謝罪いたします。アダマンタイト級冒険者、ラキュース·アルベイン·デイル·アインドラと申します。長いのでラキュースで結構です」

「これはご丁寧に。しかも、人類の切り札と呼ばれるアダマンタイト級冒険者であられるのに、傲慢なところがないのですな。おっと、皮肉ではありませんよ。人間、身に余る強さを手に入れれば傲慢になる。そうなっておられないと言うことは、実に人間的にも完成されているのでしょう」

 

 皮肉に聞こえないような事を言いつつ、ぷにっと萌えはこちらを称賛してくる。正直、悪い気はしないが目の前の人物がどのようなことを考えているかと言うのが見えない限り油断はできない。ラキュースは気を引き締める。

 

 

「いいえ。いまだ修行中の身、完成などほど遠いです……このままお喋りもいいのですが、私達を呼んだのは貴方だとお聞きしました。どのような理由で我々を呼ばれたのでしょう?」

「ふむ、ラキュース殿は虚飾を交えたやり取りは嫌いだと、我が愛しい教え子から聞いています。ですので、単刀直入に切り出しますが……僕はラナーを王位につけたい。ああ、いやいや、これは僕の私的な野望などではない、と最初にそう宣言しておきます」

「……具体的に、どのようなことをなさるので?」

「そう警戒しないで頂きたい。とは言え、具体的な方策等は今のところ出来てはおりませんね……そうですねぇ、ラキュース殿、ラナーが王位につくのに邪魔なもの、それはなんだと思われます?」

 

 やや身を乗り出したぷにっと萌えの言葉に、ラキュースは軽く考えてみる。まず考えられるのは第一王子バルブロ·アンドレアン·イエルド·ライル·ヴァイセルフだろうか?無論、知謀と言う面で見ればラナーや六大貴族を束ねるような立場の面子に比べれば大きく劣る。それなりに、そう、それなりに武勇はあるがそれも誉められたものじゃない。しかし、立ち位置と言うのは大きく有利だと思える。

 次に思い付くのは、第二王子のザナック·ヴァルレオン·イガナ·ライル·ヴァイセルフか?しかし、この王子はラキュースを高く評価しているはず。敵対する線は薄そうだとも思えた。

 最後はやはり六大貴族共だろう。言ってしまえば害悪しかないような連中だ。事前にラナーからレエブン侯の事を聞いていなければ同じ穴の狢と吐き捨てていたかもしれないが。

 自分なりの考えをぷにっと萌えに吐露すると、目の前の人物は手?を叩いて頭を上下に振って肯定の声をあげた。その上で彼はこう付け加える。

 

「君の言う通り、第一王子と六大貴族は邪魔だけどね、一番足りないものは、英雄さ」

「は?ええと、どういうことで?」

「君は『組織』と呼ばれる連中を知っているかね?」

 

 そっと、回りを伺いながら、ぷにっと萌えは囁くようにそう聞いてきた。何故だか、胸がざわつく思いだ。その思いを堪えつつラキュースは首を横に振る。それと同時にティアとティナに目線で確認をとるが、二人とも黙って首を振るばかり。ラナーにも目線で問いかけるが小首を傾げるばかりであった。

 

「いや、知らないのも無理はない。彼らの行動は密やかにして大胆、それでいて自らの存在を知らしめないほど精密果敢だ。さて、では今この国に蔓延る犯罪組織『八本指』をご存じかな?」

「ええ、それはもちろん……!?まさか?」

「いやいや、かの犯罪者集団は決して『組織』とは関係がなかったよ……ついこの間まではね」

「それは、八本指が七本になったのと関係アリアリ?」

 

 今まで口を挟まなかったティナがそう口にすると、ぷにっと萌えは重々しく頷いた。

 

「恐らくは、と言う注釈はつくがね。なにぶん、『組織』動きは掴めていない上、全容すら不明だ。ただ、調査を進める上でどうしてもその姿がちらつく。見てくれるかな?」

 

 そう言いながらぷにっと萌えは机の上に羊皮紙を広げる。どうやら王都近辺の地図らしいのだが、その所々に黒い丸印や三角印、二重丸などが書き込まれている。そこに何やら文字が書き込まれているが、ラキュースには判別できなかった。説明を求めるように顔をあげると、ぷにっと萌えは一つ頷く。

 

「これは、極最近、七本指が麻薬の原料を作り始めた場所だ。ラナーの障害になるからと焼き滅ぼそうとしたのだが、恐らくは『組織』の手先が邪魔をしてくれてね、僕は撤退をせざるを得なくなった。情けない話だよ」

 

 そう言いながら肩を竦めるぷにっと萌え。が、よく見てみれば体を構成する蔦状の物が幾つか半ばから千切れているようだ。明らかに剣のような鋭いもので切り取られたようなモノから力任せに引きちぎられたようなモノまである。よほど危険な相手だろうか?

 

「それと、もう一つ。こちらの方が重要かもしれないなぁ……」

「と、言いますと?」

 

 含みを持たすような言い方に、思わずといった調子でラキュースは聞き返していた。

 

「ん。それはね……」

 

 

 

 

 ラキュースと忍者双子が(ラキュースのみ)意気揚々とした足取りで帰っていって十分ほど経過した。ヘロヘロの上でポヨンポヨンと揺れていたラナーは、窓辺に立って何事かを考えているぷにっと萌えの背中に言葉をかける。

 

「先生?あの話、どこまでが本当です?」

「うん?さぁて、どこまでが本当だと思うかね、我が弟子は」

 

 質問に質問で返されたが、いつもの事なので特に気にせず、ラナーは先程までの会話をもう一度分析する。とは言え、そもそも会話中にある程度の真偽の見定めは終わっているので、あえてもう一度確認したと言う方が正しいのかもしれないが。

 

「そうですわねぇ……私を王座につけたいと言うのは本当ではないかと思います。理由はそちらの方が後々、先生の考えている事、それを進めるのが容易くなるから。『組織』とやらは嘘ですわね。それを先生が口にする度にヘロヘロさんがプルプルしておりましたし、第一、そんな組織があるなら、先生はもっと私に話している筈ですわ。それから竜王国に現れたと彼女に話した英雄……それって、お二人のお仲間さまでは?もちろん、それがどのような人物かは見当つきませんが……」

「ラナーちゃんは凄いねぇ。あの会話の中でそれだけ分析してるなんて」

「もう!ヘロヘロさん、子供扱いしないでくださいまし。こう見えて立派なレディですのよ?」

「いやぁ、立派なレディは僕の上に乗って遊ばないと思うけど……」

「さもありん。僕の愛しい弟子は、頭の出来はともかくまだまだ子供だね」

「先生まで!」

 

 ひとしきりワイのワイのした後で、ぷにっと萌えは話を続ける。

 

「まぁ、ラナーの言った通り、嘘も多いが本当の事も多分に含ませて彼女には伝えたね。それに、だ。英雄が欲しいと言うのも本音且つ必要だからだよ。この王都で一悶着起こすのは、ラナーにも一度語ったよね?その後、我々アインズ·ウール·ゴウンと同盟関係を結ばせるにあたって、一般民衆に人間側の英雄がいるから大惨事にならない、もしくはそれを未然に防いでくれる、と思わせることが寛容。そこで白羽の矢がたったのが……」

「ラキュースさんとガゼフ戦士長ですか?言ってはなんですけど、力不足感は否めないですねぇ。まぁ、この二人以上の適任はいないんですけど」

 

 ぷにっと萌えの言葉をついでヘロヘロが疑念を呈するが、ぷにっと萌えは一つ頷いて言葉を続ける。

 

「だからこそ、二人にはレベルアップを図ってもらおうと思ってね?彼女と、ラナーから戦士長に渡してもらった地図に入れてある印には、僕の作った下僕が配置してある。これは二人のレベルアップのためと『組織』の信憑性を増すため。いやぁ、下地作りは大変だ」

「それで……ラキュースが死んだら如何なさいますの?さすがに私も怒りますわよ?」

「まぁ、大丈夫だと思うよ?この世界基準でもそれなりに強い奴しかいないし。さて、と」

 

 そこまで言ってぷにっと萌えはラナーの寝室に向かう。それを怪訝な表情で見る二人に向かって、ぷにっと萌えは語る。

 

「恐らくだけど、竜王国にはたっち君がいたと思うんだ。そして、どうもやまいこ君らしき人物の目撃情報まである上、ビーストマンの国との国境付近にはデスナイトが複数いた。そしてカルネ村が急速に発展している事を鑑みるに、あの近辺にナザリックがあると思われるんだ。そこで、一足先に僕が古巣へ戻って細工をしようと思う」

「じゃぁ、僕はラナーちゃんの護衛と言う事でFA?」

「ファイナルアンサーで」

 

 そう答えぷにっと萌えはラナーとヘロヘロに歩みより、ラナーの頭を軽くポンポンと叩いた。くすぐったそうな顔をするラナーに向かって、ぷにっと萌えは決意するように言う。

 

「君を王にする。これは絶対の約束だ、愛しい僕の教え子」

 

 

 

おまけ

 

「ところでラナー?」

 

 出発しようとした直後、ふと思い出したようにぷにっと萌えは尋ねる。ヘロヘロに天井近くまで放り上げられたラナーは笑いながら目だけで聞き返す。

 

「君の子犬君はどうしたのかね?」

「ああ、あの子ならガガーランさんに預けてますよ?」

「……大丈夫なのかね?」

「立派な『男』になって帰ってくるといいですわねぇ」

 

 コロコロと鈴のような笑い声をあげるラナーの前で、ぷにっと萌えとヘロヘロが揃って合掌したのであった。

 

おまけ2

 

「ちょっ!ガガーランさん!?あ、そんな……アーーーーーーーッ!」

 

 宿屋でそんな雄叫びが響いたとかなんとか?

 

 

 





クライム君の花が散ったかどうかは、ご想像にお任せいたします。

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