The Last Stand   作:丸藤ケモニング

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ほんのり、シリアス風味。実際はそうでもないかも。

駆け足でお送りします。







25,事態は動く、唐突に

「もう一度問うでござる!この村に何用でござるか!答え如何によっては、この、森の賢王ことハムスケが、月に代わってお仕置きでござる!」

 

 その魔獣発する声が空気を震わせ全員の耳朶を打つ。圧倒的な魔獣の気配に漆黒の剣、そしてブリタの腰が引けるなか、ンフィーレアはその名乗りに身を震わせた。

 

「森の賢王だって!?なんだって村……村、だよね?なんでここの門の前に!?」

「ほほぉ某の名を知っているでござるか。しかし、今の某は殿や姫からいただいたハムスケ·汁婆と言う名があるのでござるよ。ふふ、森の賢王を名乗っておった頃は、世間知らずの女であった……」

「殿?姫?まさか、このような強大な魔獣を使役している人間がいる?……ペテル、まずいですよ、これは」

 

 ニニャの言葉に、冷や汗を額から垂らしながら、ペテルは小さく頷き、隣に立つルクルットへと目配せをしたが、された方のルクルットは緊張を孕んだ顔で首を横に振ってペテルの考えを否定した。

 

「逃げられねぇぜペテル。囲まれてる……!」

「ありゃ、ばれてやしたか」

「なっ……!」

 

 すぐ脇から低いダミ声が聞こえて来ると同時に、放置されているように見えた麦の間から、妙に体格のいいゴブリンが姿を見せ、その手に握った質の良さそうな短剣をこれ見よがしに見せ付けた。

 

「おおっと、暴れないでくだせえよ?俺だけじゃぁないんですぜ、あんた方を囲んでいるのは」

 

 その言葉が嘘ではない証拠に、小麦畑の中から数匹の体格のいいゴブリンが、林の中からやはり体格のいいゴブリンが思い思いの武器を手に姿を表し、こちらを威嚇するように武器を見せ付けた。そのどれもが、ペテル達の持つ武器よりも質のよい武器であることは明白であった。ちなみにであるが、ゴブリンズが持つ武器はリュウマが『お前らの武器、ショボいな。俺のコレクションの中で要らない物が幾つかあるから、やるよ』の言葉と共に譲り渡された、リュウマ的には大したことない、魔法の武器である。

 

「い、いったい、村で何が起こってるんだ……!?」

「おおー、考えた作戦が上手くいってるようで何よりっすよー!」

 

 ンフィーレアの疑問に被さるように、快哉の声が天から降ってきた。全員の視線がそちらへ走り、そして固まる。太い木の枝に立つのは褐色の肌をした絶世の美女。明るい笑顔を振り撒きながらこちらを見下ろしてくる美女は、明るい声で言葉を続けた。

 

「さあー、どんな用事があってここに来たかは知らないっすけど、生きて返すような真似はしないっすから、覚悟するっすよー」

 

 その言葉に、ゴブリンズが武器を構える。跳ねるように全員が武器を構え戦闘状態へと移行するが、しかし、漆黒の剣の面々の表情は悲壮と言うしかない。このゴブリンは恐らく一匹一匹が強い。その上、あの森の賢王と言う魔獣が控えているとあっては、どうあっても絶望しかない。なんとしてもンフィーレアとニニャだけでも逃がそうと、ペテルは心に誓って剣と盾を構え直した。

 戦闘態勢に移行した眼下の面々の表情を見ながら、ルプスレギナは喜色満面であった。遠目から見ても分かる平和な表情から一転、この砦と化しつつある村を見つけた時の怪しんだ表情、ハムスケを見たときの驚愕と恐怖の表情、顔を見せたときの呆気にとられた表情から絶望的な戦力差に対する憤りと絶望の入り混じった表情。くるくると回るその感情の動きが非常に楽しかった。が、少しだけ不満もある。何せ、覚悟を決めた表情をしている奴が大半なのだ。出来ることならもっと、そう、いまだに青い顔をして泣きそうな顔をしている赤毛の女のような表情をしてもらいたいのだが、まぁ、そこに至るまで楽しませてもらったのだから良しとしよう。

 

「姫~、良いのでござるか?殺さないのが殿からの指示であったような気がするのでござるが?エンリ殿も同じことをいってたような気がするでござるが?」

「大丈夫っすよぉ。そろそろリュウマ様とエンリちゃんが来るっすから、この茶番もすぐ終わるっすよぉ」

「……大丈夫で、ござるかねぇ?」

 

 呑気に話している二人とは裏腹に、漆黒の剣の面々の緊張は最大だった。今にも解き放たれんとする緊張の中、ゴブリンの一匹が前に出る。合わせるように、ペテルも一歩前に進み出て、そして同時に剣を振りかぶった。

 

「何をしているッッッ!!!」

 

 剣が打ち合う寸前、空気を割るような少女の怒号が響き、ゴブリンが地を蹴ってペテルから距離を取り、声の主へと視線を向けた。自然、漆黒の剣の面々やブリタ、ンフィーレアに至るまでもその方向へ視線を走らせることになる。

 

「無闇に殺すなと私は申し伝えた!どう言うことか、説明しろっ!」

 

 重厚な丸太で作られた門が開き、そこから現れたのは、軽い金属鎧で要所要所を覆った恐らく少女だった。恐らくとついたのは、その顔上半分を鳥を模したような兜が覆っているからだが、その兜から見える眼光は鋭い。ゴブリン達が慌てて下がるなか、少女は槍を片手に漆黒の剣の方へ歩いてくる。

 

「ルプー、どう言うことだ、説明しろ」

 

 もう一人、門から歩み出てくる人影があった。かなり高い身長に恐ろしく鍛えられた体躯を赤い鎧に押し包んだ偉丈夫であったが、この少女のように鋭い眼光をしていると言うことはない、少なくともンフィーレアにはそう思えた。

 少女はペテルの前までやって来ると、唐突にすごい勢いで頭を下げた。

 

「申し訳ありません!私の教育が行き届いてないばかりに、迷惑をお掛けしました!」

「は?えと、あの?」

 

 ペテルが戸惑っている間に、推定少女はその兜を脱いでその素顔を晒す。現れたその顔に、ンフィーレアが息を呑む。それに気づかぬまま、少女は何度も何度も頭を下げ、ついでゴブリン達の頭を力任せに無理矢理下げて行く。

 その後方で、鎧の偉丈夫が褐色の美女を地面に降りさせ、お説教を始めていた。

 

「……リュウマ様?その、地面がゴツゴツで痛いんですが?」

「どう言うことか、説明しろって、俺は言ったよな?」

「……ふ、不審者かと思って、その、攻撃命令を、ですね?」

「どう言うことか、説明を、しろ。言い訳は要らない、真実を述べろ」

「……す、すいませんでしたーーーー!つい、出来心なんです、暇だったんで悪戯しようってしただけなんです、殺すつもりなんてなかったんです、ちょっとオチャメなジョークだったんですぅぅぅう!」

 

 土下座!それは最高の謝罪の形!だがリュウマは腕組みをしてお説教を止めない。

 

「ルプー、お前の性格は分かってるつもりだし、それに関してとやかく言うつもりもないが、ここでの命令権主導権の多くはエンリにあるって言ったよな?そのエンリの命令を無視するようなことをしていいと思ってるのか?今回は大事にならなかったが、下手すりゃカルネ村の悪評になってた可能性だってあるんだぞ?」

「は、ははーー!そこまで考えが至ってませんでした!平に、平にご容赦を!」

「殿~、もういいではござらんか、姫も十分反省しているようでござるし、可哀想でござるよ~」

 

 まだまだお説教をしそうなリュウマの前で、土下座をしながら体を震わせるルプスレギナを不憫に思ったのかハムスケが仲裁に入った。ルプスレギナが顔を上げ、ハムスケを頼もしく見上げるなか、後ろではこんな声が上がっていた。

 

「エ、エンリ!?エンリなの!?て言うかなんなのその格好!?村は!?えっ?!な、何が……!?」

「あれ?ンフィー?お、落ち着いて?ねっ?」

 

 あわあわと慌てるンフィーレアを落ち着かせようとするエンリ。それをどうしたもんかと見つめる漆黒の剣とゴブリンズ、お説教を止める止めないでもめるリュウマとハムスケ、ハムスケに視線だけで声援を送るルプスレギナ。その光景を遠くからスコープで覗きながら、シズは呟くのだった。

 

「なんだこれ?」

 

 

「そうか、そんなことがあったのか……」

 

 これまでの経緯をかいつまんで聞いたンフィーレアは、痛ましそうに顔を歪め、そうつぶやくのがせいいっぱいだった。だが、悲劇の中心にいるはずのエンリは、朗らかな笑顔を崩さず話を続ける。

 

「そうそう。それで、私も殺されそうになったんだけど、あそこにいるリュウマ様や、ここにはいらっしゃらないけど魔法詠唱者のモモンガ様、村の子供達に色々教えてくれてるやまいこ様が私たちを救ってくれたの」

 

 笑いながら指差す先には、褐色肌の美女、ルプスレギナの頭を押さえ込んで無理矢理頭を下げさせているリュウマの姿があった。

 

「それ以降、リュウマ様とやまいこ様は定期的に……リュウマ様はうちの村に居ることの方が多いけど……とにかく、この村の復興に力を貸してくれてるんだよ」

「……へ、へぇ、篤志の人だね?……そのぉ、なにかを要求されたりとか、そんなことはないの?」

「うん、特になにも?色々お礼で渡そうとするけど、村の復興に使いなっていつも言うんだよね、リュウマ様とやまいこ様は」

「……へぇ、そうなんだ」

 

 言葉に一瞬詰まるが、ンフィーレアはそれを隠すことが出来なかった。怪しい。その一言が心を占めている。聞けば、今ここにいないモモンガと言う人物はかなりの腕前の魔法詠唱者らしいし、やまいこと言う人物もまた、かなりの神官だと言う。双方がなんの見返りも求めず人助けをする、そんなことがあり得るのか?ンフィーレアにしてみれば、答えは否だ。神官は、特になんの見返りもなく魔法を行使することを禁じられている。概ね、この場合の見返りは金になるのに、それを要求しないのはおかしい。魔法詠唱者のモモンガと言う人物にしても、初歩の魔法などを行使できるンフィーレアにして、そんな名前の魔法詠唱者なんて聞いたこともなかった。それに……。

 

「それに、リュウマ様は私やネムを鍛えてくれてるのよ。この槍や鎧だって、リュウマ様に下賜して戴いたものなのよ」

「へ、へぇ、そうなんだ」

「そうよ。それに、リュウマ様はお医者様がいないからって、腕の良い神官様を連れてきてくれたり、村の防衛のためにゴブリンを呼び出せるマジックアイテムを下賜してくれたり……本当に、ありがたいなんて言葉じゃ言い足りないくらい」

 

 このリュウマと言う人物が最も怪しい。見たところ槍も鎧も一級品の逸品だし、ゴブリンを永続的に召喚できるマジックアイテムなんてとんでもない代物を、ポンと寄越すなんて……。しかし、怪しむもののその目的が分からない。カルネ村は本来小さく森の中で採れる薬草以外にこれと言った特産物もないようなありふれた村だ。そこをこれだけ厚遇して、なんのメリットがあるのか。そこがいまいち分からない。それに……。

 

「それでね、リュウマ様ったら、塩で味付けをしただけのスープを飲んで、『今まで食べた物の中で一番美味い』なんて言うのよ?あんな立派な身なりしてるのに、おかしいわよねぇ」

「リュウマ様の練習はキツいんだけど、色々心配してくれてやってもらってるのが分かるから、こっちも一生懸命やらなくちゃって気になるんだよねぇ」

 

 これだ。出てくる話題出てくる話題が、このリュウマに関することばかり。何て言うか、非常に腹立たしい。

 

「それでね……」

「エンリ!……あのさ、その……」

 

 嫉妬のあまり声を荒げて言葉を遮ったが、次の言葉が出てこず、ンフィーレアは沈黙した。しかし、ンフィーレアの言葉を待つエンリの目を見ながら、必死で言葉を紡ぐ。

 

「…その、いつまでも、皆さんに迷惑をかけられないから、ほら!王国に保護を求めるとか!?最近、黄金の姫様が、色々政策をしてくれて、農村にも色々補助が……」

「それは駄目よ、ンフィー」

「えっ?」

「私達は、王国の傘下に入るつもりはない。私達が私達の意思で仕えるのは、モモンガ様やリュウマ様、やまいこ様が所属されている組織よ」

 

 エンリは、先程までの朗らかな笑顔とはうって変わって、武人のような顔つきでそう宣言した。言葉をつまらせるンフィーレアに向かって、エンリはさらに言葉を紡ぐ。

 

「私達を救ってくださったのはあの方々。私達を現在導いてくださっているのもあの方々。お返しできるものなんて、この忠誠心しかないわ。だから、少なくとも私は、この命を以てお返しとする。だから、王国の庇護下には入らない。分かった?」

「……王国の、庇護は受けないのは分かった……だけど!何でそこまであの人達に肩入れするんだ!?あの人達が何を考えているか分からないのに!絶対、なにか良からぬことを考えているはずさ!」

「……そう、それがンフィーの考えなのね?」

「え?」

 

 返ってきた冷たい言葉に、ンフィーレアの背筋に冷たいものが駆け抜ける。顔を見れば、いつも笑っていたはずのエンリの顔に笑顔はない。底冷えのする冷たい瞳が、ンフィーレアの顔を無感情に見ていた。

 

「うん、あの方々が何を考えているかなんて分からない。そう、考えもしなかった。けど、私達は命を助けられた。それが全てで、それ以上にあの方々に仕えようとする理由がいるの?命には命でお返しするしかない。良からぬことを考えようがどうしようが、私はそれに従うだけ」

 

 狂信。そんな言葉がンフィーレアの頭によぎった。

 だが、しかし、続いて言葉を紡ごうとしたエンリの頭に、誰かの手があまり優しくない勢いで落ちてきた。唐突な、しかしあまりの激痛に言葉なくうずくまるエンリを見下ろしているのは……。

 

「な、何をなさるのですか、リュウマ様」

 

 腕を組み、ちょっと怒ったような表情で立つリュウマであった。

 

「アホたれ。誰がそんな盲目的な信仰を捧げろなんて言った」

「い、いえしかし、命を助けていただいた礼は命でかえsフグッ‼」

「そんなこと言ってたら、俺が助けた人間は全て命でもって礼を返さなくちゃならないのか?んなわけねぇ。何度も言ってるが、俺達がこの村を助けたのは偶然だ。この村の復興を助けたりなんだりしてるのも自分達のためだ。それに礼を返す必要はない。どうしても礼をかえしたいっつぅんなら……」

 

 もう一回落とした拳を開き、エンリの頭を撫でる。そのまま腰を落とし、目線を合わせ、リュウマは言葉を続けた。

 

「俺らの予想を超えるくらいに強くなれ。んで、自分の足で走れ。やまいこもそれを望んでるからここに駐留して色々学ばせてるんだからな?」

「し、しかし……」

「まぁ、忠誠心はありがたく受け取っておくさ。けど、忠誠心よりも、妹と村の人を守ってやれ。それが一番の礼になる」

 

 いまいち納得してないような表情で頷くエンリに苦笑しながら、リュウマは腰を伸ばすようにして立ち上がりながら、今度はンフィーレアの方を見る。顔色が悪い。青白い。俗に言う血の気が引いてる感じである。まぁ、さもありなん。陰口叩いていた奴が目の前にいればビビる。それがヤクザなら尚更だろう。これは、かける言葉と口調と声音に注意しなければなぁ、等と考えながら、リュウマは数秒の間をおいて声をかけた。

 

「君は、ンフィーレア君、だったかな?」

 

 大人な対応、大人な対応。心の中で数度繰り返して出した声音は、なかなか渋いボイスだったような気がする。しかし、その声を聞いたンフィーレアは肩をビクッと震わせると言う反応を見せるのみ。失敗したかと思いつつも、リュウマはとりあえず話を続ける事にした。

 

「俺たちを怪しんでいるのは分かった。だが、信じて欲しいのは、決してこの村の人間やエンリやネムをどうこうしようと言う考えからではないって事をだ」

 

 その言葉に、やや不審を滲ませながら顔を上げるンフィーレアに、リュウマは友好を示すように微笑みかける。ただし内心は少々冷や汗である。何せ、現在自分のところの下僕を使ってネムを強化、エンリは自分で鍛え上げて強化実験とマジックアイテムのフレーバーテキストが人体にどれだけ影響があるのかの実験中であるから。どうこうしないどころかどうこうしっぱなしである。

 

「……では、お聞きしてもよろしいですか?」

 

 ンフィーレアの言葉に、少々ドキドキしながら、軽く頷いて先を促すと、ンフィーレアも一つ頷いて軽く息を吸い込んだ。

 

「本当にこの村を救ってくれて、本当に善意でこの村を助けてくれているんですか?」

「?ああ、村を救ったのは偶然で、完全に善意って訳じゃないが、一度助けたんだ、最後まで面倒を見るさ」

 

 リュウマの答えに、ンフィーレアは一つ頷き、顔を引き締めるとまっすぐリュウマの顔を見てきた。自然、リュウマも表情を先程よりも引き締めてその目を見つめ返す。その視線を受けて、ンフィーレアは一つ息を吸い込んだ。

 

「あなた方を完全に信用したわけではありません。ですが村を救い、手助けしていただいたことには、感謝します。ありがとうございます。僕の大事な人を守り助けていただいて」

「む……頭を上げてくれンフィーレア君。さっきも言ったように、助けたのは偶然、礼を言われるようなことじゃないんだ……?」

 

 唐突に、リュウマの脳内に何かが繋がる感覚。誰かが《 伝言/メッセージ 》を繋げてきたらしい。唐突に固まったリュウマを不思議そうに見てくる二人に、リュウマは少し離れることを告げると、森の中へ入っていった。

 残された二人は、不思議そうに顔を見合わせていたが、何かを思い出したように、ンフィーレアが唐突にエンリに向かって頭を下げた。

 

「ごめん、エンリ。さっきはあんなことを言っちゃって。いや、謝ってすむ問題じゃないのかもしれないけど」

「……ああ、さっきの事ね。ううん、私も悪かったわ。なんか、うん、ちょっと私もおかしかったかも。けど、リュウマ様が素敵な人だって、わかってもらえた?」

 

 輝くような笑顔でそう言われ、ンフィーレアは彼が消えていった森を見つめた。正直、完全に信用するには人となりが分からなすぎるけど、少しだけ話した感触なら、少しは信用して言いかもしれないと思い、エンリに笑顔で頷き返すと、エンリは笑いながらンフィーレアの肩を軽く叩いた。

 

 森の中、リュウマはようやく《 伝言/メッセージ 》の相手、モモンガと話を開始した。

 

「はい、モモンガさん、大丈夫です。どうしたんです?ナザリックに戻ったら守護者やメイドをつれてどっか行ってるし」

『あぁ、それに関しては後程。今は、至急ナザリックに戻ってほしいんですよ。しかも大至急』

 

 アルベドに寝込みを襲われた時くらいの慌てようで、モモンガがそう言ったのを、リュウマは不審に思う。このタイミングでナザリックにいなかった理由は、恐らくたっち·みーを迎えに行ったからだろうと言うのは容易に想像できたし、守護者がいないのも、どうせ色々やって来るための人員だろうと言うのは想像できたが、ならばなぜ慌てているのかがわからなかった。分からないことは聞いてみる。それが信条のリュウマである。

 

「待ってモモンガさん。何があったんだ?」

 

 その質問に、向こうで息を呑むような気配。その後、リュウマにとっても寝耳に水くらいのことが告げられたのだった。

 

『たっちさんが、ワールドアイテムの使用を求めています』

 

 

 

 





次回は、会話がメイン。たぶん。

ではまた次回です。

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