神代凌牙はデュエルをしない   作:さらさ

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うわああああああああああああ休み終わっちゃうよおおおおおおおおおおやだよおおおおおおおおおおおおおお!
まさかのⅤ兄様の視点からスタートです


9/神代凌牙と絵空事の世界・後編

「……くそ!全然出ねぇ!」

 

「落ち着きなさいトーマス!もうすぐ病院に付く、だからそれまでに冷静になりなさい」

 

「でも!あいつはこの前目が覚めたばかりなんだぞ!それなのにこんな、」

 

「今お前が冷静にならなくてどうする、そんなのでは凌牙を救う事は出来ないぞ」

 

「……!わりぃ、兄貴」

 

そう言ってトーマスは口を紡ぎ俯いてしまった

いきなりトーマスが私の部屋に乗り込み「兄貴!急いで車を出してくれ!」と言ったときは本当に何事かと思った

そしてその次に告げられた言葉にさしも私も動揺を隠しきれない

神代凌牙がバリアンの刺客に追われている

遊馬や璃緒、カイトならばわかる、遊馬はナンバーズのオリジナルであるアストラルと共にあるし璃緒は何の力を持たない人間にもかかわらずNo.に取り込まれない強いデュエリスト、カイトは銀河眼光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)というバリアンの力が宿った竜を従えている

言っては何だが凌牙にはバリアンにとって何の価値もない人間だ

デュエルが強い依然にデュエルをしない、故にNo.すら待っていない

そんな人間になぜバリアンの刺客が現れたのか

 

「兄貴!まだか!?」

 

トーマスが待ちきれないといった風に、口早に言葉を投げかける

それは数分前に私に聞いたばかりだろう

 

「まだ少しかかる、と言っただろう

 さっきも言ったが焦るな、何の理由で凌牙がバリアンの刺客に追われているかわからない以上むやみに突っ込むのは得策ではない」

 

「……ごめん、兄貴

 でも冷静になんていられねぇよ、いくらデュエル(物理)が強いからってあいつはなんの力も待たないただの人間だ」

 

「それは私にもわかっている、ただの人間になぜバリアンの刺客が現れたのか謎だが今はそんなことを言っている場合じゃない」

 

そう、あのSOSの電話から30分以上経過している

いくら凌牙が並外れた身体能力を持っているとはいえどう考えても逃げ切れるわけがない

ぎりぎりまで車のスピードを上げているとはいえ病院付近に付くにはもう少し時間が掛かる

その時、トーマスのDゲイザーが鳴った

 

「んだよこんな時に!……璃緒?今それどころじゃ……はぁ!?凌牙が捕まった!?だってお前、え?ああ、今俺も向かっているところだ、ああ……わかってる……もうすぐ着くから待ってろ」

 

「トーマス、今の電話は……」

 

「ああ、璃緒からだ

 璃緒の後輩に凌牙から電話があったらしくって、その電話の途中に連れ去られたみたいだ」

 

そう言ってトーマスは歯をぎりりと噛みしめる

トーマスはあの双子を特に気にかけていたのは私たち家族の全員が知るところだ

家族がバラバラだったころに、トーマスの心が壊れないように(本人たちにその自覚は皆無だが)支えてくれた

にもかかわらず、その双子を引き離して片方の魂を捉えて、もう片方から恨まれて

でも、最終的には璃緒はトーマスを許したしそもそも凌牙は恨んでもいなかった、そして凌牙はトーマスの背負っていた十字架を下してくれた

それがトーマスにとってどれほどの救いだったか

自分を守ってくれた、自分を支えてくれた、自分を許してくれた凌牙が連れ去られた……それがトーマスの逆鱗だとは知らずに連れ去ったバリアンの刺客は大丈夫だろうか

まぁ、凌牙や璃緒に何かをしたら我ら家族も容赦しないがな

 

「さぁ、ついたぞトーマス」

 

いつの間にか病院付近に付き、思考していたのをトーマスに悟られないように慌てて車を止める

すでに遊馬や璃緒達が付いているらしくハートランド学園の制服を着た子供たちが少し離れているここからでも見える

 

「わりぃ兄貴!俺行くから!」

 

慌てて車から降り、彼らの元へ駆け寄ろうとする

車から出た時に少しだけ見えたトーマスの手は、握りすぎたせいか赤くなっていた

 

「トーマス、凌牙を頼んだぞ」

 

私たちの家族(トーマス)を救ってくれた、もう一人の恩人を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んぅ?」

 

目を覚ますと、そこは牢獄でした

 

「じゃないって!なんぞ?この状態なんぞ!?」

 

どうしてこうなってる(驚愕)

いやいやまてまて思い出すんや凌牙!えーっとたしかバリアンに操られてる人に追われて、璃緒に電話したけど出なくて、トーマスには行くまで一時間かかっちゃう☆てへぺろ☆(捏造)って言われて零に電話して……

あー、そうだ、捕まったんだよなー

……これからどうしよう(ゲンドウポーズ)

周り見た感じどこにも脱出口なさそうだし、どうしようもできなさそうなんだよなーDゲイザーもないし

コンコンと周りの石壁を叩いてみたり、鉄格子を引っ張っても押してもびくともしない

いくら人間の皮を被ったゴリラでも限界があるんやで?

あれだな、詰んだな!

 

「んー、でもこの状況どうしようかねぇ」

 

SOSの連絡を入れたとはいえ、さっきの漫研の部長の言動を聞く限りここは漫画の世界

いくらアストラルって摩訶不思議生命体がいたとしても漫画の世界には……

来れるだろうなー、なんかそんな気がする

 

「……ん?」

 

うろうろと牢屋を歩き回っていたら部屋の隅にぽつりと一枚だけカードが落ちているのを見つけた

こんなところにカード?敵の罠っぽいけどこれ以上どうしようもないのが現状なんだよな

仮に罠だとしても何かしら事態が動くでしょ

部屋の隅に移動し、カードを拾い上げる、そこには

 

「No.96ブラック・ミスト?」

 

No.?って確かアストラルが集めてるやつだよね?なんでこんなところにあるの?

まぁいいや、あとでアストラルと遊馬に渡しておくか

お気に入りのカードが入っているカードケースに入れておく(デッキではない)

にしてもまた振り出しかーどないしよう?

 

「せん…シャー………い……」

 

「…おー………-ク!シャー……」

 

お?

 

「おーい!ここだよここー!」

 

そう大声を出すとパタパタと階段を駆け降りる音が聞こえる

いやー思いのほか助けが早く来て助かったわ

 

「シャーク先輩!よかった、無事だったんですね!」

 

「よかったー!これでⅣといもシャが思いっきり戦えるな!あ!シャーク大丈夫か?痛いことされてないか?」

 

『すまないシャーク、まさかバリアンが君を狙ってくるとは思わなくてな……』

 

零、遊馬、アストラルがそう口々に言う

まだ会って数日だけど仲間思いの良い後輩が出来て先輩は嬉しいです

 

「いやー助けに来てくれただけでもいいよ、あ、痛いこととかされてないから平気だよー

 あ、零も電話の途中でごめんよー人間の皮を被ったゴリラでもさすがにトーマスが来る一時間逃げ切るのは無理だった(真顔)」

 

トーマスって言葉に反応したのか零も遊馬もハッと顔を見合わせる

え?トーマスが何かしたん?

 

「そうだ!今いもシャとⅣが戦ってんだよ!」

 

「そうです!シャーク先輩が人質になっててお二人とも倒すわけにはいかなくて……」

 

「っておーいそれかなり重要な案件じゃん!早く案内して!」

 

確かに璃緒はお姉ちゃん思いの良い子でトーマスは友達思いの優しい奴だから俺っていう人質がいる以上、自由に戦えない

それを見越して俺を人質にしたってことか……貴様、それでもデュエリストか!

 

『リアリストだ』

 

なんか声が聞こえた気がするけど気のせいだよな

イメージ的にはあれだ、くっこいつ直接脳内に……!状態やな

 

『ファ○チキください』

 

くっこいつ……ってやかましいわ

遊馬と零の先導の元急いで階段を駆け上がる、大丈夫だよね!負けてないよね!?

廊下を駆け抜け、広間を走り、玄関の扉を開け放つ

 

「神代先輩!Ⅳさん!シャーク先輩を見つけました!」

 

「シャークは大丈夫だからもう思いっきり戦って大丈夫だぜ!」

 

「ごめ!心配かけて悪かった!」

 

 

 

 

 

「そして私は魔法カード成金ゴブリンを発動しますわ!

 これにより私はカードを一枚ドローし、貴方はライフを1000回復しますの!」

 

漫研の部長LP100→LP1100

 

「ひいいいいいい!もう勘弁してください!」

 

「うるせぇ!凌牙を!解放するまで!俺達は!デュエルを!やめない!」

 

「じわじわと嬲り殺しにしてあげますわ!」

 

 

 

 

 

パタン

 

「ごめん、俺帰っていい?」

 

『ふむ、これが俗にいう現実逃避というやつか』

 

扉を開けたら璃緒とトーマスがヒャッハーしてました……どういうことなん?

遊馬と零とアストラルの方を見るとスッと顔を反らされてしまった、いや、アストラルは状況が分かっているのかいないのかキョトンとしている、可愛いな畜生

 

「……とりあえず、あの二人、止めような」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく、無駄に心配かけやがってふざけんなよ……」

 

「もーそれについては謝ったじゃん!」

 

「そんなんで私が許すと思ってるの!?凌牙の馬鹿!」

 

「(´・ω・`)」

 

あの後漫研の部長をフルボッコにしている璃緒とトーマスを必死に止めてなんとかデュエルを終了させた

漫研の部長VS璃緒&トーマス、漫研の部長は二人相手だからライフ8000スタートだったけど……

一瞬で終わりそうになって、相手のライフを回復→殴るという無限ループを俺が来るまで延々とやってたみたいです(小鳥ちゃん談)

うん、お前らが楽しそうで何よりです(震え声)

 

「でもまさかそうそうにそのバリアン世界とやらの戦いに巻き込まれるなんて思わんかったなー」

 

俺の平穏は一瞬で終了しました

でも璃緒やトーマスが関わってるとわかった以上、首を突っ込まないなんて選択肢は存在しないけどな!

 

「大丈夫よ凌牙、この身に変えても私が守ってあげるわ

 だって私のデュエルは凌牙を守るためにあるんだからね」

 

「俺はお前に救われた、だから今度は俺がお前を救う番だからな」

 

「やだ、俺の妹と友達が男前……」

 

うーん、でも俺が璃緒に対して有効な人質になるってバリアン側にわかった以上、俺もデュエルした方がいいのかな?

でもなールールが意味わかんないんだよなぁ……戦闘が巻き戻るってなんだよ、対象に取るとらないってなんだよ、チェーンの逆処理ってなんだよ……

まぁいいや、いざとなったらデュエル(物理)すればいいし

でも、少しぐらい検討した方がいいのかな?少しだけカードケースを見る

これはデッキじゃなくて俺の気にいったカードが入ってる、デッキとも言えないカードの束

もしデッキを組むならこいつらを生かしてやりたいな、なんて

 

『だったら俺を使え、なぁ、凌牙?』

 

あ、天の声さんうるさいです

そしてカードケースを見て思い出した

 

 

 

 

 

……No.、アストラルと遊馬に渡してないや




天の声(笑)はご存知の通りブラック・ミストです
凌牙ちゃんは天の声(笑)を「遊戯王世界だからこれぐらい普通」って感じでスルーしてます
これからブラックミストは天の声(笑)としてちょくちょく出てくる予定です

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