神代凌牙はデュエルをしない   作:さらさ

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尊と不霊夢の出会いすごい良かった!
つーかブラッドシェパード卑怯すぎワロタ
何だろ、この卑怯な手口どことなくベクター臭がするのは気のせいだろうか……?
そしてまだ見てないけど次は草薙さんと遊作の出会い!楽しみだなー


69/神代凌牙と新たなる敵

e・ラーが1万以上の超過ダメージを食らい、派手に吹っ飛ぶのを見て、ああ、終わったのか

……そう思った瞬間、体から力が抜け座り込んでしまう

ブラック・ミストが座り込んだ俺を見て慌てて視線をこちらに向ける

 

『お、おい凌牙……平気か?』

 

それはきっと、デュエルの疲れであったり、愛沢妃花と相対しての精神的疲れであったり……神代凌牙……ナッシュとしての、真実だったりと色々な意味が含まれているのだろう

正直に言おう、平気じゃないです

隣をみるとゼアルセカンドも疲労で膝をついている

……多分、ここ最近で一番きつい戦いだったからね、仕方ないね

 

『嘘だ、我が負けるなどと、たかが依り代に、人間風情に負けるなど』

 

吹っ飛ばされたe・ラーがブツブツとつぶやきながらユラリと起き上がる

虚ろな瞳に映っているのはゼアルセカンドだった

 

「ゼアルセカンド!気を付けろ、あいつ何か―――」

 

『あはははははははは!闇のゲームで無様に負けた以上、我の消滅は避けられぬ……ならば貴様1人でも道連れにしてくれるわ!我がカオスを受け止められるものなら受け止めて見ろぉ!』

 

おい闇のゲームだったなんて聞いてないぞ!そういうことは早めに言えやボケェ!

e・ラーはその体を巨大な槍へと変え、ゼアルセカンドに向かって飛び立つ

異変に気付いた小鳥ちゃん達ギャラリーが急いでゼアルセカンド駆け寄っていくが、距離がありすぎて間に合わない

俺もデュエルのダメージが大きすぎて動けず、ブラック・ミストは俺の方に意識を集中させすぎてとっさに反応できなかった

 

「遊馬!アストラル!逃げてぇ!」

 

小鳥ちゃんの悲鳴が辺りに響き渡る

だけどノーダメージの俺でさえここまで疲労しているのに、ライフを鉄壁まで削られたゼアルセカンドに逃げる力なんて無いだろう

俺達は、ただその光景を見ているだけしか出来なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『遊馬!』

 

アストラルの声が聞こえたのと同時に、ゼアルセカンドが光り輝き、赤と青の光に分かれ……

 

『ぐあぁ!!』

 

「ひっ!アストラル!」

 

アストラルに、e・ラー自身となって作り上げた槍が突き刺さっていた

丁度人間の心臓と同じ部分に刺さっており、どんどんとアストラルの体を侵食していく

俺も、ブラック・ミストも、小鳥ちゃんも、カイトも、オービタル君も、まるで時が止まったように動かない、動けない

 

「アストラル!」

 

『来るな!……来ては、いけない……!』

 

遊馬がアストラルに駆け寄ろうと、傷だらけの体を起こすがアストラルに止められてしまう

 

『う、あああああああああああああああああああ!!』

 

光の爆発が再び起き、大地が大きく揺れる

立っていられないほどの揺れで、遊馬は倒れこむ

小鳥ちゃんはカイトに支えてもらって何とか自力で立っている状態だ

……そして揺れと光が収まった後、この赤い結晶体で覆われた大地に穴が開いていて、その中心で悠然と佇むアストラルの姿が目に移った

 

『アストラル、お前……』

 

……だけど、アストラルの体は半透明のまま明滅を繰り返し、今にも消えてしまいそうで……きっとアストラルと表裏一体の関係であるブラック・ミストは、今アストラルがどんな状態にあるか正確に理解しているだろう

 

『遊馬……君が無事でよかった』

 

「馬鹿野郎!なんでゼアルを解いたんだよ!」

 

『君を巻き込むわけにはいかない

 それにゼアルをしていた状態であの槍に刺さっていたら、君も無事では済まなかっただろう』

 

「でも、だからって!」

 

『遊馬』

 

遊馬の言葉をアストラルが遮る

その声はどこまでも穏やかで……まるで、今にも。消えてしまいそうな

 

『私は君に会えて本当に良かった

 君には仲間の尊さを、大切さを、信じる心を教えてもらった

 今までありがとう、遊馬、小鳥、シャーク、ブラック・ミスト、カイト、オービタル……君達とはここでお別れだ』

 

「はっ?なんだよそれ、どういうことだよ!説明しろよアストラル!」

 

遊馬も本当はわかってるんだろう……アストラルが、もうすぐ死ぬって事を

でも、それを認めたくないと声を張り上げる

 

『凌牙』

 

ブラック・ミストに声をかけられて、そちらを向く

アストラルと瓜二つの顔を歪ませ、手を俺の目元までもっていく

 

『泣くな、凌牙……』

 

そう言ってブラック・ミストは俺の目からこぼれる涙を拭ってくれる

道理で視界がぼやけるとは思っていたけど、ああ、俺、今泣いてるんだ

 

『皆、No.を頼んだぞ』

 

「おい……ふざけんじゃねぇよ……なんだよ、それ!俺いやだよ!別れるなんて!」

 

アストラルがキラキラと光り輝き、足元から徐々に消滅していく

俺は、ただブラック・ミストに寄り添ってもらいながら、それを見ていることしか出来なかった

 

「おい、アストラル!アストラル!いやだ!行かないでくれよ!」

 

『遊馬』

 

――ありがとう、私の唯一無二の相棒

 

その言葉を最後に、アストラルは完全な光となって穴へと吸い込まれていく

遊馬が必死になって手を伸ばすが届かず、ただ見送るだけしか出来なかった

 

「アストラル!」

 

ブツリ、と皇の鍵を縛っている紐が切れて、アストラルが消えて行った穴へと吸い込まれていく

……そして、もう1度光の爆発が起き、気が付いたら俺達はあの海辺の公園へ戻っていた

誰も、動かない、動けない

 

「ここ、元の場所……ア、アストラル!アストラル、いるんだろ!?隠れてないで出て来いよ!アストラル!」

 

遊馬が首元に手をやり、何かを掴む仕草をするが、その手に掴む物は何もない

……だって、皇の鍵は、あの時確かに弔われたのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……あれから、数日の時が過ぎた

遊馬は塞ぎこんでるし、俺も俺でずっと病院に居座っている

小鳥ちゃんが遊馬に何か声をかけて欲しいと言われたが、とてもじゃないけどそんな余裕はない

敵かもしれない俺が、遊馬に何を言ったところで何の意味も無い

……とかなんとかグダグダ考えてたら、いつの間にか遊馬は多少元気を取り戻していた

トーマスからの電話で遊馬とミハエルが新たな刺客である蝉丸?って奴と戦ったらしい

これから新たな敵が出てくる可能性があるので注意してほしい、とも

 

「ブラック・ミスト、一回お家に帰ろうか」

 

『そうだな……お前最近ろくに飯も食ってないし、ゆっくり休め』

 

「うん」

 

そうだ、ここで俺が参るわけには行かない

璃緒が起きない以上、俺がこの戦いの結末を見届ける義務がある

それに俺が1年寝てた璃緒の気持ちと比べたら、これぐらいどうって言事ない

Dホイールを走らせ、自宅へ帰っている途中にDゲイザーがなる

流石に運転しながら電話は出来ないのでこれをスルー

病院からここまで10分くらいだし、さっさと掛けなおそう

家のガレージにDホイールを駐車させ、Dゲイザーで掛けなおしっと電話の相手は遊馬か

 

「もしもし、ゆ<シャーク!無事か!?>」

 

いきなり遊馬の声が大音量で聞こえてきて、思わず耳からDゲイザーを離す

 

「声大きいがな!なんなんいきなり!?」

 

思わずDゲイザーに怒鳴り返す

でもDゲイザーの先の遊馬の顔はほっとしたような顔をしていた

……緊急の用か?まさか敵が来たのか!?

 

<シャーク、落ち着て聞け

 いもシャが敵の毒にやられて大変なんだ!敵はシャークの所に行くって言ってた!大丈夫か!?>

 

『璃緒が!?』

 

「璃緒は!?璃緒は大丈夫なん!?」

 

<シャーク、落ち着いて!璃緒さんの容体は、はっきり言ってよくないわ……このまま解毒出来ないと、命が危ないってお医者さんが……>

 

「くそが!」

 

ガンっとガレージに拳を叩きつける

なるほどなるほど、璃緒は人質って訳か

俺がデュエルを断れないようにする、もしくは璃緒の命と引き換えにNo.をよこせって事か

……璃緒を人質にするとは、よほど死にたいみたいだな

アビスの時は遊戯王次元特有のカードの精霊の試練(?)みたいなものだったから、色々不満しかなかったけど我慢は出来た

でもさぁ、これはさぁ、違うんじゃない?

確かに沢渡さんも柚子たちを人質にしたりしたけどさぁ、ある意味遊戯王次元のお約束と言えるけどさぁ

……ああ、この薄暗い感情をどうしてくれよう?

 

『凌牙、落ち着け、画面の向こうの遊馬や小鳥が怯えてるぞ』

 

「ああ……ごめん、ちょっとあらぶってた」

 

<い、いや大丈夫だよ?

 それよりも凌牙、君は今どこにいるんだい?>

 

「璃緒の事をそれよりもで片づけんなよミハエル、これからミー君て呼ぶからな」

 

<どういうこと!?>

 

というかお前もいたんかい

 

「(スルー)とりあえず俺は今お家に帰った所だよ、とりあえずここで待機してるよわ、俺が目的だったら絶対俺のところに来るはずだしねぇ……下手に動かん方がいいだろ」

 

<おう!俺達もすぐ行くからな!>

 

その言葉を最後にぷつりと通話が切れた

俺はブラック・ミストに向き合い、軽くうなずき合った

 

「……そーゆーわけで、もう出てきていいよー敵さん」

 

「……ち、俺の事気が付いてたのか」

 

『いや割とバレバレだったからな』

 

ユラリと一部の景色が陽炎みたいに揺らめいて、そこに立っていたのは、不審者でした

 

黒咲(不審者)黒咲(不審者)じゃないか!どうしてここに、まさか自力で脱出を!?」

 

『(無言の腹パン)彼は不審者だ』

 

「てめぇら後輩の癖に先輩の俺を無視してるんじゃねぇ!」

 

璃緒に毒を盛るような社会のゴミに人権なんてあるはずがない

……あ、バリアンだから人ですらないか

 

「先輩の俺睨むとかてめぇ何処中だオラぁ!」

 

「ハートランド学園中等部2-Aだオラぁ!」

 

『話が進まねぇからさっさと次行くぞオラぁ!』

 

と、言うわけで場面転換

ガレージから移動してここは中央の広場

俺とブラック・ミストは目の前の不審者と向き合っていた

いやだってコートに帽子、マントとか、後全体的な色彩も黒咲さんに似てる、黒の部分は白だけど

 

「……で、要件はわかってるけどあえて言わせてもらうよ、さっさと解毒剤を渡せやゴミ野郎」

 

「後輩風情が先輩にたてつくなんていい度胸じゃねぇか……!

 まぁいい、解毒剤なんて存在しねぇ、毒を消し去るにはデュエルで俺に勝つしかねぇんだよ!」

 

デュエルで勝ったら毒が消えるってどういう原理だオラぁ!

……色々文句はまだたくさんあるけど、とにかく一刻も早くこいつにデュエルで勝たないと!

 

「おっと……そのデュエル待ってもらおうか!」

 

ヴぁ!?

見知った声が聞こえたのでそちらを向くと、トーマスが屋根の上にいた

……いや、お前いつの間に屋根に上ったんだよ!?そしてよく誰も気づかなかったな!

屋根から軽快に飛び降り、俺の前に優雅に着地する

 

「お前は、トロンのとこの息子か」

 

バイロンさんってバリアン世界でそんな有名人だったの?

 

「おい凌牙、大丈夫か?」

 

「大丈夫だけど最近俺の周りの人間、俺に対して過保護すぎじゃね?」

 

『日頃の行いだろ』

 

「なんも言えねぇや」

 

「だから後輩の分際で先輩を無視するなぁ!」

 

まぁすぐ茶番に走るのは笑いとは思うが、こいつは社会のゴミ野郎なので何の問題も無い

 

「おいそこの不審者野郎、このデュエル俺が代わりにやる」

 

「はあああ!ふざけんなし!このデュエルは俺が受ける!いくらトーマスでもこれは譲れないよ!」

 

璃緒の命が掛かってるんだ、親友のトーマスでも譲れない

キッとトーマスを睨み付けるが、いつにもまして真剣なトーマスの眼差しに思わず後ずさってしまう

 

「逆に聞くが、そんな生半可な気持ちで璃緒を助けられると思ってるのか?」

 

「何、言って」

 

「お前、何を迷ってるんだ」

 

「!」

 

『……流石だな、気付いてのか』

 

「ちょっ!ブラック・ミスト!?」

 

なんで言っちゃうの!?

批難の眼差しをブラック・ミストに向ける、が、ブラック・ミストこれを華麗にスルー!

 

『お前だって、本当は薄々気付いてたんだろ……このまま迷ったままじゃいけないって

 いつか必ず気付かれる、そのタイミングが今だったってだけの話だ』

 

……まぁ、そうだよね

いつか必ず露見することだ、これから先必ず俺は選択しなくちゃいけないんだから

人間として生きるか、バリアンとして生きるか

 

「てめぇらふざけんじゃねぇぞ!上等だ、てめぇら2人まとめてかかってこい」

 

「っだってよ?まさかまさかのタッグデュエルやっちゃいますか?極東エリアのチャンピオンさん?

 ……大丈夫、確かに迷いがある、だけど今は璃緒を助けることが先決だよ」

 

あんに無理やりにでもデュエルに参加すると決意表明(?)したらトーマスはため息をついた

あ、これは諦めたサムシングですわ

 

「ふん、やっと話がまとまったか

 早速デュエル!と言いたいとこだがお前ら俺よりも10こは年下だ、後輩は先輩を立ててもらう」

 

10は下って、トーマスが17歳でその10上って事は……27歳?

……いい年下大人が何ちゅー恰好してるんだよ、防犯ブザー鳴らさなきゃ(使命感)

 

「先輩の俺のライフは8000、後輩のお前達のライフはそれぞれ2000づつだ」

 

「それずるくない!?」

 

あっちのライフが4000でこっち2000だったらまだ納得できたけど8000て!?

いくら何でも理不尽過ぎない!?e・ラーの方がまだマシだったぞ!その代わり精神攻撃がクソだったけどな!

 

「はっ、何言ってるんだよ丁度いいハンデだろ?」

 

「後輩風情が生意気な、最強の水属性モンスターの力見せてやるよ!」

 

ドロリと不審者の体が変形(?)し、その姿を変える

あの……なんだあれ、なんだあれ!?えーっと、水属性モンスターって言ってたからそっち関係の動物?だよな?

で、髪?でうねうねしてて……

 

「……クラゲか?」

 

『なるほど、クラゲ先輩って事か』

 

「誰がうまい事言えと」

 

不審者改めクラゲ先輩の足元から不気味な紋章が広がり、弾けた

軽くDゲイザーをチェックするとすでにタッグ設定で、ライフもさっきクラゲ先輩が言っていた条件になっていた

 

「さぁ行くぞ凌牙!」

 

「もちのろん!つーか男だったらデュエルディスクなんて捨ててかかってこい!

 Dディスク、セット!Dゲイザー、セット!デュエルターゲット、ロックオン!」

 

<ARヴィジョン、リンク完了>

 

「「「デュエル!」」」

 

 

神代凌牙LP2000 手札5

ⅣLP2000 手札5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

クラゲ先輩LP8000 手札5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し




というわけで次はVSクラゲ先輩です

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