神代凌牙はデュエルをしない   作:さらさ

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今回めっちゃ長いです
いやだっていいところで切ろうとすると、次の話ですぐデュエルが終わったりするので、この話に全部ぶっこむしかなかったんや……
許せ、ナッシュ……


62/神代凌牙VSNo.73激瀧神アビス・スプラッシュ~知らない記憶~

神代凌牙LP:4000 手札:4

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

伏せ(補給部隊)

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:4000 手札:3

【モンスター】

ゴルゴニック・ガーディアン/攻1600 ORU:1

【魔法・罠】

伏せ×1

 

 

「俺のターン、ドロー!

 俺はセットしていた補給部隊を発動させる!」

 

さてどうしたもんか……

攻撃表示……というか表側表示で出した瞬間、ゴルゴニック・ガーディアンの効果で破壊される

ということは必然的に裏守備で出さないといけないことになる

俺の手札のメンコートは守備力が2000もあるし、ガーディアンに負けることもないだろう

んで、とりあえずブラフとしてペンデュラム・バックとペンデュラム・ターンを伏せとくか

 

「俺はモンスターを裏守備でセット、カードを2枚伏せてターンエンドだ!」

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:2

【モンスター】

裏守備×1

【魔法・罠】

補給部隊(永続魔法)

セット×2

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:4000 手札:3

【モンスター】

ゴルゴニック・ガーディアン/攻1600 ORU:1

【魔法・罠】

伏せ×1

 

 

『我のターン、ドロー!

 それでゴルゴニック・ガーディアンの効果から身を守ったつもりか』

 

「いや全然」

 

ぶっちゃけこういう状況も織り込み済みだろうし、デュエリストの腕もいいし、対処できないわけがないんだよな

 

『リバースカードオープン!魔法カードゴルゴン・チャームを発動!

 フィールドにセットされたモンスターを表側守備表示にする!』

 

やっぱなにかしらの対抗策があったか……

クルリとカードが反転し、メンコートがフィールドに姿を現す

 

 

SRメンコート

星4/風属性/機械族/守2000

 

 

『そしてゴルゴニック・ガーディアンの効果発動!ORUを1つ使い、フィールドのモンスター1体の効果を無効にし、攻撃力を0にする!』

 

 

ゴルゴニック・ガーディアン ORU:1→0

 

SRメンコート/攻100→0

 

 

『そしてゴルゴニック・ガーディアンのもう1つの効果発動!攻撃力0のモンスターを破壊する!』

 

「でも、ただでは転ばないよ!俺は補給部隊の効果発動!1ターンに1度、俺のモンスターが戦闘・効果で破壊されたからカードを1枚ドロー!」

 

石化したメンコートが粉々に砕け散り、フィールドから姿を消す

今現在、このターンの攻撃を凌ぐ手立ては俺にはない

だけどガーディアンのORUを全て使いきらせたのは行幸かな?

 

『さらに手札から装備魔法エクシーズ・ユニットをゴルゴニック・ガーディアンに装備!

 エクシーズ・ユニットはモンスターエクシーズに装備でき、そのモンスターのランク×200攻撃力をアップさせる!』

 

 

ゴルゴニック・ガーディアン/攻1600→2200

 

 

『行け!ゴルゴニック・ガーディアンで凌牙にダイレクトアタック!』

 

ガーディアンが蛇の尾を振り回し、俺に叩きつける

 

「ぐ、ああああああああああ!」

 

 

神代凌牙LP:4000→1800

 

 

痛いよ!2200のダイレクトアタックは痛いよ!

ズサーと勢いよく地面に滑り、何とか体勢を立て直す

 

『我はこれでターンエンドだ』

 

 

神代凌牙LP:1800 手札:3

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

補給部隊(永続魔法)

セット×2

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:4000 手札:3

【モンスター】

ゴルゴニック・ガーディアン/攻2200 ORU:0

【魔法・罠】

エクシーズ・ユニット(装備魔法)

 →対象:ゴルゴニック・ガーゴイル

 

 

よりにもよってエクシーズ・ユニットかぁ……

あのカードは攻撃力上昇のほかに、ORUの変わりとして使える効果がある

またモンスターを出しても、ガーディアンの効果で破壊されるだろう

 

「っつ!」

 

また、遺跡の記憶に入り込む

俺は玉座にまた座っていて、傍には璃緒と3人の兵士が跪いていた

その兵士たちの格好はボロボロで、戦いの後と見て取れる

 

「女王陛下、ご報告いたします

 各方面の戦況は劣勢、ベクター皇子はゴルゴン軍を使い次々と我が国の防御線を突破

 ……我が国の城下に攻め入るのも、時間の問題かと思われます」

 

ガーディアン……カードの精霊(いや、時代的には石板の精霊か?)に生身の人間が勝てるとは到底思えない

ARC-Vのレイだって、プロフェッサーの作った花鳥風月の力が宿ったカードを使って、モンスターと一体になったズァークを倒した……というか封印?したぐらいだし

まぁ、その代わり次元が4つに分断されたけどな!

 

「このままでは、我が国は愚か近隣諸国の民全員が皆殺しにされてしまいます!」

 

兵士の1人が必死に訴えてくる

うーん、どうしたもんか……

これどういう風に答えるのは正解なんだよ……

 

「……お前ら俺に何を求めてるん?」

 

わからなかったら聞くのが1番、相互理解は大事です

 

「お姉様、皆がお姉様の指示を待っています

 この国の女王であり指導者でもある、お姉様の指示を」

 

璃緒ー!俺が聞きたいのはそう言う事じゃない!

もっと、防御を固めたら?とか攻撃したら?とかそういう事を聞きたかったんや!

 

「あのさ、俺はそう言う事を聞きたかったんじゃないんよ

 そうやって俺にお前らの責任を押し付けてくるのやめてくれる?」

 

俺はごく一般的な転生者だ

他人の命も、この国の運命を、押し付け来ないでほしいな

たとえここが遺跡の記憶だったとしても、今ここで起こった出来事の責任は俺が支払わなければならない

悪いけど、他人の為に俺は責任を負えない

 

「じょ、女王!?」

 

「どうしたのお姉様!?」

 

璃緒と兵士たちは信じられないものを見るような目で見つめる

どういう答えを期待してたか知らないけど、俺はお前達の知ってる”女王”じゃないからなー

 

「お姉様は、このポセイドン連合国を束ねて来た指導者じゃない!この世界の平和をずっと守ってきたじゃない!」

 

そんな事言われてもなー……

俺には思い出も、感情も、この国には持っていない

言っちゃなんだが、他人の為に俺は命をかけられない

 

「……やはり、ベクター皇子の事ですの?」

 

「……ん?」

 

「確かに、いきなりのベクター皇子の凶行に私も、この国の民たちも戸惑いに見ています

 でも、だからこそ!私達はベクター皇子を止めなくてはいけないのではなくて!?

 ただの和義を結んだ友好国ではなく、私達の家族を、お姉様の世界で1番」

 

-…乗り越えろ

 

璃緒の声を遮るように、頭の中にアビスの声が響き渡る

ふと横を見ると飾ってあった鏡の中の俺と目があう

 

-…試練を乗り越えろ

 この世界の戦いも、デュエルにも勝つのだ

 さすれば、お前は

 

ガン、と鏡に拳を叩きつける

いい加減にしてくれませんかねぇ!(憤怒)

この意味の分からん状況を理解しようと頑張ってるんに、ちゃちゃ入れてくんなや!

つーかこの世界はともかくデュエルには勝つよ!

 

「俺の試練、ねぇ」

 

璃緒や兵士の皆がなんか言ってますが、知らんぷりです

……ん?鏡?あっ(察し)

 

「んー、まぁ、色々あるけど……どっちも負けるのはイラっと来ちゃうよね!

 よっしゃお前ら!兵士に新たな武装をさせてね!」

 

ぐらり、と遺跡の記憶から現代に戻ってくる

遺跡の記憶がヒントになり、ひとまずガーディアンの攻略方はわかった

あいつの攻撃力を0にすれば、自身の”攻撃力0のモンスターを破壊する”という効果を自分自身が受けることになる

それをするカードは、俺が拾った璃緒のカードしかない

クリアウィングでも突破できるけど、出す前にガーディアンの効果で素材のモンスターを破壊されるもんなぁ

……そんなわけで、デッキは俺に微笑んでくれるかな?

 

「俺のターン、ドロー!」

 

引いたカードは……!

 

「よっしゃ!俺ってばカードに選ばれすぎぃ!

 俺は手札から速攻魔法絶対零度を発動!ORUの無いエクシーズモンスター1体の攻撃力を0にする!」

 

カードから冷気が吹き荒れ、あたりを雪で覆っていく

デュエルの時でもお姉ちゃんを守ってくれるなんて、流石マイゴットプリティーシスター!

 

『無駄だ、装備魔法エクシーズ・ユニットは』

 

「ORUを使った効果を発動する時、その代わりとすることが出来る、だろ?

 でもエクシーズ・ユニットはあくまで”ORUの代わりにできる”だけで合ってORUじゃない、よって絶対零度の効果は有効だ!」

 

ぴきぴきとゴルゴニック・ガーディアンが凍っていく

いくらガーディアンの効果が協力とはいえ、俺のフィールドにモンスターが居なければその効果を発揮することが出来ない

 

 

ゴルゴニック・ガーディアン/攻2200→0

 

 

「この瞬間、ゴルゴニック・ガーディアンの効果発動!攻撃力0のモンスターを破壊する!」

 

ぐらりとまた遺跡の記憶に入り込む

俺は新しい武装をした兵士と一緒に船に乗り込み、海原に繰り出す

そして海からガーディアンが現れる、計 画 通 り (ゲス顔)

 

「今だよ!鏡を出して!」

 

一斉に鏡の盾を構える

その瞬間、ガーディアンから石化の光線が放たれるが、盾の鏡が全ての光線を反射する

反射された光線がガーディアン達に当たり、石化して粉々に砕け散る

やったぜ(コロンビア)

そして感覚が現代に戻る

うーん、でもほんとアビスは何がしたいんかなー?デュエルに勝つヒントとかも出して、わからん

まー、何はともあれ、これで心置きなく展開できる!

 

「俺はSRドミノバタフライを召喚!」

 

 

SRドミノバタフライ

星2/風属性/機械族/攻 100

 

 

パタパタと可愛らしい音を立てながらドミノバタフライが現れる

羽の部分がダイスになっていて、どこぞの駄菓子を思い浮かべてしまう

 

「さらに俺は手札のSRタケトンボーグの効果発動!自分フィールドに風属性モンスターがいる時特殊召喚できる!

 そしてこのカードをリリースすることでSRのチューナーモンスターをデッキから特殊召喚できる!この効果でSR三つ目のダイスを特殊召喚!」

 

 

SR三つ目のダイス

星3/風属性/機械族/攻 300

 

 

「この効果を発動したターン、俺は風属性モンスターしか召喚できないよ

 俺はレベル3の三つ目のダイスにレベル2のドミノバタフライをチューニング!その躍動感溢れる剣劇の魂、出ておいで!レベル5HSRチャンバライダー!」

 

 

HSRチャンバライダー

星5/風属性/機械族/攻2000

 

 

幾重にも星が重なり、新たなモンスターが俺のフィールドに現れる

どうでもいいけど刀を見ると、刀擬人化のゲームを思い出すね

 

「行くよ!俺はチャンバライダーでアビスにダイレクトアタック!」

 

『させぬ、我は墓地のネクロ・ガードナーの効果発動!このカードを除外してその攻撃を無効にする!』

 

刀のままアビスに突っ込むチャンバライダーだが、ネクロ・ガードナーの亡霊(?)がそれを阻む

あれたぶん最初の手札抹殺の時に落ちたんかなぁ……

 

「でもそれで安心するのは早いよ!チャンバライダーは2回攻撃ができる!

 さーらーにーチャンバライダーはダメージステップ開始時に攻撃力が200アップする!」

 

『!』

 

 

HSRチャンバライダー/攻2000→2200

 

 

「いっけーチャンバライダー!柄まで通してー!」

 

チャンバライダーは亡霊を打ち払い、もう1度アビスの方へ向かっていく

2度目の攻撃を防ぐ手段を、アビスは持っていなかったみたいでチャンバライダーに柄まで通される

 

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:4000→1800

 

 

うっし、これでアビスのライフを大幅に削ることが出来た!

最初の攻撃が無効にされなかったら、このターンで決着がついたけどそこまで贅沢は出来ない

俺はそのままエンド宣言をする

 

 

 

神代凌牙LP:1800 手札:1

【モンスター】

HSRチャンバライダー/攻2200

【魔法・罠】

補給部隊(永続魔法)

セット×2

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:1800 手札:3

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

『我のターン、ドロー!

 魔法カードゴルゴニック・リチューアルを発動!

 墓地の岩石族モンスターエクシーズを除外し、墓地から岩石族モンスターを守備表示で特殊召喚する!

 ゴルゴニック・ガーディアンを除外して現れろ!ゴーレム、ガーゴイル!』

 

 

ゴルゴニック・ゴーレム

星3/闇属性/岩石族/守 600

 

ゴルゴニック・ガーゴイル

星3/闇属性/岩石族/守 800

 

 

リチューアルの効果でゴーレムとガーゴイルが蘇生させられる

レベル3……もしかしたらまたガーディアンが来るか?

 

『さらに魔法カードゴルゴニック・パイルを発動!ゴルゴニックモンスター1体につきレベルを1アップする!

 フィールドのゴルゴニックモンスターは2体、よってレベルを2つアップする!』

 

 

ゴルゴニック・ゴーレム 星3→5

 

ゴルゴニック・ガーゴイル 星3→5

 

 

「レベル5のモンスターが2体……!」

 

この場面でランク5のエクシーズモンスターと言ったら……

今デュエルしているアビス自身であり、この遺跡のNo.だろう

 

『凌牙、お前の記憶を呼び起こせ!』

 

「俺の記憶……!いっつ!」

 

どういう意味だと聞こうとした瞬間、遺跡の記憶に放り込まれる

俺の記憶はこの次元とは異なる次元の孤児である”武藤マナミ”と、今この場所で生きている”神代凌牙”の記憶しかない

……いや、もしかして俺が覚えてないだけで”武藤マナミ”と”神代凌牙”の他に違う人物として転生していたとか?

ただ”神代凌牙”の時に”武藤マナミ”を思い出しただけで合って、その前に違う人物として生きていたって不思議じゃないんだし

……あれ?待って、待ってよ

だって、ここはバリアン七皇が人間だった時の遺跡で、アビスはこの遺跡のNo.で、そのNo.が記憶を呼び起こせって事は

 

「…!」

 

嘘でしょ、だってアビスの言ってることが本当なら

俺は、俺は遊馬の、皆の……

いや、これはもしかしたら遊戯王次元特有の心理フェイズかもしれん

だってそうじゃないと、俺は

 

『見るがいい、凌牙!我はレベル5の2体のゴルゴニックモンスターでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 現れろ、No.73!カオスに落ちたる聖なる雫、その力を示し混沌を浄化せよ!激瀧神アビス・スプラッシュ!』

 

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュ

ランク5/水属性/戦士族/攻 2400 ORU:2

 

 

……気持ちを切り替えろ、俺!今はデュエルに勝つことに集中するんだ!

白いマントをつけて、青と黄色の鎧を身に着けたNo.が現れた

 

「……女王!女王!」

 

「!え、な、何?」

 

気が付いたら俺は遺跡の記憶に入り込んでいた

ベクターが船の上から兵士を一人海に突き落とす……って何してるのあいつ!?

 

「まずいです女王!あれは……!」

 

兵士が何か言おうとしたが、その前に海に変化が訪れる

海が渦巻き、光があふれ、現れたのは……遺跡のNo.であり、俺をこの記憶に放り込んでいるNo.73激瀧神アビス・スプラッシュだった

アビスが持っている杖を掲げ、光線を放つ

……次の瞬間、こちら側の船が光線によって次々に爆破・破壊されてしまった

その光線は船のみならず、城や町までも破壊したのだ

 

「うわぁあああああああ!」

 

光線や爆破の衝撃を受け、甲板に転がる

どうする?あいつにはガーディアンに使った鏡の戦法は使えない

あいつを倒すには弱体化か、あるいはあいつ以上の攻撃力を持つモンスターとかで倒すしかない

ここが遺跡の記憶の中である以上、モンスターは召喚できない

弱体化にせよ、方法が分からない、一体どうすれば……!

 

「ふぁっ!?璃緒!?」

 

馬の蹄の音が聞こえたからそちらを見て見ると、璃緒が馬に乗ってデカい桟橋を走っていた

あの子何考えてるん!?見た感じ丸腰だし、いくら何でも危険すぎる!

 

「何やってるの!?璃緒、お城に戻れ!璃緒!」

 

俺の言葉をガン無視し、アビスの前に立つ

待って、ねぇ、何する気なの?

 

「璃緒!」

 

ガクリと倒れそうになった体を何とか支え、前を見据える

いつの間にか現代に戻っている、が……

璃緒は空中に浮かび、十字に張り付けられた罪人のように拘束されていた

 

「おいアビス!てめぇ璃緒に何してる!璃緒を開放しろ!」

 

『神代凌牙、これからお前の本当の試練が始まる』

 

光が収束し、璃緒の代わりに小さなアビス……多分スカイ・ペガサスみたいな存在だろう、が姿を現した

これから、本当の意味でアビスとのデュエルが始まる……!

 

『我はNo.73アビス・スプラッシュの効果発動!ORUを1つ使い、バトルの間攻撃力を2倍にする!』

 

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュ/攻 2400→4800 ORU:2→1

 

 

攻撃力4800……

ターン1制限がないし、最悪9600に跳ね上がるわけか……あかん(白目)

 

『行くぞ!我はアビス・スプラッシュでHSRチャンバライダーに攻撃だ!』

 

「させない!俺は墓地の三つ目のダイスの効果発動!このカードを除外して攻撃を無効にする!」

 

アビス・スプラッシュが杖を掲げ、光線を放つが三つ目のダイスが無効にする

くっそ、クリアウィングかブラック・ミストが居ればこいつなんてやっつけられるのに!

つかなんでバージェストマカードが1枚も来ないんだよ!デッキに何枚入れてると思ってるんだ!

 

『防戦ばかりで、我を倒せると思っているのか!我はこれでターンエンドだ!』

 

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュ/攻 4800→2400

 

神代凌牙LP:1800 手札:1

【モンスター】

HSRチャンバライダー/攻2000

【魔法・罠】

補給部隊(永続魔法)

セット×2

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:2000 手札:3

【モンスター】

No.73激瀧神アビス・スプラッシュ/攻 2400 ORU:1

【魔法・罠】

無し

 

 

またぐらりと遺跡の記憶に放り込まれる

……そして目に飛び込んできたのは、アビスに囚われた璃緒だった

 

「……は?」

 

あまりの事に思考が止まる

なんで、なんで、璃緒が捕まってるの?

 

「ははははははは!さぁ俺に降伏しろ!さもなくばお前の妹は海の泡と消えるだろう!」

 

アビスの足元に渦が現れる

あそこに璃緒を落とすつもりなのだろう

海のど真ん中で、アビスに戦うすべも、璃緒を救うすべも、今の俺にはない

 

「はああああああああああ!」

 

空から男の人の声が聞こえ、そちらを見るとペガサスになった眼鏡の無いドルべがいた

 

「ドルべ!?」

 

「わが友よ何を驚く!私が君の危機に駆け付けないと思ったか!」

 

ドルべはペガサスを巧みに操り、アビスに対して攻撃を仕掛ける

アビスは片手に璃緒を捉え、もう片方には杖を持っている為思うようにドルべに対して攻撃できないでいた

そうしてアビスが思うように動けないまま、ドルべの剣とペガサスによって確実にダメージを与えられていた

 

「何をしている!さっさとドルべを射落とせぇ!」

 

「っつ!ベクター!どうしてだ!どうしてこのようなことをする!」

 

ドルべが必死に何かベクターに訴えかけているが、それを意に返さないようにベクターは俺を見る

その顔は、酷く歪んでいた

 

「さぁ選べ!妹を救うのか、国を救うのか!」

 

どちらを救うかなんて、そんなの璃緒を救うに決まっている!

……でも、少しだけ、少しだけこの国も救いたい、なんて思ってたりする

そりゃ璃緒の方が大事だけど、この遺跡の記憶でしかないけど、それでも俺を信じてついてきた兵士の皆を切り捨てるのは……少しだけ、心が痛む

それにアビスの言った”記憶を呼び起こす”事がそのままの意味だったら

これは遺跡の記憶なんじゃなくて、俺の知らない、俺のもう1つの記憶だったら

少しの躊躇をしている間に、アビスに囚われていた璃緒がアビスの手の上で立っていた

 

「璃緒……?」

 

「邪の呪印を解くには、聖なる代償で浄化するしかない」

 

璃緒はただただ悲しそうに俺を見るが、それ以外に強い意志を感じる

あの璃緒の目は、何か覚悟を決めた目、何が何でもそれを貫こうとする目

 

「璃、緒?お前、何する気だ?おい、やめろ、やめろ璃緒!」

 

これから璃緒がやろうとすることが想像でき、必死に声を張り上げる

やめて、俺が、俺が代わりに聖なる代償とやらになるから!お願いだから、やめて!

 

「お姉様、私の魂がアビスを浄化するわ」

 

ぐらりと璃緒の体が傾く

どんどんと璃緒の体が海面に近づき、そして

 

「璃緒おおおおおおおおおおおおおお!璃緒おおおおおおおおおおおおおおお!」

 

……海から光が爆発し、現れたのは、まだ俺が見たことのないモンスターだった

そして俺の感覚が現代へと戻る

俺はデュエル中にも関わらず、膝を折る

 

「あれが、俺の、俺の知らないもう一つの、記憶?」

 

そうだったとしたら、俺は璃緒を救う事が出来なかったの?

俺の唯一の家族を、俺と同じ血を引く、この世界でたった1人の妹を

 

『このフィールドは、お前の心その物

 お前は再び、この世界でも妹を失うことになる

 ……お前のその心の弱さが、大切な物全てを失うことになる』

 

その瞬間、浮かんでいた璃緒は重力を取り戻し……遺跡の下へ落下していく

その光景は、さっきの記憶にあった璃緒とそっくりで

 

「離……」

 

お願い、お願いだから動いて!なんで動かないんだよ!お願いだから!じゃないと、俺は、また璃緒を、お願い、お願いだから、誰か、誰か璃緒を

 

 

 

 

 

「かっとビングだぁ!俺ぇ!」

 

 

 

 

 

俺の横を見慣れた影が横切る

その影は……遊馬は落ちた璃緒をキャッチし、璃緒が怪我をしないように遊馬がしたになるように受け身を取る

 

「シャーク!いもシャは助けた!これで心置きなくそいつをぶっ飛ばせ!」

 

「遊、馬?」

 

あまりに色々なことが起こりすぎて思考が停止する

唖然とする俺にブラック・ミストが近づき、支えてくれる

 

『凌牙、大丈夫だ!璃緒なら遊馬が助けた!』

 

ブラック・ミストの声でようやく状況がつかめる

璃緒が、助かった?

 

「よかった……よかったよぉ……!」

 

璃緒が無事で、思わず涙腺が緩む

だって、この世界で唯一の肉親が、弔わられなくて

……そうだ、泣いてる場合じゃない

遊馬が璃緒を救ってくれたんだ、俺も、頑張ってこいつを倒してNo.を回収しないと

……記憶について悩むのは、その後だ

 

「ブラック・ミスト、一緒にいてくれるか?」

 

『!当たり前だろ!?』

 

ブラック・ミストが俺の横に立つ

やっぱりお前は心強いなぁ

俺の目の前に光が収束し、1枚のカードとなって俺の前に姿を現す

 

「これは……」

 

記憶の中にあった……璃緒の化身のNo.

 

『さぁ凌牙、我を倒し自分の記憶を取り戻し、女王として世界を導くのだ!』

 

「うっせぇ!世界を導けとか知るか!俺は俺の人生を生きる!俺のターン、ドロー!」

 

大丈夫、璃緒は救われた、ブラック・ミストも遊馬もアストラルもいる

後は、俺が頑張るだけだ!

 

「俺は強欲で貪欲な壺発動!デッキトップを10枚除外して2枚ドロー!

 うっし、俺は手札の妖仙獣右鎌神柱と左鎌神柱でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

2本の光の柱の中に対となる鳥居が姿を現す

俺はそれを確認すると、すぐに伏せカードを発動させる

 

「リバースカードオープン!速攻魔法ペンデュラム・ターンを発動!

 この効果により右鎌神柱のスケールを7へ変更する!」

 

 

妖仙獣右鎌神柱 Pスケール5→7

 

 

「さらに罠カードペンデュラム・バックを発動!

 自分のPゾーンにカードが2枚ある場合、そのPスケールで召喚可能な墓地のモンスター2体を手札に加える!俺は2枚目のレベル4魔装戦士ドラゴノックスと、レベル5のSR56プレーンを手札に加える!」

 

カシュっとデュエルディスクから出て来たカードを抜き取る

俺の展開はまだまだ終わらない

 

「スケール3の左鎌神柱とスケール7の右鎌神柱がいるからレベル4から6のモンスターが同時に召喚可能!

 揺れろ、魂のペンデュラム、天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!手札の魔装戦士ドラゴノックスとSR56プレーン、EXデッキからもう1体の魔装戦士ドラゴノックス!」

 

 

魔装戦士ドラゴノックス×2

星4/闇属性/戦士族/攻1500

 

SR56プレーン

星5/風属性/機械族/攻1800

 

 

光の柱から3つの光がフィールドに降り立つ

よし、これで準備は整った!後は頑張るだけだ!

 

「EXデッキからモンスター効果発動!」

 

『EXデッキからモンスター効果だと!?』

 

まぁ、墓地から罠より珍しいからなぁ

2体のドラゴノックスが光の渦に巻き込まれていく

 

「このカードは融合カードを使わなくても、闇属性のペンデュラムモンスター2体をリリースしてもEXデッキから特殊召喚できる!

 俺は2体のドラゴノックスをリリースして特殊(融合)召喚!覇王眷竜スターヴ・ヴェノム!」

 

 

覇王眷竜スターヴ・ヴェノム

星8/闇属性/ドラゴン族/攻2800

 

 

遊戯王ARC-Vでのラスボスのズァークが使っていた覇王竜の眷属

まだまだ、まだ俺のターンは終わらない!

 

「俺は魔法カードジェリーレインを発動!フィールドのモンスターを全て水属性にする!

 ……行くよ!俺は水属性になったレベル5のSR56プレーンとHSRチャンバライダーをオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

2体のモンスターが光の渦に巻き込まれていく

……光の雪の結晶がフィールドに現れ、ゆっくりと開いていく

 

「氷の心纏いし霊界の巫女、澄明なる魂を現せ!No.94極氷姫クリスタル・ゼロ!」

 

 

No.94極氷姫クリスタル・ゼロ

ランク5/水属性/戦士族/攻2200 ORU:2

 

 

青いドレスに白い鎧を纏った女性型のモンスターが現れた

澄んだ空気を纏った、まさに巫女と呼ぶにふさわしいNo.だ

 

「バトルだ!俺はスターヴ・ヴェノムでアビス・スプラッシュに攻撃だぁ!」

 

『甘い、我はアビス・スプラッシュの効果を発動!ORUを1つ使いバトルの間攻撃力を2倍にする!』

 

「甘いのはそっち!俺はクリスタル・ゼロの効果発動!ORUを使うことでフィールドのモンスター1体の攻撃力を自分のエンドフェイズまで半分にする!俺はORUを2つ使い、アビスの攻撃力を半分の半分にする!クリスタル・イレイザー!」

 

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュ/攻 2400→4800→2400→1200 ORU:1→0

 

No.94極氷姫クリスタル・ゼロ ORU:2→0

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP2000→400

 

 

クリスタル・ゼロの効果でアビスの力が急速に力が失われていく

相手を油断させるために先にスターヴ・ヴェノムで攻撃したけど、どうやら心配しすぎ見たいだ

 

「俺はクリスタル・ゼロでアビス・スプラッシュに攻撃!クリスタル・ジャベリン!」

 

『うわああああああああ!』

 

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP400→-1800

 

WIN 神代凌牙

 

 

アビスが吹っ飛び、Dゲイザーのファンファーレが鳴り響く

あー……勝てたぁ……

 

「やったなシャーク!」

 

遊馬が璃緒を支えながら喜びの声を上げる

 

「ねぇアビス、なんで俺と璃緒にこんなことするん?」

 

なんで璃緒を人質まがいな事をして、俺の記憶を呼び覚ますような真似をしたのか

敗者であるアビスに、俺の質問に答えるしかない

 

『……我はそなたの命令に従ったまでだ

 そなたの記憶を呼び覚ますという命令に』

 

「俺の命令……?」

 

アビスが光に包まれて、1枚のカードになり俺の元に来る

そしてカードを受け取った瞬間、一層強い光に包まれる

これが、俺のNo.……

 

「ん!?」

 

あっれー!?アビスの効果が変わってる!?

レベル5のモンスター2体からレベル5の水属性モンスター2体に変わってるし、効果使ったターンの相手に与えるダメージが半分ってどういうことぞ!?

なんて考えていたら、俺達は光に包まれて、気が付いたら飛行船にいた

 

「遊馬!皆!」

 

小鳥ちゃんが涙目で俺達を迎える

なんとか戻ってきた、か

……いや、安心してる場合じゃない!璃緒は!?

 

「璃緒?璃緒!」

 

璃緒はぐったりと甲板に横たわっており、力なく目を閉じていた




次のデュエルは、アイドルのあの子です
ちょっとだけあの子の秘密もわかる……かも

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