神代凌牙はデュエルをしない   作:さらさ

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Aiは一体何がしたいんだ……
ものっそい不穏な空気が漂っているんですけど
それにスペクターの過去もやばい
まさかロスト事件で逆に救われていた奴がいたとは……


61/神代凌牙VSNo.73激瀧神アビス・スプラッシュ~遺跡の記憶~

変わり映えしない景色をひたすら歩き続ける

ここがどこなのか、入り口はどこへ行ったのか、遊馬達はどこなのか、今の俺に知るすべはない

 

 

-…おいで

 

 

見知らぬ……多分この遺跡のNo.の精霊の声に導かれるように、ただ歩き続ける

この遺跡のNo.は俺と璃緒を呼んでどうしたいんだ?

わざわざ璃緒のカードを囮に使って分断させるなんてな

ブラック・ミストともテレパシー出来ないし

そして遺跡を歩き続けて見えて来たのは巨大な建造物だった

なんだろ、ピラミッドを段々にして、てっぺんの部分を削り取った……感じかな?

きっとこの上に遺跡のNo.と……璃緒がいる

俺はピラミッドを駆け上がり頂上を目指す

 

「璃緒!」

 

ピラミッドの頂上には確かに璃緒がいた……が、その服装は先ほどとは全く違っていた

白を基調とした民族衣装を着ており、頭に白いヴェールを被っている

確かに璃緒だ、だけど中身はまるで別物だ

 

「お前が遺跡のNo.か!璃緒に何をした!璃緒を開放しろ!」

 

まるで俺の言葉を綺麗にスルーし、空から落ちて来た光を璃緒……否、遺跡のNo.はつかみ取る

光が放たれ、そこにあったのは1枚のNo.だった

 

『そなたを待っていました、神代凌牙

 我が名はアビス、No.73激瀧神アビス・スプラッシュ』

 

こいつが残り2枚の内の1枚か……

今ここにアストラルも遊馬もブラック・ミストもいない

あのメンバーで俺が最弱だとしても璃緒の為に、俺が頑張らないと

 

『我とそなたは戦うべき運命

 ……目覚めよ、我が力を受け継ぎし者よ!』

 

……アビスの、No.の力を受け継ぎし者?どういうことだ?俺とアビスには何の接点もない

もしかして、俺の先祖が海の民だって事が関係しているのか?

No.の名前からして水関係のNo.なのは間違いないだろうし

 

「まぁいいや、そんなことは重要じゃない

 重要なのはお前をぶっ倒して璃緒を助けることだ!」

 

『話が早いな、さぁ!デュエルを始めよう!』

 

「上等だ!デュエルディスクを捨ててかかってこい!

 Dディスク、セット!Dゲイザー、セット!デュエルターゲット、ロックオン!」

 

<ARヴィジョン、リンク完了>

 

『「デュエル!』」

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

「先行は俺だ!ドロー!

 俺は手札から手札抹殺を発動!お互いのプレイヤーは手札を全部捨てて、その枚数だけデッキからドローできる!

 そして手札から番猫-ウォッチキャットを特殊召喚する!このカードは自分フィールドにモンスターがいない時に特殊召喚できる!」

 

 

番猫-ウォッチキャット

星1/地属性/獣族/守1800

 

 

時計の首輪をつけた猫がフィールドに出てくる

璃緒は猫嫌いだけど、今はNo.の精霊さんだからセーフでしょ(震え声)

 

「そして魔装戦士ドラゴディウスを召喚!」

 

 

魔装戦士ドラゴディウス

星4/光属性/戦士族/攻1500

 

 

「俺はこれでターンエンド

 そしてエンドフェイズに番猫の効果発動!このカードを除外してデッキから永続魔法をセットできる!俺は補給部隊をセットするぜ!」

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:3

【モンスター】

魔装戦士ドラゴディウス/攻1500

【魔法・罠】

伏せ×1(補給部隊)

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

補給部隊はセットされた状態だけど、次から効果を使えるのは大きい

次はアビスのターンだけど、どんなデッキを使うのか

 

『我はゴルゴニック・ゴーレムを召喚!』

 

 

ゴルゴニック・ゴーレム

星3/闇属性/岩石族/攻1200

 

 

「はぁ!?岩石族!?」

 

名前からして完全に水系統の使い手だと思ってたのに岩石!?どういうことだ!?

俺がプチパニックを起こしている間にも、アビスはデュエルを進める

 

『そして岩石族モンスターの召喚に成功したのでゴルゴニック・ガーゴイルは手札から特殊召喚できる!』

 

 

ゴルゴニック・ガーゴイル

星3/闇属性/岩石族/守 800

 

 

『見るがいい凌牙、我が力を!

 我はレベル3のゴルゴニック・ゴーレムとガーゴイルでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!ランク3ゴルゴニック・ガーディアン!』

 

 

ゴルゴニック・ガーディアン

ランク3/闇属性/岩石族/攻1600 ORU:2

 

 

「なんだよ、そのモンスターは……!」

 

その姿はあまりにも醜悪だった

下半身は蛇のような体で、顔にはだらしなく開けている口に赤と青のオッドアイ

耳の部分には蛇がくっついていて、物好きじゃない限りこのモンスターを使役したいと思うデュエリストはいないだろう

このモンスターはNo.じゃないとはいえ、警戒するに越したことは無いだろう

ドラゴディウスの攻撃力は1500だし、仮にダメージを受けても100しか食らわないから……

 

『果たしてそうかな』

 

俺の心の声に反応するように、アビスは声をかける

 

『我はゴルゴニック・ガーディアンの効果発動!ORUを1つ使い、フィールドのモンスター1体の効果を無効にし、攻撃力を0にする!』

 

 

ゴルゴニック・ガーディアン ORU:2→1

 

魔装戦士ドラゴディウス/攻1500→0

 

 

ガーディアンの目から光線が放たれ、ドラゴディウスが石化していく

イメージ的にはメデューサか?

 

『ゴルゴニック・ガーディアンのもう1つの効果発動!

 このモンスターがフィールドに存在する限り、攻撃力0のモンスターは破壊される!』

 

「なんだと!?」

 

ガーディアンの蛇がドラゴディウスに絡みつき、破壊する

表側表示の限り、いくら守備力が高くても無意味って事か……!

 

『ゴルゴニック・ガーディアンでダイレクトアタック!』

 

「悪いけどそのダイレクトアタックは通さない!俺は手札のバトルフェーダーの効果発動!

 このカードを特殊召喚して、バトルフェイズを強制終了させる!」

 

 

バトルフェーダー

星1/闇属性/悪魔族/守  0

 

 

『ダイレクトアタックは避けたようだが……

 我はゴルゴニック・ガーディアンの効果発動!攻撃力0のバトルフェーダーを破壊する!』

 

バトルフェーダーもドラゴディウスと同じように破壊される

ガーディアンの効果はクリアウィングと似てるけど、攻撃力0のモンスターを破壊する効果は厄介だな

 

『我はカードを1枚伏せてターンエンド』

 

「俺はエンドフェイズ時にドラゴディウスの効果発動!

 戦闘・効果でこのカードが破壊されたエンドフェイズに発動できる、ドラゴディウス以外の攻撃力2000以下の戦士族か魔法使い族を手札に加える!俺は魔装戦士ドラゴノックスを手札に加える!」

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:4

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

伏せ(補給部隊)

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:4000 手札:3

【モンスター】

ゴルゴニック・ガーディアン/攻1600 ORU:1

【魔法・罠】

伏せ×1

 

 

『そんな様で璃緒を救えると思っているのか?』

 

……アビスは何がしたいんだ?

俺と璃緒をここに呼んだだけじゃなく、まるで試すようにデュエルするなんて

いや、実際に試しているのか?

スカイ・ペガサスの時もドラッグルーオンの時もだけど、あの時のデュエルは遊馬やカイトを試していた

あいつらが自分を使うにふさわしい所有者かどうかを見極めるために

俺も、アビスに試されているのか?

 

「俺のターン、ドロッ……」

 

ドローをしようした瞬間、ちらりとアビスの方を見ると、あいつの両目が青く光っているのが見えた

何だあいつ、璃緒の体で何しようとしてるんだ!

 

「おいお前!璃緒の体で何を、」

 

ぐらりと視界が歪む

頭を押さえ、その歪みの痛みを追い払おうとゆっくりと頭を振る

 

「え、なっ……!」

 

そして再び前を向いた時には、俺の景色は変わっていた

俺は玉座のようなものに座っており、周りには槍を持って綺麗に整列した兵士がいた

周りを立ち上がり、あたりを見回す

玉座の後ろはステンドグラスになっていて、外からの光ですごい綺麗

そして壁にはこの国の紋章が飾られていた、あの紋章どっかで見たことあるんだけど、何処だっけなー?

白を基調とした建物らしく、調度品は青の系統でまとめられていた

 

「幻覚……?遺跡の記憶か?」

 

アストラルやブラック・ミストも遺跡の記憶を見たって言ってたし、俺が見てもおかしくない……のか?

 

「鏡?」

 

玉座の横には鏡が備え付けられていて、今の俺の姿を映し出してくれた

久しぶりに見た包帯が無く、やけどの跡もない顔

服装は金色の鎧で、青いマントを羽織っていて、胸元にはバリアンの紋章のペンダントをかけていた

 

「お姉様」

 

璃緒の声が当たりに響く

声のした方を向くと、そこにはあの民族衣装を着た璃緒がいた

 

「璃緒?お前もこの幻覚を見てるん?」

 

「リオ?幻覚?」

 

璃緒は意味が分からない、というようにコトリと首を傾ける

アビスが璃緒の体を使っているから、ここにいるのは本来の璃緒の意識だと思っていたがどうやら違うらしい

だったらこの璃緒はなんだ?ここが遺跡の記憶である以上、ここは過去の世界で、バリアン七皇の伝説の中だ

だからここに出てくる登場人物は、人間だったバリアン七皇達とその時代の人達しかいない

 

「お姉様、そろそろお時間です、皆が待っていますわ」

 

これ以上ここにいても進展しないだろう

俺は璃緒の後についていく、そしてついたのはバルコニー

 

「女王ー!」

 

「女王様ー!」

 

そこから見えるのは、たくさんの人

皆が俺を見て、嬉しそうに声を張り上げている、女王、と

 

「皆が、偉大な女王を讃えていますわ」

 

「……俺が?女王?」

 

璃緒は嬉しそうに、国民を見下ろしている

なんだろう、少なくとも俺が記憶している限り、遺跡のNo.を回収している時にこんな現象は起きなかった

もしかして、アビスが俺達姉妹を呼んだのはこの遺跡の記憶と関係あるのか?

 

「女王!女王!大変です!敵襲です!」

 

「敵ぃ!?」

 

俺が声を荒げると、敵襲を知らせて来た兵士は顔を歪める

璃緒の様子を見ようとそちらを見ると、璃緒も悲しそうに顔を歪める

敵襲ということは、戦いになり人が死ぬ

璃緒は優しいからその辺の事で、悲しそうにしているのかと思ったがどうやらそうではないらしい

でも顔を歪める理由までは俺はわからん

俺は城を飛び出し、兵士が用意してくれた馬に乗り走る

海上には海を監視する巨大な建物が建てられていた

建物の上に上がり、兵士たちに言われるままに海をみた

海には何十隻とおびただしい数の船がこちらに向かっており、後ろにはほかの船とは十数倍はあろう巨大な船がこっちに近づいてきていた

 

「あれが、敵か」

 

そう言った瞬間、兵士たちの空気が変わる

全員が顔を歪めて、痛ましそうに俺を見ていた

なんだ?あの敵に何かあるのか?

 

「総員、迎え撃て!」

 

兵士の声で迎撃態勢を取ろうとした時、いきなり海が荒れる

そして海からさっきアビスが召喚した同じモンスター、ゴルゴニック・ガーディアンが現れた

こちらに向かい目から光線を出す……ってあれがアビスの召喚したガーディアンと同じ効果を持っているとしたらまずい!

 

「全員よけろ!あれに当たるな!」

 

光線が俺達に降りかかる

俺は自分の身を守るのに精いっぱいで、周りを見る余裕がない

……そして光線の雨が終わり、周囲を見回すと、そこは地獄絵図だった

助かった者ももちろん居るが、兵士の大半が光線に当たったらしく石化してしまっている

……戦いだってわかってるけど、酷いな、これは

巨大な船がこちらに近づいてくる

 

「ん!?ベクター!?」

 

巨大な船についている玉座(?)に座っていたのはベクターだった

ベクターの遺跡だと、ベクターは平和を愛した優しい皇子だったんだけどどうしてこうなったし

 

「!えぇ……ベクター皇子は、現在近隣諸国を侵略し、略奪と虐殺を繰り返しており……現在は狂気の皇と呼ばれています」

 

「おっふ……でもなんでベクターが……」

 

この遺跡の記憶にベクターが登場するとか予想外ですわぁ……

でも璃緒もいるし、この記憶どうなっているん?

ていうかベクターとこの遺跡の伝説を持つ七皇って同じ時間軸存在してたんか

 

「女王よ、貴女の心の痛みは我々の想像を超えるでしょう……

 ですが忘れないでください、巫女姫様も、我々も、女王とベクター皇の思い出を否定しません」

 

巫女姫様って多分璃緒の事だろうなぁ

ってか女王とベクターの思い出って何?女王とベクターって知り合いなの?この兵士たちも知ってるみたいだし、国ぐるみの付き合い?

うーん、わからん

 

「……っつ」

 

ぐらりとまた視界が歪む

前を見るとデュエルディスクを構えている璃緒が見えた

帰ってきたか……てか本当にアビスは一体何をしたいんだ?

遺跡の記憶を見せて、俺にそれを疑似的に体験させる

今までの遺跡と全く違い、俺は戸惑いを隠せなかった

 

 

神代凌牙LP:4000 手札:4

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

伏せ(補給部隊)

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュLP:4000 手札:3

【モンスター】

ゴルゴニック・ガーディアン/攻1600 ORU:1

【魔法・罠】

伏せ×1




この海の遺跡のデュエルは凌牙ちゃんの今後を左右する重要なものになります
このデュエルが終わった後、凌牙ちゃんがどのような行動をとるのか、お楽しみに!
……といっても、デュエルはまだまだ始まったばかりなんですが

ちなみに今回のデュエルは今までと違い、ほとんどアニメと同じように進行します

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