神代凌牙はデュエルをしない   作:さらさ

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毎回思うけどヴレインズの最初からクライマックス感がやばい
ゴーストガールに幸あれ……(黙祷)
それにしてもなんでイグニスで世界が滅ぶのか、まだ明かされてないんだよなぁ……
でもネットワーク全破壊するぐらいに追い詰められてるって事は、ガチで世界崩壊案件だよなぁ
結局イグニスってなんだ(振り出しに戻る)


59/神代凌牙の覚悟

ブー!とデュエル終了のブザーが鳴り響く

なんかこのデュエルで色々エキセントリックなことが起こったけど(カードの創造とかカードの創造とか)なんとか勝てたー!

俺は後ろに吹き飛ばされたブラック・ミストに駆け寄り、手を差し伸べ体を起こしてやる

 

「ブラック・ミストー大丈夫なん?」

 

『ギリギリ生きてる』

 

「マジか」

 

割と派手にぶっ飛ばされたにも関わらず、ぴんぴんしているお前はすごいと思いました(小並感)

ブラック・ミストは立ち上がった(?)後1枚のカードを取り出す

それを見た俺もEXデッキからカードを1枚抜き取り、それをブラック・ミスト同様見せる

No.45滅亡の預言者クランブル・ロゴスとNo.14バージェストマ・カンブリア

 

「No.ってこんな風に出来るんだね」

 

『現実逃避はやめて、どうぞ』

 

「うぃっす」

 

とりあえず2人揃って空を見上げる

本日もハートランドは平和です

 

「……とりあえず俺はさなぎちゃんが余計にわからなくなったわ」

 

『俺も同感だな

 見た限りでは蝶野さなぎは何の力も持ってないただの有名人だ』

 

ただの有名人ってなんかおかしい単語が出て来たけど気にしないようにしよう

そう、さなぎちゃんはなんの力も無い有名人のはずだ

白紙のカードを持ってた時点でただの有名人とはいいがたいけどねぇ……

まぁメタ的な視点で言っちゃえば、遊戯王世界に置いて白紙のカードってわりかし重要なアイテムなことが多い

 

『問題はその白紙のカードをなんで持っていたかだな』

 

「ナチュラルに人の心を読むなっちゅーに……

 まー、考えられるの候補はいくつかあるよねー

 さなぎちゃんがこの白紙のカードを創造したとか、誰かに渡すように託されたとか」

 

『どっちにしても蝶野さなぎに話を聞くしかない、か』

 

「ほんとそれな」

 

でも有名人のさなぎちゃんに会えるかどうか……

いっそ科学者連中に頼むか?

カイトとかクリスの兄様ならあっさりさなぎちゃんの個人情報割れると思うけど……流石にそこまでするのはなぁ……

 

「まー、この話はまたハートの塔に行ったときにすんべ

 ほんじゃま、本題に入るとしますかね」

 

『はぁ?本題にならもう入ってるだろ?』

 

「お前さぁ……俺達がなんでデュエルしてたのか思い出せよ」

 

いまさらはぐらかされてもこっちが困るYO!

俺がデュエルで勝った場合は、なんで俺がNo.を使っちゃいけないのかを話す

ブラック・ミストが軽い舌打ちをする……なんか俺の扱い酷くない?

 

『……お前はこの次元の人間じゃない』

 

そらそうやって言いたい言葉をぐっとこらえる

今ブラック・ミストは話してくれているんだ、ここで茶化すのは失礼だ

 

『お前の魂はこの次元の物じゃない、だからこの次元の力を使えば使うほどこの世界の力が内包されることになる

 だかさっきも言ったようにお前の魂はこの次元の物じゃない、だからたとえお前が死んだとしてもこの次元に転生できない

 だが世界の力を内包させすぎると、違う次元の力を持った魂だからお前の元居た次元に転生できない』

 

んー?なんか拍子抜けしちゃったなー

たしかにブラック・ミストの話だと、このままだとどこも転生できないって事態になるけど、それってあくまで死後の話やん?

死んだ後も意識があるわけじゃあるまいし、別に問題ないんじゃねーの?

 

『問題大ありだ……!お前の魂も器ももう限界なんだ!

 このままこの次元の力(No.)を使い続ければ、お前の魂は永遠に次元の狭間で彷徨うことになるんだぞ!?

 意識は無く、意思も無く、誰にも認識されず、自身が何かもわからず、ただそこに”ある”だけ……

 俺も意思の無かったNo.だった期間があるからわかる、あれは……地獄だ』

 

うーん……

正直そう言われても、俺の意識は変わらない

 

「うん、ブラック・ミストがそこまで俺を思ってくれてたんて嬉しいよ

 確かに意思も何も無く、ずっとそこにいるだけなんて常人だったら発狂ものだしね」

 

でも俺は普通の人間ではない、転生者だ

転生者だからと言ってこの問題が解決するとは思わない

そんなことが出来るのは俺TUEEEE!なチート野郎とか夢主に限られる

俺は転生者とはいえ、普通の人間だ

 

「それでも俺はやめるつもりはないよ

 っていうかブラック・ミストだって、俺がこう答えるってわかってたからこの事言わなかった系?」

 

『……むしろこの話を聞いて、お前が覚悟を決めるのが嫌だったんだよ』

 

「そらね

 だったら俺はこの命を使いつぶすつもりで行くさ

 異次元の狭間を彷徨う?永遠に生きながらえながら?……だからどうしたん?

 俺はそんなもんより璃緒やお前がいるこの次元を守る、知ってるか?命って投げ捨てるもんなんだぜ?」

 

『ライフは投げ捨てるみたいなノリで言われても』

 

嫌だって、ねぇ?

普通に考えて俺1人の命と璃緒やトーマスやブラック・ミスト達の命、比べるまでもないやん?

それに俺は記憶を持ってこの次元に転生してきている以上、なんらかのペナルティがあってもおかしくないと思ってないし

……どのみち、今世じゃ長生きできそうにないし

 

「ブラック・ミスト、俺はこの選択を後悔する時が来るかもしれない

 ……けど俺は巻き込まれたわけでも無い、俺自身の手で選んだんだ」

 

最初はデュエルが怖かった

痛い思いが、怪我をするのが、カードにされるのが……死ぬのが

でも今じゃ、あいつらを守ってぽっくり逝くのも悪くないと思う

この心境の変化は、俺があの声をきっとあの声を聞いたからだ

サルガッソで聞いた、あの声を

 

「本当はブラック・ミストだってわかってるんだろ?

 たとえ俺の前世カードがあったとしても、絶対にNo.を使わざる負えない状況が絶対来る

 いや、No.が無ければ俺達は絶対勝てない」

 

それはNo.耐性もあるし、効果が強いのもある

けど1番の理由はNo.そのものだ

それ単体で莫大な力を持つNo.はその存在に、そこにあるだけで人間に莫大な影響を及ぼす

いくらクリアウィング・ファスト・ドラゴンが漫画版ユーゴのエースモンスターだとしても、それはあくまで漫画の付録に過ぎない

本当の意味で”クリアウィング・ファスト・ドラゴン”とはいえないのだ

俺の前世カードは、所詮ただのカードだから

 

『そんなことぐらいわかってるさ、この次元でNo.がどれだけの意味を持つのか』

 

自身がNo.であるブラック・ミストだから言える事なんだろう

No.がどれだけの力を持っているのかを

カイトだって銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)はバリアンの力で出来た、特別なカードだ

あのカードが無ければ、カイトだってナンバーズハンターとしての活動なんてできなかっただろう

 

『それでも、それでも俺はお前にNo.を使わせたくない!俺は、お前に、あんな思いをさせたくない!させたくないんだよ……』

 

止まっていたはずの涙が、またブラック・ミストの目から溢れ出ている

だけど俺は、ブラック・ミストの思いに答えられない

 

「……ごめんねー」

 

俺の言葉は虚しく空に響くだけだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、師匠!」

 

TVで絶大な人気を誇るデュエリストアイドル、蝶野さなぎは普段の衣装とは違い活動的なズボンとシャツにポニーテールという、TVで見る”蝶野さなぎ”とはかけ離れた姿をしていた

高い高層ビルの上で眼下の人物を見下ろす

その目線は神代凌牙とブラック・ミストがいた

 

「ん、来た」

 

蝶野さなぎの問いかけに答えた”師匠”は赤いジャケットと肩に羽織っており、目元が見えないくらいに深く赤い帽子をかぶっていた

師匠は蝶野さなぎの隣に立ち、一緒になって2人を見下ろす

 

「会いに行かなくていいの?シャークちゃんは師匠の……」

 

「……いい、もうすぐその時が来る、その時まで俺との接触は避けるべき」

 

「師匠がそこまで言うんだったらさなぎはもう何も言わないけど……」

 

師匠は下でじゃれ合う(?)2人を見ながら隣の蝶野さなぎを見る

一瞬きょとんとしたが、蝶野さなぎは師匠の言いたいことが分かったのか言葉を紡ぐ

 

「シャークちゃんはさなぎが渡したカードをちゃんと使ってくれたみたいだよ?」

 

「なら、よかった」

 

安心したように師匠は息を吐く

そんな師匠の様子を見た蝶野さなぎは少々不機嫌に顔を歪めた、それは決してデュエリストアイドル蝶野さなぎがする表情ではない

 

「そんなに気になるんだったら会いに行けばいいじゃん!さなぎ越しにシャークちゃんの様子聞いてくるのいい加減やめてくれないかなー?」

 

「だ、だから、それは、もうすぐその時が来て、その時に会えるから、今は」

 

「もー!いっつもそう言ってるじゃん!」

 

「でも、今回は本当!」

 

「いっつもうじうじして、そんなんじゃシャークちゃんに嫌われても知らないよ?」

 

「!」

 

「後さなぎは師匠よりシャークちゃんの味方するからね?」

 

「(´・ω・`)」

 

「そんな顔しても困るよー」

 

非常にコミカルな掛け合いに、TV越しで見ている蝶野さなぎを知っている人物は思わず2度見する事だろう

師匠は悲し気な顔をしながらも蝶野さなぎを見つめる

 

「というか師匠、さなぎすっごいシャークちゃん達に怪しまれてるのだけどどうしてくれるの?」

 

「マジごめん」

 

「真顔で言われても、説得力の欠片もないよ……」

 

冗談で言っているのか、それとも本気で言っているのか蝶野さなぎはわからない

だって真顔だし、帽子で表情見えないし

 

「……ブラック・ミスト君の言ってたことって本当なの?

 シャークちゃんの魂が、もう限界だって、異次元の狭間に漂うって」

 

「うん」

 

「なんで断言できるの?」

 

「俺が頼んだから、守り人に、ブラック・ミストへの伝言を」

 

「!じゃぁ師匠は知ってたの!?シャークちゃんの魂がもう限界だって!」

 

「うん」

 

「……!」

 

蝶野さなぎは特注で作ったDゲイザーを目にかけ、Dディスクを構える

その目に映るのは、敵意

そんな様子を師匠は表情を変えずに見ている

何も変わらない師匠の様子に、蝶野さなぎはいら立ちを覚えた

 

「なんで師匠は冷静なの!?だって、シャークちゃんは」

 

「うるさい」

 

師匠は蝶野さなぎの言葉を遮る

帽子の影から見えた表情は、苦しそうに歪められていた

 

「俺だって、いやだ

 でも、これからもこの世界で生きたいのなら、死なないといけない(・・・・・・・・・)

 

生きないと思うなら、死ななければならない

矛盾した言葉だが、蝶野さなぎはその言葉を聞いて構えていたDディスクを下す

 

「だってお姉ちゃんは……武藤マナミは、神代凌牙は、存在しないから」


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