神代凌牙はデュエルをしない   作:さらさ

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まさかの財前ちゃんのお兄様呼び……
というかお兄さん、あんた妹を大切に思ってるんだろうけどその言い方は誤解されるって!
どうして遊戯王次元の人間はあんなにも言葉が足りないのだろうか……

TFSPで十代のM・HEROおもしろそうで十代のデッキを元に色々調整したらなんと魔法カードが30枚超えに!?
…でもやってるぶんにはすごい楽しい


47/神代凌牙と呪われた遺跡

「どこに行く気なんだよ、No.のある場所が分かったって言うのか?」

 

異次元トンネルの中を飛びながらドン・サウザンドに問いかける

 

『ああ、お前の記憶の底からな』

 

「俺の……?」

 

どうしてそこで俺の記憶が出てくるのか

7枚のNo.はドン・サウザンドに聞いて初めて知ったものだ

……いや、考えるのはよそう、俺はドン・サウザンドの為にNo.を集めればいい

 

「そう言えばお前はあのNo.について何か知っているのか?」

 

サルガッソで凌牙が見せたあの異質なNo.

No.35ラベノス・タランチュラとNo.84ペイン・ゲイナー

そして、最後に凌牙が召喚しようとした”何か”

 

『あやつの事か……放っておけ、あやつもあやつで我の眷属

 我らに害をなす事はしないだろうし、今のお前には到底御しきれない』

 

「あいつ……?ってことは自我があるのか」

 

まさかブラック・ミストの他に自我があるNo.がいるとは思わなかった

それにドン・サウザンドの眷属ってことはそれ相応の力を有しているという事か

問題はなんでそいつを凌牙が持っていたのか

 

『まぁいい、それよりも急ぐぞ

 アストラルたちに遅れを取るわけには行かないからな』

 

「そうだな」

 

異次元トンネルの中を進み続ける

……俺の記憶から探し当てたNo.、その意味を深く考えずに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが次の遺跡かー」

 

飛行船から次の遺跡のある場所に来たけど……

孤島にある大きな遺跡……というかお城に近いところに来た

あのスカイ・ペガサスがあった遺跡とはまた違った雰囲気が出ている

警戒しつつ入り口を皆でくぐり……そうになった時、璃緒が足を止めた

 

「璃緒?どうしたん?」

 

俺の声に反応して皆が足を止める

璃緒は何かを感じ取っているのか、両腕を擦ってあたりをきょろきょろしている

 

「ここは……かなり危険ですわ」

 

「危険って……璃緒さん、ここそんなに危ないんですか?」

 

小鳥ちゃんが不安げに璃緒に聞いてくる

確かに俺でもここの雰囲気が、なんだか薄暗く感じるし小鳥ちゃんもなにがしか感じてるっぽい

 

「できれば入らない方がよろしいですわ」

 

『だが、地図が示した場所はここだ』

 

『だけど俺もここには何かやばいもんを感じる

 さっさとここのNo.を回収して帰ろう』

 

他の皆もその意見に賛成し、少しためらいながら遺跡へと足を踏み入れる

入ってすぐに階段になっていて、すぐに下へ下っていく

階段の壁にはあのスカイ・ペガサスみたいに文字と絵が書いてあり解読が無理そう、だけど……

何でだろう、ここには初めて来た気がしないのはなんでだ

そうだ、この感覚……バリアンのやつらと初めてあった時と同じ違和感

 

「これって、遺跡の伝説だよな?」

 

遊馬が壁画を見ながら皆に問いかける

 

『だろうな、十中八九なにかしかNo.と関係あるだろう』

 

アストラルも壁画を見ながら顎に手を当ててどう関係するのか考えてるみたい

璃緒は目を閉じて、この遺跡の何かを感じ取っていた

 

「嘆き合っているわ……過去の人達が」

 

「過去の人……?じゃあここってスカイ・ペガサスの遺跡と違って人が住んでいたって事?」

 

「ええ、過去の人が語り掛けてくるわこの遺跡の伝説を…呪われた皇子の伝説を

 かつてこの王宮に住まう皇子は平和を愛し、民を愛していた

 そして民も平和を愛し、皇子を愛していた

 ある時皇子は敵国と和議を結び、国の戦乱を収める一歩を踏み出した

 しかし皇子が和議を結んだ夜に王とその妃が何者かに殺され、皇子は狂ってしまった」

 

璃緒はそこまで言い終わるとふらりと倒れこむ

階段から落ちないようにその体を支える

 

「大丈夫か?」

 

「ええ、少し……」

 

顔色が悪く、その過去の人の声とやらで精神が随分参っている見たいだ

伝説を聞いて余計に怖くなったのか小鳥ちゃんは遊馬にべったりとくっついている

呪われし皇子……一体ここで何が起こったのだろうか

皆恐る恐る階段を下っていく、と少しだけ広い空間でた

そこには5つの通路があり、それぞれが別の色で塗装されていた

 

「これ……どれに進めばいいのかしら?」

 

『なんか手掛かりになりそうなものは……』

 

皆はそれぞれの場所を探し、何かないかと探している

 

「あ、これ父ちゃんの目印だ!」

 

遊馬が一番端の通路を指をさしてあるものを見せる

通路の目立たないところに星のマークがあり、遊馬が指さしてたのはこれみたいだ

 

『おい……バリバリ罠っぽいんだけど大丈夫かこれ』

 

「大丈夫だって!俺を信じろよ!」

 

そう言って遊馬達は星のマークの書かれているルートに進む

……まーここは遊馬の第六感を信じますか、ここの通路も先ほど通った通路と同じで入ってすぐに階段になっている

俺も皆の後に続いて階段を降りる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『すごーい!ここ迷路みたいだな!』

 

『待ってくださいナッシュ!』

 

『お姉さま、あまり人さまの家ではしゃぐのは……』

 

『ナッシュ、あまりふざけすぎると国へ強制帰国させるからな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達の通路の横

4人の子供の影が俺達が入ろうとした通路の隣の通路に入っていく幻影を見る

まただ、あのスカイ・ペガサスの遺跡でみた幻影をここでも見えた

……あっちの通路に何かあるのか?

でも前を見ると璃緒達はすでに階段を下っていて、俺が付いていないことに気付いていない

ちょっとだけ……ちょっとだけならいいよね?

どうしてもあの幻影たちが入っていった通路が気になり、そちらの方に足を踏み入れる

こっちもあっちの通路と同じですぐ階段になっていて、そろーっと足を一段一段階段を下りた

 

 

ガコンッ

 

 

階段に足をかけた時、足が沈む感覚がして慌てて周りを見渡す

 

「ふぁっ!?」

 

階段の一部がエレベーターのように下に降りていく

慌てて壁キックをして上へ戻ろうとしようとする、けど

あの幻影がどうしても気になる、俺は璃緒達との合流を諦めてそのまま階段エレベーターで下へ降りていく

そして俺は璃緒達と完全に分断されてしまった

スカイ・ペガサスの時もそうだったけど、俺分断されすぎじゃね?

いや、今回は自業自得だけどさ……

階段エレベーターが止まり、新しい空間に出る

ここも長い通路になっており、ひたすら前を歩いていく

 

「んー……」

 

長い通路を淡々と歩き続けてる

何というか、変化が無いから詰まらんな……話相手もいないし

というかあっちの皆大丈夫かな?あいつら心配……してるよなぁ

璃緒達からすれば俺は突然いなくなったわけだし

 

「ん?」

 

ふと前の通路の壁に何か絵が書いてあるのが分かる

小走りでその絵……壁画の前に陣取る

この絵は……船と化け物を率いた……男の子?と金色の鎧を着た女の子と白い服を着た女の子が相対している絵

これって最初の入り口にあった遺跡の伝説の続き?

でも全然なんのこっちゃわからん……転生者とはいえ璃緒見たいに不思議パワーは無いからなぁ……

次は……場面はさっきと同じで男の子側に青い大きな何かがいて、その手のひら(?)の上に鎧を着た女の子の方にいた白い服を着た女の子がいる

ここで壁画が終わっており、この次には何も書かれていない

というかこの青いのなんだ?なんか雰囲気がオベリスク見たいだし、なんというか

 

「……神様?」

 

「お前、この文字が読めるのか?」

 

聞きなれた、だけどあの時以来一切聞かなかった、聞けなかった声

ゆっくりと後ろを振り返る

オレンジ色の髪にアメジストの瞳、そして全身を黒で統一させた服を身に着けた彼が

 

「……ベクター」

 

腰のDディスクに手をかけ、いつでもデュエルが出来るよう構える

……だけどそんな俺の警戒なんて知りもせずにベクターは壁画を見据えた

 

「でぇ?お前この文字読めるのか?」

 

「……ううん」

 

「あっそ」

 

ベクターはそれだけ聞くと俺に興味を無くしたのか、また壁画を眺めている

……なんか、サルガッソにあった時とテンションが違くて、俺どう反応すればいいんだ?

ベクターがここにいる理由は十中八九No.の回収だろう

どうして俺と戦わない?遺跡のNo.が優先順位が高いとはいえ俺だってブラック・ミストを所持していたし、それに前世カードも

倒して奪い取るったらバリアン側にかなり有利になる……今から逃げるか?

でもここは一本だし、ベクターはバリアンの力があるし走って逃げても追いつかれる可能性がある

 

「あららー?凌牙ちゃん、俺が何もしてこないからってそんな油断してていいのかなぁ?」

 

両手首を拘束され、通路に縫い付けられる

ベクターはにやにやとした顔をずいっと俺に近づける

……声が出ない

ガタガタと震える体を抑えることが出来ない

馬鹿か俺は、心の中で無意識にベクターは味方だと思っていたのかもしれない

そんなことはないのに、ベクターは……俺達を、裏切ったのに

 

「こーんなに震えちゃって可哀そうにねぇ?

 どうした?んー?大丈夫ですよ、シャーク先輩!ってなぁ!」

 

グイッと顔を持ち上げられて無理矢理目線を合わせられる

ベクターの瞳に映った俺の顔は、恐怖に歪んでいた

俺の反応に一通り満足したのか、ベクターは俺の手を放して解放する

でも再度手首をがっちりつかまれ、完全に逃げられない

力任せに振り払おうにも、弱弱しく抵抗するのが精いっぱい

 

「てめぇには人質になってもらうぜ」

 

俺の手首をつかんでベクターは歩き始める

歩いていく途中、ところどころに壁画があったが、それを見る余裕は俺にはなかった

ベクターが分からない

確かに俺は人質としては有用だろう

だけどそれだけでじゃないような、こんな、丁寧(?)な扱いで

 

「……生きてたんだね」

 

「あぁ?あー、サルガッソの事か

 まー、遊馬にズタボロにされたけど俺はこの通り完全復活!倒せなくて残念だったな」

 

カラカラとベクターは小馬鹿にしたように笑うけど、なぜか安心した

怖いのに、恐怖してるのに、裏切られて、体が震えて、でも

なんでこんなにも会えて安心しているのかな

 

「ベクターは、この遺跡の伝説を知ってんの?」

 

「知ってたとしてどうしてお前に教えなきゃいけないんだよ」

 

こちらを見ずにベクターはそう答える

これは……どちらともとれる発言で、本当に知ってるのか、知らないのか迷う

 

「会えて、よかった」

 

思わずそうつぶやく

だってあんなにボロボロになって、確かにあの時裏切られた絶望が俺の心の大半を占めていたけど、少しだけ……ベクターが死んでしまうかもしれないという喪失感が、確かにあった

そのつぶやきが聞こえたのか、ベクターの足が止まる

 

「会えてよかった、だと?」

 

こちらを振り向いたベクターの目に光は無かった

いきなりの豹変に俺は体を固まる

 

「うぐぅっ!?」

 

喉元を掴まれ、壁に押し付けられる

それはさっきみたいに脅しの目的じゃなく、本当に俺を、殺そうと

ベクターも、あの人達みたいに、俺をゴミみたいに扱って、人の尊厳を踏みにじって、心が折れるほどの暴力を浴びせて

でも、ベクターは

 

「なんでお前は、そうやって俺に優しくできる!?なんで、どうしてお前は」

 

ただ、悲しそうな顔で、俺を見ていた




ベクターが若干情緒不安定なのはドン千の洗脳のせいです
カオスやNo.と相性がいいけど、それと同じくらいレジスト能力もあるので洗脳と正気を行ったり来たりしてます
もっと強く洗脳すれば情緒不安定はなくなりますが、その代わり人格崩壊の可能性が高く、ドン千の計画に支障が出るのでこの程度にとどめてあります
ちなみに凌牙もベクターと同じでカオスとNo.の親和性は高いけど、それと同じくらいレジスト能力が高いです

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