神代凌牙はデュエルをしない   作:さらさ

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次はいよいよブルーエンジェルの主役回!おらワクワクがとまらねーぞ!


46/神代凌牙と遺跡の試練

青い道を淡々と進む

出口は無く、俺とナッシュさんは何をしゃべる間もなく歩き続ける

ゴールが見えないから若干心が折れそうです

 

「先ほどは助けてくれてありがとう」

 

不意にナッシュさんが話しかけてくる

まぁバリアン(暫定)でもあんなんに押しつぶされたら重症だろうしねぇ

 

「別にええで気にしないでも」

 

「しかしそのせいで君は仲間と分断されてしまった」

 

「んー?ああ、一人じゃ危ないって事?

 別にナッシュさんが俺をどうこうするんだったらとっくにしてるはずだし、それにナッシュさん怪我してるしリアルファイトではナッシュさんより強い自信あるから平気平気」

 

「そういう問題か……?」

 

小学生の頃に中学生と高校生をフルボッコにしたこの俺を舐めるなYO!

人間の皮を被ったゴリラは伊達じゃないぜ……?

そして俺達は一つの大きな部屋にたどり着いた

ここも青い光が周りを照らしており、あたりには何もない

 

「ここは……行き止まりか?」

 

「みたいやんねー……どうする?戻る?」

 

そう言いながら何か抜け道はないかどうか探していると、突然通路が封鎖された……おい、またこのパターンか

 

「まんまと閉じこめられたって事か」

 

「しかしただ閉じこめられるだけとは思えない

 ……絶対に何かある、なかったら殴る」

 

「誰を!?」

 

その言葉がフラグだったのかわからないけど、突然部屋から何かを引きずるような音が聞こえる

部屋全体が大きく揺れ出し、そして両サイドの壁が動き出し俺達に迫ってきた

 

「何このリアルSA○UKE!?」

 

「ボケてる場合ではないぞ!」

 

そうは言っても出口も逃げ道もないこの状況でどうしろと

段々と迫ってくる壁に俺とナッシュさんは部屋の中央に追いやられる

このまま何もできずに押しつぶされる……と思ったが、壁の一部が開き通路が解放される

 

「ナッシュさん!」

 

怪我をしているナッシュさんを引きずるように出口と思わしき場所に飛び込む

 

「ナッシュさん、大丈夫ですか!?」

 

「ああ、なんとか……」

 

飛び込んだ先は先ほどと変わらぬ部屋で、行きつく暇もなく今度は天井が俺たちに迫ってきた

 

「今度は上か!」

 

「くそっ!出口はどこだ!?」

 

ドンドン降りてくる天井に俺とナッシュさんが焦りながら出口を探す

半分まで降りて来たところで新たに壁の一部が開いた

壁が開く条件ってなんだ?時間経過か何かかな?

俺とナッシュさんがスライディングの要領で天井と床の間を潜り抜け次の部屋へと飛び込む

立ち上がり部屋を見渡すと、今までの部屋とは違う、何か壁画が掛かれた部屋だった

 

「ここは……今までとは違う部屋のようだが……」

 

「うーん、ここで行き止まり見たんだね」

 

さてさてどうしたものかとナッシュさんと一緒に頭を悩ませていると突如部屋に球体のホログラムのようなものが浮かび上がった

そこには俺達と別れた璃緒達が映し出されている

 

「璃緒!?」

 

<凌牙、こっちでは遊馬のデュエルが始まっているわ>

 

「どういうことなの!?」

 

話を聞くと遊馬達は通路を抜けた先にNo.が収められている部屋にたどり着いたらしく、今はこの遺跡のNo.をかけてその精霊とデュエルをしているらしい

……うん、自然な流れでデュエルが出来てるな!(錯乱)

そして俺達の方のトラップとデュエルは連動しているらしく、あっちが攻撃するとこっちの道が開く仕掛けになっている

だが攻撃を仕掛けるとライフを削るコンボが発生……ようするに俺達は遊馬達の足かせになってるって事か

 

<シャークにナッシュ、安心しろ!俺が絶対助けてやるからな!>

 

そう言ってくれるのは嬉しいけどいざとなったら俺は見捨ててもかまわないんやで?

まぁナッシュさんはドルべ(暫定)だし、頑張れば脱出できるだろ

 

<シャーク、君たちのところに何かデュエルのヒントになるようなものはないか?>

 

「ヒント……そうだ凌牙、この部屋には壁画があるな」

 

「せやんな、アストラルちょっと待ってて」

 

一旦アストラルから目を離し壁画の方へ目を向ける

というかナッシュさん、あんた堂々とアストラルと会話して隠す気ないやろ……

一番端の壁画を見て見ると、白い馬……ペガサスに乗った騎士が他の騎士を率いている絵だった

 

「えーっとペガサスに乗った騎士が他の騎士を率いている絵と文字の壁画……かなぁ?」

 

<それがヒント、だろうな>

 

<ああ、彼が仕掛けて来たのは一種の謎解きのようなものだ

 我々が離れたことも一種の試練だとしたら……>

 

<ねぇシャークにナッシュさん、壁画の文字にはなんて書いてあるの?>

 

「んー……ダメだ読めん」

 

多分ここの遺跡が出来た時に使われていた文字だし、何かの記号みたいで何が書いてあるのかさっぱりわかんね

 

「これには、古の英雄の伝説が記されている」

 

「ナッシュさん……?」

 

「遠い昔、ある国に使える勇敢な騎士たちがいた

 その一人は愛馬ペガサスに乗る英雄だった

 英雄率いる騎士たちの活躍でその国の平和は守られていた

 ある時英雄は城を後にし、自分の生まれ故郷の村へと帰っていった

 だが英雄が居なくなると残った騎士たちの中に王を倒し、国を乗っ取ろうとする者たちが現れた

 彼らは英雄が去ったのち、己の力にうぬぼれ自分たちが王にふさわしいと言い始めた」

 

壁画を見ながらナッシュさんは語る

どこか懐かしみを帯びた目でナッシュさんは壁画を見つめている

 

「……壁画はここで終わっている」

 

「それじゃ謀反を起こした騎士たちがどうなったか、真相は闇の中かぁ……」

 

多分この話のエンディングがデュエルと何かしら関係があると思うんだけどな……

他には……何もないかな?ナッシュさんと二人で他に何かなんか無いか周りと捜索するが、やはり何もない

 

「ダメだ、こっちにはなんもないわ」

 

「こっちにも何も……なんだこの揺れは?」

 

部屋全体が大きく揺れ出す……またこのパターンか!今度は床か!床なのか!?

俺とナッシュさんがあたりを警戒して部屋全体を見渡す

どこだ、次は一体何が始まるんだ

 

「上だ!」

 

ナッシュさんの叫び声が耳に入った瞬間視線を上に向ける

天井を構成している石のブロックがグラグラと揺れ出し……そして落下してきた

 

「嘘だろ!?」

 

「っつ!とにかく避けるんだ!」

 

その言葉を皮切りに次々と天井のブロックが落下してくる

……ちょっと本当にやりすぎだろこれ!?死人が出るよ!

とにかく避け続けて次の部屋が解放されるを待つしかない

 

「ぐあぁ!」

 

「ナッシュさん!?」

 

怪我をしているナッシュさんがブロックをよけきれず背中を思いっきり強打してしまった

そうこうしているうちに新しい部屋が解放されたがナッシュさんは動けそうにない

 

「ちょっと我慢しててね!」

 

倒れこんだナッシュさんを掬い上げ、片手幼児抱っこをして部屋を駆け抜ける

少々ナッシュさんに恥ずかしい思いをさせるが許してクレメンス

無事に部屋にたどり着いたが、ナッシュさんは重傷だ

 

<おい凌牙!続きは!壁画の続きはあるのか!?>

 

「うん、ちょっと待ってて」

 

ナッシュさんを片手幼児抱っこという羞恥プレイをしながら壁画の場所へと向かう

ここにもペガサスに乗った騎士……英雄の絵が記されていた

 

「騎士たちの謀反を知った英雄は城に駆け付けた

 そして英雄は彼らに訴えた、いかなる時でも心に掲げていた正義を、共に戦った仲間との絆を思い出して欲しいと

 かつての仲間は英雄に刃を向けたのだった

 英雄には仲間を切ることは出来ない、彼は無抵抗のまま仲間の剣に傷つき、倒れた

 その時だった、愛馬ペガサスが主人を守ろうと仲間の騎士たちに立ちはだかった

 自分を犠牲にして英雄を守ろうとしたのだ」

 

そこでナッシュさんは口を閉じる

 

<……それで、続きは?英雄はどうなったんだ!?>

 

「この続きは、風化していて読めない」

 

そう、英雄が倒れペガサスが己を犠牲に3人の騎士に立ちふさがる絵を最後に壁画は終わっている

文字もすべて風化しており、1文字も解読できない状態だ

デュエルの鍵である伝説も肝心の終わりがないんじゃ、遊馬達の戦いは相当厳しいものになるだろう

 

<---ただしライフを500払うことでこの効果を無効に出来る>

 

ホログラムからそんな声が聞こえ、改めて……というかちゃんと遊馬達のデュエルを見る

いや、だって天井落ちたり色々あってちゃんと見れなかったんだから仕方ないやんか……

遊馬のライフは1200、No.44白天馬スカイ・ペガサスの効果でホープを破壊するか、破壊させずにライフを500払うか選べるみたい

うん、この局面だったらいうことは決まってるよね!

 

「遊馬!俺達の事はいいからホープを破壊しろ!いくら鉄壁突入でも勝てるものも勝てなくなるよ!」

 

確かスカイ・ペガサスって払った分のライフをダメージとして与える?みたいな効果もあったよね

そうしたら遊馬のライフは200になる、あんまりリスクは負えない

しかし遊馬は迷っているのか、中々答えを口に出さない

 

「仲間を守れ!ホープを守るんだ!」

 

「ふぁっ!?」

 

この状況で嘘やん!?確かにホープを失うのはつらいけど、でもこれ以上ライフを減らすのは危険なんやで!?

 

「ナッシュさんこの状況見てそう言えるん!?」

 

「ああ、そうだ……私は、私はこの伝説の続きを知っている!」

 

「え、それってどういう」

 

ガタガタと床が揺れ出す

床も前の部屋と同じブロック状になっていたため、その一つ一つがどんどんと崩れていく

ナッシュさんを片手幼児抱っこしたまままだ崩れていない床へ走る

 

「英雄にはペガサスを見捨てることは出来なかった

 彼はその場にとどまり、ペガサスと共に息を引き取った

 ……わからないのか!この伝説は仲間を守り、人を信じる気持ちを語っている!

 遊馬!ホープを守り、私を信じろ!」

 

力強いナッシュさんの声が部屋に響き渡る

どうしてナッシュさんはこの遺跡の伝説の結末を知っているのだろう

理由はわかんないけど、この人はやっぱり

 

「ナッシュさん、お前やっぱり」

 

床が崩れるスピードが上がり、とうとう俺が走っているブロックごと崩れてしまった

彼を放り投げり、なんとかまだ崩れていないところに無事着地(?)できたみたいで安心

でも俺は間に合わずに床が崩れ、そのまま重力に従い落下していく……が

 

「っつ!」

 

彼が落ちていく俺の手を掴み、必死に引き上げようとしてくれてる

怪我をしているのにあまりにも無茶だ!

 

「そうだっ凌牙、私は、私は……」

 

彼が手首につけているブレスレットが怪しく光る

真ん中のひびが入っている赤い装飾が一段と輝きだし、その傷が修復されていく

そして彼の体が輝きだし、その光が解かれた

 

「私はバリアンだ!」

 

「知ってた!」

 

完全にドルべです本当にありがとうございました

バリアン体になったせいか傷もある程度癒えているらしく、俺を片腕で支えている

 

「やはり気が付いていたか……」

 

「まーねー……ところでホープを守れって?それをしたら遊馬のライフは200になる

 そのことも踏まえて守れって言ってるんだよね?勝算はあるんだよね?

 確かに今までの試練からドルべがそういう答えを導き出すのもわかるけどさ、それはNo.を取られないための嘘って可能性も否めないよね?」

 

そこまで言うと、ドルべは俺を掴んでいる手を一層強く握る

 

「勝算は無い、このデュエルが勝てるかどうかは遊馬とアストラル次第になる、だが……

 私を信じろ、神代凌牙!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『絶対に生き残れよ、ドルべ』

 

『ああ、もちろんだ

 私を信じろ、ナッシュ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!」

 

どこかのテントの中で、目の前には白い鎧を着たドルべの幻覚を見る

今のは、なんだ?

 

「凌牙?」

 

「ん、大丈夫」

 

少しだけ心配を乗せたドルべの声で現実に戻ってくる

そうだ、この強い力を持った目

どこかで見たことのある、安心する瞳

……そんな目で見られたら、信じろって言われたら、信じるしかないじゃん!

 

「遊馬、ドルべを信じろ!」

 

<凌牙!?>

 

璃緒が驚きの声を上げる

声を上げるのも無理もないけど、ドルべが俺達を負けさせるためにホープを守れなんていう可能性もある、でも、それでも

 

「頼む!私を、私を信じてくれ!」

 

「遊馬!」

 

ホログラムの中の遊馬はどうするべきか視線を彷徨わせている

信じるべきか、そうでないべきか

 

<遊馬、私は君の意見を尊重しよう>

 

アストラルはそう言ってスカイ・ペガサスを見つめる

そんな自分を信頼しているアストラルの言葉で吹っ切れたのか、遊馬は選択した

 

<俺はライフを500払いホープの破壊を無効にする!>

 

ホープは破壊されなかったが、さらに追加でライフを500失い遊馬達のライフは200になる

鉄壁に突入とは言えここは俺達にとっての現実だ、何が起こるかわからない……

体が持ち上がる感覚がし、俺は床に引き上げられる

 

「いっつ……助けてくれてありがとね、ドルべ」

 

「別に、私はただ借りを返しただけだ」

 

俺とドルべは立ち上がり、このデュエルの行く末を見守ることにした

果たしてこの選択は正しかったのか

遊馬がホープに攻撃するように指示し、次の部屋が解放される

ドルべに引っ張られながら次の部屋に飛び込む、部屋を見た感じでは何もなさそうだしここで最後と思っても大丈夫だろう

ホログラムの中では遊馬が決断の迷宮の効果で手札を1枚墓地へ送るところだった

そして次に不公平条約の効果で600のダメージを受け……負ける、だけど

 

「何も起こらない……?」

 

いつまでたっても不公平条約の効果が発動しない

俺も遊馬達も混乱している中、アストラルたちが説明してくれた

 

<あいつのコンボはもう発動しねぇよ

 このコンボは決断の迷宮で発生するコストを不公平条約で遊馬達が払わなきゃいけなかった>

 

<だが、スカイ・ペガサスの効果からホープを守ったことにより我々のライフは200になり、コンボの成立条件であるライフ600を下回ってしまった

 我々に支払うライフがない今、そのライフは彼自身が払わなければならない……遊馬、シャーク、君たちの選択は正しかった!>

 

そして遊馬は手札から墓地に送ったカウンター罠の効果を発動し、RUM-ヌメロン・フォースでホープをホープレイ・ヴィクトリーにカオス化させる

そして効果を使い見事No.の精霊を打ち倒した

デュエルが終了すると同時に壁の一部が開く

これまでと違い、壁の先は階段状になっておりそこから遊馬達の声が聞こえる

なるほど、ここから皆と合流できるわけか

 

<伝説には続きがある

 騎士たちは命がけのペガサスと英雄に心を打たれ、己を恥じ、謀反の気持ちは消え失せた

 彼らは英雄とペガサスを手厚く葬り、その墓の前で跪き、深々と頭を垂れた

 そして英雄はペガサスの魂と共に天に召されていった

 ……信じよう、アストラル、遊馬、お前たちの人を信じる心を>

 

そしてNo.の精霊は1枚のカード……No.44白天馬スカイ・ペガサスとなり、遊馬の手へと納められた

俺はドルべを見据え、問いかける

 

「なードルべ、なんでお前俺達を助けたん?」

 

「……わからない」

 

ドルべは目を伏せる

 

「あえて言うなら、この遺跡の伝説に心を動かされたから、だな」

 

後ろを振り返り、今まで通ってきた通路の方を見る

確かにドルべは遺跡の伝説に何かを感じていたみたいだ

 

<ありがとうなドルべ!お前がこの遺跡の伝説を教えてくれなかったら……>

 

「いや、お前が選んだ答えだ

 それに、それがなくともお前は人を信じたさ」

 

そこまで言ってドルべはホログラムから視線を俺に移す

 

「だが慣れ合いはここまでだ

 次は必ず私たちがNo.を手に入れる」

 

ドルべの背後にワープホールが出現し、ドルべを飲み込んでいく

 

「待って!ドルべ、お前はどうしてこの遺跡の伝説を」

 

知っているのか

しかし俺の口からその言葉を紡ぐ前にドルべはワープホールの中に消えてしまった

 

「絶対に生き残れよ、ドルべ、かぁ……」

 

幻覚の中で見たドルべを思い出し、口に出すとすんなり俺の中に入ってくる

あの幻覚は何だったのか、なぜ幻覚の中のドルべは俺の事を……ナッシュと呼んだのか

でも幻覚の中のドルべにナッシュと呼ばれた時、不思議とそうであると受け入れられた

俺が神代凌牙であるように、私が武藤マナミであるように、自分はナッシュだと

なんでそう思ったか自分で思ったのかわからない、でもこれから先の戦いで”それ”が何なのかわかると、そう直感した

 

 

 

俺が俺の真実を知った時、残酷な選択を迫られることだったとしても




思いのほか早くこの遺跡の話が終わって驚愕してます
次回の遺跡は長くなる予定なので大変です……

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