神代凌牙はデュエルをしない   作:さらさ

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カイトルートクリア!今はキャットちゃんでプレイしています
それにしてもフリーデュエルでトロンに勝てない
カイトデッキ(改造)、小鳥ちゃんデッキ(改造)、璃緒ちゃんデッキ(改造)で十回はやってるけど勝てない


22/神代凌牙と真月零あるいはベクターの疑問

「マジあのアカデミア絶対カードにするマン許さねぇ……」

 

「あ、あはは、でもおかげでデュエルが上手になりましたし僕は満足ですよ!」

 

もう夜も遅い時間に俺と零は大通りを歩いていた

時間も人通りもあるので俺ら中学生が出歩いてもある程度の安全は保障されている

まぁ零はともかく俺はある程度荒事に慣れてるから絡まれても大丈夫だろう

店やビルの明かりを頼りにぽつりぽつりと会話をしながら歩いてく

ブラック・ミストは疲れたと言ってカードの中に引っ込んでしまった、この野郎

不思議なことに会話がなくてもそれが苦痛にはならない

 

「零ー」

 

「なんでしょうか?」

 

「……やっぱなんでもねーわ」

 

「?」

 

やばい、今俺とんでもない事口走りそうになった

あれかなーやっぱこの二人っきり☆夜☆満天の星空(ビルの明かりでよく見えない)☆のせいかなー

 

「んー、なんか今日は色々濃い一日だったなー」

 

「そうですね!シャーク先輩の事もそうですが、まさかあのカイトさんとデュエルできるなんて!」

 

零はそういいながら両手をバタバタさせて必死にその感動を伝えようとしてくる

うん、この世界線のアカデミア絶対カードにするマンはWDCでベスト4っていう成績を収めてるわけで零見たいなデュエリストのあこがれの的なんだろうなー

海馬社長とかカイザーとか元キングとか赤馬とかのポジションなんだろうね

だから零が興奮するのはある意味ではわかるんだけどさ

 

「でもだからってあの地獄のデュエル学習—50戦するまで帰れません—は酷いと思うの(白目)」

 

「あれは本当に地獄でしたね……」

 

いやね、あれだよ?バリアンとの戦いでちょっとでも戦い慣れしないといけないっていうのはわかるよ?

だけどねだけどね?強キャラに初心者が勝てるわけないだろ…?50回敗北って相当きついんよ……?

途中に璃緒から電話もあったし、いや、なんというかこんな時間(現在時刻午後9時)までかかるとは思わんかったんよ……

 

「というか零もこんな時間まで出歩いてていいの?親御さんとか心配しない?」

 

「え?ああー……僕、今は一人暮らしなんですよ

 僕の親、海外に転勤になって、でも僕は日本に居たかったので、日本に残る条件がハートランドで暮らすことだったんです、ここ、治安がいいんで……」

 

「治安がいい……?」

 

全部人づてで聞いただけだけど何回かハートの塔ぶっ壊れてるみたいだし、WDCで色々あったみたいだしそれが治安がいい……?

No.の影響でこれまた色々騒動があったみたいだし、治安がいいってなんだっけ?

 

「中学生で一人暮らしってお前ってやつは中々チャレンジャーだな」

 

「そうでしょうか?シャーク先輩も神代先輩と二人暮らしですし結構なチャレンジャーですよね?」

 

「うちの場合は色々あったかんねー」

 

最初の頃は親がいなくなって俺が璃緒を守らなきゃって細かい事を考える余裕なんて全然なかったから親がいなくなった悲しみとか感じる余裕がなかった

でも生活が安定してきて、段々と今までの現状を振り返る余裕が出た時に、俺は初めて……初めて家族を、肉親を亡くした悲しみをしった

確かに前世ではあの孤児院皆が俺の家族だった、でも今は、あの時はお母さんがいて、お父さんがいて、璃緒がいる

血の繋がった、本当の意味での家族、そしてその消滅

その事実に打ちのめされていた、なんとか璃緒が荒れていた俺を落ち着かせてくれてこうして元気に今も生きています

 

「あのさー」

 

「どうしましたかシャーク先輩?」

 

「バリアンのさ、目的ってなんなんだろうね?」

 

「……?ヌメロンコードっていうのを手に入れるのとアストラルのいるアストラル世界を滅ぼすことじゃないんですか?」

 

「いやまぁ、そうなんだろうけどさー」

 

うーんなんて言えばいいんだろう?俺説明下手だしなんて言えばいいんだ?

ここにきて語彙力のなさが露見するとは思わなんだ

 

「あー……あー!そうそう理由だよ理由!バリアンがアストラル世界を滅ぼす理由!」

 

「え?理由って……?」

 

「多分人間世界ってアストラル世界のついでに滅ぼそう☆ってノリだと思うけどさ、バリアンがアストラル世界を滅ぼす理由が思いつかんのよねー

 だって滅ぼすならそれなりの理由があるからだろ?その理由って何なのかなーって思って」

 

「理由なんてそれは……それは…」

 

そう言ったきり零は深刻な顔で口を閉じてしまった

ええー、先輩からの無茶ぶりとはいえそこまで考え込まなくてもいいのに、零は真面目やんなぁ……

ただ単純な疑問として聞いただけなんだけど…滅ぼす理由……嫌いだから?

バリアンってアストラル世界が嫌いなのかなー?でもそうだったらなんで嫌いなんだろ?

嫌いになったとしても絶対に最初のきっかけがあるはずなんだけど、それってなんなんだろ?

うーん、そもそもアストラル世界とバリアン世界ってなんだ(哲学)

 

「うーん、バリアンと話す機会ってないのかなー」

 

「……え、あ、ああ、今までの相手はバリアンの刺客でしたからね、でもバリアンですし強いと思いますよ?

 こう言ってはあれですが、まだまだ初心者のシャーク先輩やましてや僕なんかはとてもじゃないけど太刀打ちなんて」

 

「おいこらなんですぐにそっち方向に話を持ってくんだ

 対話だよ対話、人間にはなー言葉って素晴らしいものがあるんやで?別にデュエルで語るのもいいけどやっぱりちゃんと言葉にしないと」

 

「言葉に、ですか?」

 

「だってそうじゃん、よく漫画やテレビでお前に私の気持ちがわかるかーってセリフあるけどさ、当たり前じゃん

 何にも言わないんだからわからないのは当たり前じゃん、言葉にしないならわからないのは当たり前じゃん

 皆の話聞いてるとさ、バリアンがアストラル世界をーとかヌメロンコードをーって聞くけど誰も理由を知らないんだよね

 なんかさー、もうちょっとバリアンを知りたいんだよね、何にも知らないでただ敵だから倒す!じゃなくて、バリアンが抱えてるものとかさ、知りたいんだよなー俺は」

 

そう言って零の方を見ると口を大きく開けて間抜け面を見せていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アストラル世界を滅ぼす

俺達がこの世界生まれた時から一種の決まりごとのように、ルールのようにそれはバリアン世界に蔓延していた

それに関して俺はなんの疑問も持たなかったし、他のバリアン世界の住人や七皇の奴らさえ当然のようにアストラル世界を滅ぼす為にに動いてきた

そうしないとバリアン世界が滅ぶから

でも神代凌牙からなぜバリアンはアストラル世界を滅ぼそうとするのか、その理由を真月零としても、ベクターとしても答えることができなかった

アストラル世界を滅ぼす理由なんてバリアン世界の崩壊を阻止するためだって今までそう信じて来た

でもよくよく考えるとそれはおかしい、なんでアストラル世界が存在するとバリアン世界が崩壊するんだ?

今までなんの疑問も疑わなかった、でも神代凌牙に理由を問われ始めて持つことができた違和感

バリアン世界は元々アストラル世界から追放された者たちが集まる世界

でも正直バリアン世界の奴らは復讐なんて考えていない、その筆頭が××××だった

いつだったか××××が言っていたように俺だって少なからずアストラル世界を恨んでいる

だけど、それだけだ

俺ら七皇は元々がバリアン世界の生まれだからもあるだろうし、追放されてここに流れ着いた者たちも追放されて恨んではいたが窮屈でルールに縛られ、ランクアップの可能性が見込めないものは切り捨てられるアストラル世界よりは弱肉強食だが何よりも自由なバリアン世界の方がいいという者の方が圧倒的に多い

それなのにアストラル世界と戦う理由、それは

 

「……わからない」

 

 

「何が分からないんだ」

 

 

背後からいきなり声が聞こえた

まさかここまで接近されて気が付かなかったなんて、随分と思考の海に落ちていたらしい

後ろを振り向くとそこには長い金髪を揺らし、少しだけ不機嫌そうに顔を歪めたミザエルがいた

俺とミザエルは気が合わない、だから二人きりで話すなんて事は俺もミザエルもごめん被る

なのになんでこいつがここにいるんだ

 

「大したことじゃねーよ、それよりも何の用だ、俺もお前も二人っきりなんてごめんだろ?」

 

「当たり前だ」

 

即答とかこいつ本当にむかつくな……

 

「先ほどドルべから人間世界に行くように言われてな、事前に貴様から人間世界の情報を聞こうと思っただけだ」

 

「脳筋のお前がまさか情報収集なんてなぁ、アリト・お前・××××の三大脳筋が情報収集…」

 

「貴様なぜ二回言った」

 

「大事なことだから二回言ったんですぅ!」

 

そう言いながらミザエルに人間世界の一般的な常識を教えていく

こいつが人間世界で何かやらかしたら俺まで動きにくくなるからな

それにしてもこいつら全員人間世界のあれこれを俺に聞きに来るのはやめてほしい、××××がいた頃は何故かやたら人間世界に詳しかったから××××と俺で二つに分散されてたからそこまで俺に負担はなかったかんな

 

「……それと、神代凌牙と神代璃緒に会う時はそれ相応の覚悟を決めてから会うんだな」

 

「神代璃緒は確かNo.保持者か、貴様が無様にも負けた」

 

「黙れ」

 

「それにしても貴様が忠告とは珍しい、その二人に何かあるのだな」

 

「まぁ、会えばわかるさ、会えば、な」

 

前にバリアン世界に帰った時にギラグとアリトと話したが、あいつらも神代凌牙と神代璃緒に対してなんらかの違和感を感じていたらしい

俺だけならまだしも他の七皇であるギラグとアリトまでも感じたとなると偶然なんて言葉で片づけるのは難しい

きっとあの二人には何かある

 

「そう言えば最初の質問に貴様は答えてないな、わからない、とはなんだ?」

 

ああ、そういや言ってたなそんな事

ミザエルの人間世界の一般常識を叩き込むのが大変で忘れてたわ

 

「ああ、ちょっと考えていただけだ、てめぇには関係ねぇよ」

 

「隠し事とは怪しいな、我が時空竜(タキオンドラゴン)の餌食にしてやろうか?」

 

「ミザちゅわんこわーい!」

 

そう言いながらカラカラ笑うとミザエルの雰囲気が変わった

俺も人の事言えないけどこいつ煽り耐性なさすぎだろ

そういや神代凌牙もデュエリストは総じて煽り耐性皆無で精神攻撃が基本、とか言ってたな

 

「へーへー言えばいいんだろ、言えば」

 

両手を上げて降参のポーズを取る、こいつはやると言ったら本気でやるからな

前に××××がミザエルを怒らせて時空竜(タキオンドラゴン)に頭から食われてたし

そん時ドルべと×××は呆れた顔でその様子を見ていたのはしっかり覚えてる

 

「いや、なんで俺はアストラル世界を滅ぼそうとしてるんだろうなと思ってな」

 

「……貴様ついに頭が沸いたか」

 

「あらら、ミザちゃんひっど~い!」

 

からかうようにいうとミザエルの額に青筋が浮かぶ

こいつ煽り耐性が本当に皆無だな、それでいつか足元救われるぞ

 

「そんなもの我らバリアン世界の為に決まっているだろう」

 

「なんでアストラル世界を滅ぼすのがバリアン世界の為になるんだ?」

 

「そうしなけばバリアン世界が滅ぶからだ」

 

「なんでバリアン世界が滅ぶんだ?」

 

「そんなの決まって、い、る……」

 

そこまで言ってミザエルは言葉を途切れた

やっとミザエルも気が付いたみたいだ、アストラル世界が存在する=バリアン世界が崩壊するのはおかしいと

 

「まーその辺はおいおいと調べればいい話だ

 とりあえず今はアストラルと九十九遊馬を倒すことだけに専念するんだな」

 

ワープホールを開いて人間世界へ向かう

その時、俺はミザエルから背を向けていたのであいつがどんな顔をしていたかわからなかった




ここの七皇は原作より仲がいいです
そしてやっと次からアニメルートに戻るはずです!
楽しい前世教室編がここまで続くとは思わなかった……

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