ちなみにコナミルートでは小鳥ちゃんデッキを改造したものを使っています
創造の代行者を出してブラックミスト召喚するの楽しいです
今回は凌牙ちゃんがデュエルをしない理由が明らかになります
16/No.96ブラック・ミストあるいは天の声さんと神代凌牙の気持ち
「……」
『どうしたんだよ凌牙』
あれから無事にスポーツデュエル大会とやらが無事に終わって、あいつらの日常が戻きたにもかかわらずこいつの表情は暗い
今はコンビニだなんだと理由をつけて外出しているが、実際は俺と何か話したいから外に出て来たの事だと思う
あの天城ハルトとかいうガキと出会った公園に行った時も俺と話したいから外に出たと言ってたからな
脳内で直接会話できるとはいえこいつは実際に口に出して会話する方が好きらしい
「あのさ天の声さん、俺ってどうしようもなく臆病なんだよ」
『はぁ?』
凌牙はいまだに俺の事を天の声とやらと思っていていろいろと俺の知らない知識を俺に教えてくれる
融合は俺もかろうじて知っているがもう失われている召喚法といっても過言ではないシンクロや、存在しない、完全に未知なる召喚法であるペンデュラム
デュエルをしないこいつにいつまでもくっついてるのはそう言った理由だ
アストラルの奴も知らない召喚法、シンクロやペンデュラムを使えば今度こそあいつに勝つことができる
……それに、こいつの傍は酷く居心地がいい、俺の事を知らないのにも関わらずまるで友人のように接してくる
アストラルや遊馬達からNo.が危険な物だと知らされているのに、俺を手放さない、俺が止めたから
「んんー、まぁ天の声さんがそう言うんだったら、まだ返さないでおくよ」
俺はずっと一人だった
No.として生まれてから、でも俺はアストラルの半身でありNo.をすべて集めるのには俺の力が必要だ
……なのにあいつは俺を拒絶する
あいつには遊馬やナンバーズクラブがいるのに、俺の傍には誰もいない
俺にはアストラルしかいないのにあいつは俺を拒絶する
でもあいつは、凌牙は俺の傍にいてくれる
『なぁ凌牙』
「ん?なんぞや?天の声さん」
『もし俺が、意思を持ったカードだとしたらどうする?』
「あー、意思を持ったカードってカードの精霊って事?もしかして天の声さんってGX勢?
仮に天の声さんが精霊だとしてもどうもしないし、逆にどうしろっていうんだよ」
『悪いことに使ったりとか』
「悪い事って言い方可愛いな天の声さんwww
精霊って言っても物理的に干渉出来ないんだったら悪い事でも何でもできないだろ?」
『だけど』
「だけどもなんでもないだろ?それに天の声さんにそんな事させたら俺の心臓が痛くて死んでしまうわw
それに天の声さんそういう事するの好きじゃなさそうだし?てかなしていきなりそんな事聞いてくるの?何かあったん?あったら話ぐらい聞いてやるからさ」
あいつは俺の話を聞いてくれる
あいつは俺の事をわかってくれる
あいつは俺の傍にいてくれる
あいつは、俺を信じてくれる
ああ、俺はもう一人じゃないんだ
凌牙は何にも考えないアホだが、少なくとも俺が観察している限り臆病者ではないはずだ
むしろどんどん自分から厄介ごとに突っ込んでいくタイプだ
「俺がデュエルをしない理由、それが何よりも俺が臆病者という証明なんだよ」
ことり、と俺は首をかしげる
こいつがデュエルをしない理由ってルールが面倒って理由だったはずだ
本能で生きているこいつはデュエルモンスターのルールは難しいらしい
タイミングを逃す、チェーンの逆処理、スピードスペル、対象を取る取らない、戦闘の巻き戻り
ややこしい言い回しも多いしルールを理解するのはかなり時間が掛かる
「確かにルールが面倒だからやらないっていうのも本当だぜ?
でもさ、それだけじゃないんだ」
『……意味が分からねぇ』
何がこいつをこんなに怯えさせるんだ?
凌牙は大きな目を伏せて、自分の両手見つめる
「天の声さんは歴代遊戯王を知らないからちょっと説明するけどさ
デュエリストって碌なこと巻き込まれないんだよな
闇のデュエルであっさりと人が死ぬ、次元戦争で一つの次元…パラレルワールドのハートランドは壊滅してほとんどの人間はカードになり残った人間はわずかな食料や水を分け与えながら、いつ自分がカードにされるかおびえながら暮らしていた
ここの世界だってそうだ、デュエルをしていたが為に璃緒やトーマスはバリアンとの戦いに巻き込まれた
……確かに5Dsの世界でダークシグナーが地縛神を召喚するときデュエルをしない人間も巻き込まれてた
けどさ、それでもこの世界ではデュエルが強いってだけでその確率は段違いに跳ね上がる、天の声さんも俺の言いたいこと、わかるよな」
『……』
「デュエルするのが怖い、怖いんだよ
痛い事が嫌だ、死にたくない、もっとあいつらと一緒にいたい
あの時、あの火の地獄からトーマスと璃緒を助けた時……いや、俺が神代凌牙として生まれる前の記憶が蘇った時からもうこの戦いに巻き込まれていたのかもしれない、それが俺の運命だったのかもしれない
それでも俺がデュエルさえしなければ璃緒は、家族が巻き込まれないと思って……
本当は璃緒がデュエルをするって言い出した時、俺は止めようと思ったんだ、まぁ今となってはもう遅いけどな
……あー、俺なんでこんな意味不明で文脈も何も無いこと言ってんだろ、ごめんな天の声さん、いきなりこんな意味不明なこと言い出して、ちょっとした決意表明の為に天の声さんに話を聞いて欲しくってさ」
そう言って儚く笑う凌牙に言葉が出なかった
いつも笑ってばかりで、何も不安なんてないように振る舞っていた
だけど心の奥ではいつ来るかわからない非日常に怯えていた
はたから見れば、人間から見れば凌牙は自分勝手に、自分が助かりたいだけの卑怯者かもしれない
だけど生き物だったら死にたくないのは当たり前じゃないか、誰も失いたくないと思うのは当たり前じゃないか
「天の声さん、俺にデュエルを教えてくれ」
『はぁ!?』
さっきの話からどうしてそうなった!?
「ここが俺の現実である以上もう逃げないって決めたんだ
もう俺の我が儘で皆に迷惑かけるわけにはいかないからな
俺が璃緒の弱みってバリアン側にはもうばれてると思うから、また俺を人質に取られるかもしれない
だから最低限あいつらが来るまで時間稼ぎができるようにデュエルが出来るようになりたいんだ」
そう言って凌牙はカバンからたくさんのカードを取り出す
それは凌牙が璃緒や遊馬達と一緒に買っているパックのカードではなく、凌牙だけが持っている特別なカード
前世カード、凌牙がそう言って持っている特別なカード
『お前、まさか』
「もうハルト君達にばれている以上時間の問題だぜ
それにペンデュラムとシンクロはバリアン側も把握してないはずだし、初心者の俺が時間を稼ぐとしたらあの召喚法を使うしかない
たとえあいつらにこの召喚法がバレてなんで今まで黙っていたとか罵られても、俺の前世がバレて嫌われても、それが俺の決めた運命だから甘んじて受け入れるさ」
『お前は本当に、それでいいのか』
「いいんだよ、だってここは俺の生きる世界で、俺の生きる現実だからな
罵られるのも怖いし嫌われるのも怖いけど、それよりもこの璃緒が、皆が生きる世界が壊れてしまう方が怖い
だったら他の人からどう思われようとも、俺はこの世界の為に戦うよ」
そこまで言って凌牙は上を見て空を見上げる
その眼にはもう迷いはなかった
「天の声さん、俺と一緒に来てくれるか?」
やっぱり凌牙は自分が思っているよりも臆病なんかじゃない
こんなにも真っすぐに、ひたすら真っすぐに前だけを見つめるその眼の輝きは強い意志をもって、凌牙の中から強い力がその眼に現れていた
『いいぜ、俺もこの世界が壊れるのは勘弁してほしいからな』
俺は凌牙がいる世界が壊れるのが怖い
だから俺もお前と一緒に戦おう
アストラルに感づかれないように最小限の力で実体化する
「黒い、アストラル?ってえ?その声、天の声さん?」
ポカンと口を開けて俺を見上げる凌牙
その様子がなんだか可笑しくって笑ってしまう
『俺はアストラルの半身、天の声じゃない
NO.、俺はNo.96ブラック・ミストだ、お前の言うカードの精霊みたいなもんだよ』
「……」
この世界が壊れるのが怖い、か
物陰に隠れてNo.96と神代凌牙の会話を盗み聞き、会話の内容をゆっくりと理解していく
そうして理解した後、いつだったか××××が言っていたことを思い出す
「××××はなんでアストラル世界と戦う事に反対すんだよ」
「ベクターおめー血の気多すぎだろうがwww
だって今のところ戦う理由がないじゃん、確かに俺達をこんなところに追いやったアストラル世界が憎いかどうかって言われたらそりゃ憎いですわ
でもアストラル世界との戦い……戦争になったら俺達バリアン七皇はともかく、他の奴らは戦う力なんてない奴の方が圧倒的に多い
そうなったら仮に勝てたとしても俺達は多くの命を失うことになる、それってさ、意味あるのかな?
そうまでして勝ってもその勝利に意味なんてあんのか?俺はこの世界を壊すことなんてできないし、一応バリアンの頂点に君臨してるしそんな選択はとてもじゃないけどできないよ」
「そんなんだからてめぇはいつまでたっても甘ちゃんなんだよ」
「そう思うんだったら王様を交換してくれYO!」
どうしても××××と神代凌牙が重なる、×××と神代璃緒が重なる
言動が、行動が、仕草が、何もかもが
そしてあの時、神代凌牙が真っすぐ前を見つめた時に感じたあの力は間違いなくカオスの力
混沌を司るはずのカオスであるのに、アストラル世界の住人のように純粋な力
この不思議なカオスの持ち主はあいつしか知らないけど、それはあり得ない
だって××××と×××は、俺が殺したのだから
>>突然のシリアス<<