君とボクと   作:律@ひきにーと

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百合の日更新!!
濃厚なキスしてるセリ雪が見たかったんです!


気の済むまでキスして

「んっ…」

「んむっ…」

唇を重ねて、お互いの温度を確かめ合う

そんな行為が当たり前になって何年経つだろうか

そんなことも考えていたこともある

でもそれはあっという間にセリカに思考ごと溶かされて、何もわからないようにされて

そうやって溶かされた中身をセリカで満たして、それの繰り返し

 

「セ、リカ…」

「雪那…」

 

一度離れるも再び重なる唇

今度はお互いに舌を絡め合わせて、相手を求め合うように、濃厚なキスを交わす

 

「ん…ふぁ…んっ」

「んんっ、あ…んむ…」

 

力が抜けそうになった雪那はセリカの背中に腕を回しにぎゅっと抱きつく

セリカはそんな雪那の腰を優しく抱き寄せ、キスを続ける

 

「んぁ…ふっ…んん」

「はぁ…ん…ん」

 

どちらの嬌声なのかわからなくなってくる

混ざりあって1つになるとはこんな感じなのだろう

幸せな感覚 多幸感に溢れ、心が、体が、喜んでいるのがわかる

これが、今の自分の幸せ

そう思うと、あの時セリカの手を取ったのは間違いではなかったのだと思う

 

 

フランスのとある小さな協会

そこの礼拝堂でセリカと雪那は対峙していた

雪那は家から逃げたセリカを追ってここまで到ったのだ

 

「追っ手が貴女とは…母様達も相当意地が悪いと見える」

 

やれやれ、と言った表情で笑うセリカに雪那は語りかける

 

「大人しく家に帰れセリカ 今ならまだ間に合う 私も掛け合ってやるか…」

 

「お断りします 籠の小鳥にはもう飽きました ぼくはもっと自由を謳歌したい」

 

雪那の言葉を遮るセリカ

その言葉にはハッキリとした意思が見えた

セリカの本家での扱いは幼い頃からセリカと共に生きた雪那も知っていた

幼い頃から厳しく躾られ、時には虐待とも思える仕打ちを受けてきた そんなセリカが機を見て逃げ出すのは明白だった

 

だが、それでも自分は、雪那は水無月家の剣

命に逆らうわけにはいかない なんとしてもセリカを水無月本家へ連れ帰らなくてはならない

しかし、セリカを返せばまたひどい仕打ちを受けるのだろう

1度逃げたのだ なら次は逃げようとする意思すら奪うほど苛烈な責め苦を味わうことになるだろう

そんな所にセリカを…と考えると迷いが生まれる

そう悩んでいるところにセリカから声をかけてきた

 

「雪那」

 

「なんだ」

 

「今この場にはボク達2人だけです…本音が聞きたい」

 

本音…本音を言うならセリカを手助けしたい

セリカと共に逃げたい

しかしそれは水無月、如月、両家を裏切る行為だ

それだけは…

 

「私は…」

 

「ボクは、貴女と生きたい」

 

ハッキリと言葉にするセリカ

自分もそれだけハッキリ言えれば…

 

「雪那、2人で逃げましょう? ボク達2人でなら、どこにだって行ける、どこでだって生きていける」

 

「私は…」

 

「ボクは『如月雪那』には聞いてません ただの幼馴染の『雪那』に聞いています」

 

幼馴染の、雪那

誰よりもセリカを知り、誰よりもセリカの幸せを願う雪那の思いは

 

「私は───『聖理香』お前と生きたい」

 

「なら、この手を取って───僕をさらってください」

 

「あぁ、頂いていくよ」

 

そうして雪那はセリカと共に逃げ続け、ある日セリカの祖母の聖から手紙を受け取り、日本に戻り、今に至る

 

 

 

「雪那、考え事ですか?」

 

「何故、そう思った?」

 

「眉間のシワ、寄ってます」

 

それは気づかなかった、と雪那

それと同時にふっと笑って

 

「私が何も考えられないくらい、キスしてくれ」

 

とセリカにねだった

 

「難しい注文ですねぇ…応えますけどね」

 

と、セリカは笑って雪那に再び口付けるのだった

 

End


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