君とボクと   作:律@ひきにーと

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1日遅れですが…!


恋人の日

「今日は恋人の日、かぁ」

 

6月12日、セリカがカレンダーを見てつぶやく

記念日というのは1年にあまりにも多くって

それをいちいち気にしていたらキリがなくって

でも気にしてしまうのが性分で

 

「(なんか意識しちゃいますよね)」

 

調べてみればカップル同士で写真立てを送り合う日だとか単にイチャイチャする日だとか色々な説が出てくる

だからこそセリカも雪那とイチャイチャしたい、と思うのだが…

 

しゃーりしゃーり…

 

雪那は趣味の包丁の手入れをしていてそれどころではない

雪那の刃物好きは本当凄いもので愛刀の手入れはもちろん買った包丁は月一で刃を研ぐ

たまたま今日がその日だったのだ

 

ちなみに今近づくと「私に近づくな!」と怒られる(刃物を扱っているので危ないため)

 

「(あと一二時間はかかるかな…)」

 

こうやって没頭し始めた雪那を止める手だてはない

ただひたすら待つしかないのだ

 

そう待つしか…

 

 

 

「…リカ」

 

「ん…」

 

「セリカ」

 

「せつ、な?」

 

揺り起こされるセリカ

 

「眠っていたぞ 風邪をひくぞソファーで寝ては」

 

「あぁ、寝落ちちゃいましたか あまりにも暇だったもので」

 

ちょっと皮肉を混ぜてみる 反抗の意志を込めて

 

そうすると雪那は少し申し訳なさそうな顔をして

 

「すまん、つい没頭してしまった あぁなると周りが見えなくなってな…」

 

「いいですよ ボクの珈琲作りと同じでしょう」

 

本当はわかってる お互いの趣味は尊重しなければと

でも恋人の日なんだし、構ってくれてもいいじゃないか

という僅かな期待を込めて雪那をみつめる

 

すると

 

ちゅっ

 

「んっ」

 

雪那がセリカに優しく口付けた

 

「なんです急に」

 

「お前だっていつも急だろう」

 

「そんな僕が年中ちゅっちゅしてるみたいな…してますね」

 

「だろう」

 

しかし何故、と問うと

 

「してほしそうに見えたからだ」

 

と、心の底を見透かされたような答えが返ってきた

ずるい、と思った

雪那はセリカが欲しいと思った時に欲しいと思った行動や言葉をくれる

いつもそれに甘えてばかりだ

でも

 

「主導権握られっぱなしって性に合わないんですよねぇ」

 

「なら反撃するか?いつでも受け付けるぞ?」

 

「上等」

 

雪那の腕をぐいと引っ張りソファに押し倒す

その上に覆い被さるセリカ

 

「昼間からか?」

 

「嫌とは言わせませんよ?火をつけたのは貴方だ」

 

「ふん…仕方ない 発情している牝犬の相手くらいはしてやるか」

 

「いつもは自分がそうなるくせに」

 

「うるさい」

 

なんだかんだでイチャイチャする2人

そうやって流れていく、2人の恋人の日

 

End


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