君とボクと   作:律@ひきにーと

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キスの日 2019ver

5月22日 さて、今日は何の日でしょう

そう

 

「キスの日、か…」

 

雪那はいつも通りのゴシップ紙を傾けて呟いた

そう、今日はキスの日である

 

普段からちゅっちゅちゅっちゅしてるからありがたみが無い、と思いがちだがこういうイベント事にはきっちりしてるのが雪那

だからこそこの日は特別にしたい!と願うのだった

 

しかしそんな願いは何処いく風といったのがこの女、セリカ

 

「雪那、今日の仕事の予定は」

 

「2件、引越しと子守りだな」

 

「じゃあ二人で行きましょうか その方が効率いいですし」

 

「そうだな」

 

1件目、引越しはセリカの手伝いもあってか早めに終わり、昼食を挟むことにした

 

「どの店にしましょうか…」

 

「折角だから重めに食べたい気分だな」

 

力仕事の後だからな、と付け加えて雪那

 

「雪那はいいですねー太る心配がなくって」

 

と、むくれるセリカ

 

「デスクワーカーには辛いな」

 

「頭脳労働が僕にしか向いてないからですよー」

 

さて、どこに行くかとさ迷い結局雪那のお気に入りの蕎麦屋『繚乱堂』で食べることに

 

席につき、メニューを見る2人

とりあえず、いつもの、ということで

 

「きつねそば、冷で」

 

「たぬきそば、温で あとカツ丼も1つ」

 

「承りましたっと」

 

ウェイターの紀子(のりこ)が飄々とした様子で注文を取っていった

 

「おやっさーん、セリ雪ランチ1つー!」

 

「あいよ!セリ雪ランチ1つ!」

 

「その言い方はやめろ!」

 

紀子と店主晃(あきら)の会話に雪那が割り込む

 

「えーいいじゃないですかセリ雪ランチ、ボクは好きですよ?」

 

「そういう問題じゃなくてだな…」

 

まるで、と口にしたところで

 

「夫婦みたい?」

 

「それだそれ」

 

「ち!が!う!」

 

「えー夫婦と何が違うんですか雪那ー」

 

「それは!だな…うん…」

 

「言葉に詰まる辺りまだまだだなせっちゃん」

 

と、晃が茶化してくると雪那は真っ赤になって

 

「晃さん!」

 

と反論する かわいい(セリカ談)

 

「セリちゃんに振り回されてるあたり尻に敷かれてるのは変わんねぇよ、ほれランチいっちょ上がり」

 

「あ、どうも」

 

「むぅ…」

 

受け取ると2人は丁寧に両手を合わせて

 

「「いただきます」」

 

と挨拶

これは育ちの良さが見える

 

その後食事を普通に終えて、店を出、以来の時間までフラフラするかと思ってたところでセリカに手を引かれた

 

「雪那、こっちこっち」

 

「こっちって…」

 

路地裏じゃないか、と言おうとしたのもつかの間どんどん連れてかれる

どこにそんな腕力があるのか体重差のある雪那をグイグイとひっぱって路地裏に入るとセリカはいきなり雪那に口付けた

 

「んんっ…」

 

「んは…」

 

拒み気味の雪那の唇に舌をねじ込み強引に開かせると、舌を絡めるとそのまま口内をねぶり味わい、

 

「っふ…っ」

 

「んっ」

 

ゆっくりと蕩けさせていく

 

「雪那、やっぱりカツ丼に七味めっちゃかけるのやめた方がいいですよ 口の中辛い」

 

「外だぞ!」

 

「スリリングな方が思い出に残るでしょう?」

 

悪戯っぽく笑うとセリカは雪那の唇を指で指し

 

「今日はキスの日でもありラブレターの日でもありますよね?」

 

後者は初耳だった

 

「ルージュのラブレター、受け取ってくださいね♪」

 

「な、や、な」

 

「ふふふ、雪那ったら全部顔に出てるんですもん ロマンあるキスしてやるって目が語ってる」

 

「私はな!」

 

「言わなくてもわかりますって」

 

セリカは再び悪戯っぽく笑うと

 

「お返事は帰ってから、ね?」

 

と、言って歩き出した

 

「…覚悟しておけよ」

 

と言ってその後を歩く

 

こんな2人のキスの日

 

End


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