君とボクと   作:律@ひきにーと

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久々の投稿です……
PS4買っちゃいました……ますます投稿しなくなりそう
これから投稿ペースは大体1週間に1話を目標に頑張ろうと思います
遅いペースですがお付き合い下さい


【うっすら煙草の味がした】(キスあり)

セリカは喫煙者だ

ヘビースモーカーという訳では無いが、それでも1日にそれなりの本数のタバコを吸っている

 

最初はタバコの煙が嫌だった雪那もすっかりその匂いに慣れてしまった

 

時折多少吸う本数を減らせとセリカに言うのだが、あまり効果は見られなかった

 

そもそも何故タバコを吸うのか、それが雪那には分からなかった

何故好き好んで体を悪くするような煙を体に取り入れるのか

それが分からなかった

 

なので一回聞いてみたことがあるのだが

 

「こればっかりは普段から吸ってる人間にしか分からないかと」

 

と、はぐらかされてしまった

あんまりいい気分はしなかったのでその場でセリカには1週間の禁煙を言い渡した

 

のだったが……

 

 

事務所 今日の分の仕事は終わり、残りは事務仕事を片付けるだけとなっていた

「んー……」

指先で器用にペンを回すセリカ

なんとなくそのペンを口元に持っていっては、離す

 

そんな一連の動作を見ていた雪那は

 

「そんなに辛いか」

 

と聞いた

 

「なにかです?」

 

「禁煙がだ」

 

分かっているのかわざととぼけているのか聞き返すセリカはまたペンを口元に持っていく

 

禁煙してはや三日目なのだが、やはり普段から習慣として染み付いたものを急にやめるとなると日常生活にも支障が出るものなのだろうか

 

セリカはいつもよりも集中力が足りない、そんな感じだった

 

「辛いと言われれば辛いですよ」

 

指先でペンを一回転

そのペンを雪那に向けて

 

「約束は、約束ですし」

 

そう言われると申し訳なくなるだろう、と思った雪那

しかし約束は約束

しっかり守ってもらわねば

 

これはセリカの為でもあるのだ、と心を鬼にして

 

雪那は近くの来客用の飴の入っている籠の中から飴を取ってセリカに放り投げる

 

「口が寂しければ飴でも舐めていろ」

 

「雪那がキスしてくれたら口寂しくならないかも……」

 

「ぬかせ」

 

セリカの提案をバッサリ切り捨てる

今は仕事中

 

公私の区別はしっかりしているのが雪那である

 

セリカは「わかりましたよ」というとまた書類に目を通し始めた

 

「じゃあ家に帰ったら、ね」

 

とウインクしてきたがそれを無視して雪那も自分の分の書類に目を通す

 

内心少しドキッとしたことをかくしたまま

 

 

帰宅後、風呂を上がった雪那が見たのはベランダで佇むセリカの姿だった

 

「何をやってる?」

 

「あぁ、少し夜風に当たろうかと」

 

そう言ったセリカの方から微かな煙臭さを感じた雪那はまさか、と思いセリカのポケットに手を突っ込むと

 

「勝手に人のものを漁るのは感心しませんね」

 

と、ポケットの上から手を掴まれる

 

「こら、離せ……というか中に何が入っているか私には分かってるんだぞ」

 

「それは困りましたね……なおさら離せなくなりました」

 

「隠れて煙草を吸うくらいなら最初から辛いと言え!」

 

「いえ、実はですね」

 

そう言うとセリカは手をつかんだまま雪那の腰に手を回して自分の方に抱き寄せるとそのまま

 

「ん……」

 

薄紅に唇を重ねる

雪那が感じたのは夜風に当てられ少し冷えた唇の冷たさといつものセリカのタバコの香り

 

「……スマートにキスできますよね、こういう誘い方だと」

 

「阿呆が」

 

唇を離すと雪那はセリカに少し体重を預ける

 

「私は何も意地悪したくて言ってるわけじゃないんだ ただお前の体が心配で」

 

「分かってますよ」

 

セリカはそれを言葉ごとしっかりと抱き締めて

 

「タバコ吸ってもボクは長生きするってことをお見せしますから」

 

「……あぁ、見ててやる」

 

2人はもう一度だけ口付けると、そのまま部屋の中に戻っていく

 

End

 

 


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