翌日、ちょっといつもよりけだるげにだが八幡は登校するとすでに折本は教室にいた。俺が教室に入ると一斉にクラスの連中の視線がこっちを向く。やめろ、熱い視線を送るな。おい今いい男って思ったやつ地獄に落ちろ、俺はノンケだ。
さて、とうの折本はと言えばクラスの仲のいい女子と談笑している。まぁいつもの光景だ。俺は何食わぬ顔で自分の席に座り机に伏せてホームルームまで眠ることにした。
結論から言うと、折本は絡んでこなかった。何かこれはこれで不気味である。今まで頑なになって絡んできたのに拍子抜けと言うか調子を崩されたと言うか。いや構ってほしい訳じゃない。寂しいなんて思ってないよ。だって俺は生粋のボッ…
「ちょっといい?」
あれー?逃げ切れたと思って油断して帰ろうと教室を出ようとしたらいきなりエンカウントしましたよ?なんで?フェイント?
「あのさ、昨日はごめん!!」
「へっ?」
いきなり謝られた。昨日のあれは確かにちょっと感傷的になってたけど、今教室内でクラスの連中の視線が一気に集まった。
「いや、別に気にしてねーよ」
「でも、私が」
「あぁもう、とりあえずここじゃ目立つから昨日の喫茶店でいいか?」
「あっちょっと!」
俺は急いでこの場を離れるために折本をつれてそそくさと教室を出た。
折本の手を握りながら。
ところ変わって本牧牧人も同じ頃、折本かおりの親友仲町千佳と昨日の喫茶店にて話していた。
「まぁ牧ちゃんがボーダーで頑張ってるのは知ってたけど、ちょっとくらい話題の出したってよくないかな?」
千佳に牧ちゃんと呼ばれるのは久しぶりだった。二人は所謂幼馴染みであったが、ここ暫くは牧人がボーダーに入って何かと忙しくて二人きりで話すのはいつぶりだろうと言うくらい、二人の交遊は薄れていた。しかし、先日の防衛任務でボーダーで防衛隊員として近民と戦う姿を目の当たりにした千佳が幼馴染みを心配に思い久しぶりに声をかけたのだった。
「千佳はボーダーでの俺の話を聞いて楽しいか?」
「楽しいとか楽しくないかじゃないの。牧ちゃんいっつもそう。私は牧ちゃんが心配だから聞いたの。昨日の話比企谷君のことで牧ちゃんまでなんか辛そうな顔するかさ」
「悪い、千佳は俺のこと心配だったんだな。安心した、なんか最近あんまり話しかけてこないから嫌いになったのかと思ったよ」
「私が牧ちゃんを嫌う訳ないでしょ。何年幼馴染みしてると思ってるのよ」
「ありがとう。まぁ俺もボーダーで忙しくて中々構ってやれなかったからな、千佳には悪いとは思ってるけど。俺今が楽しいからさ」
牧人は頼んでいたコーヒーを一口啜るように飲む。そんなとき後ろの席から知った顔が現れた。
「あれ、本牧しゃねーか。何、デート?」
今一番会いたくない人ナンバーワンの太刀川慶がいたのだ。そして向かいにはボーダー内でも有能美人で有名なオペレーターの月見蓮がいる。
「げっ太刀川さん。月見さんまでなんでここに」
「あぁ今日防衛任務が5時からなんでな。時間潰しにたまにはと蓮に誘われてきた。つかここの餅うめぇな」
太刀川の手には彼の大好物の餅が握られていた。なんで喫茶店で餅なんか取り扱ってるんだ?
「そうだ本牧、暇なら今から模擬戦しねぇ?」
「すいません、デート中なんで」
「まったく、慶は二人の邪魔しないの。ごめんなさいね、デート中にほらいきましょう」
そう言うと月見は太刀川を連れて店を出ていった。
「何だったんだろうな今の。千佳、顔赤いけどどうかしたんか?」
「何でもないよ!!」
本牧君と仲町さんを幼馴染みと言う設定でボーダーの幼馴染みの太刀川、月見ペア見守る話でした(主に月見さんが)。
さて、比企谷隊結成も残り2話くらいで終わらして新キャラ出したいですね