28万人が住む三門市に、ある日突然異世界への「門(ゲート)」が開いた。門からは「近界民(ネイバー)」と呼ばれる怪物が現れ、地球上の兵器が効かない怪物達に誰もが恐怖したが、謎の一団が近界民を撃退した。彼ら、界境防衛機関「ボーダー」は、近界民に対する防衛体制を整え、依然として門から近界民が出現するにも関わらず、三門市の人々は今日も普通に生活していた。
-4年後のある日-
青春とは嘘であり惡である。
青春を謳歌せし者たちは常に自己と周囲を欺き、自らを取り巻く環境のすべてを肯定的にとらえる。
彼らは青春の二文字の前ならばどんな一般的な解釈も社会通念も捻じ曲げて見せる。
彼らにかかれば嘘も秘密も罪科も失敗さえも青春のスパイスでしかないのだ。
仮に失敗することが青春のあかしであるのなら、友達作りに失敗した人間もまた青春のど真ん中でなければおかしいではないか。
しかし彼らはそれを認めないだろう。全ては彼らのご都合主義でしかない。
結論を言おう。青春を楽しむ愚か者ども砕け散れ!
-六穎館高等学校の生徒指導室-
「比企谷、なんだこの舐め腐った作文は?」
この前ふざけて書いた現国の課題を読み終えた平塚先生は頭を抱えて俺に言う。高校生活を振り替えってと言うお題にそった我ながら見事な作品であると自信を持って言えるこれを平塚先生はお気に召さないようだ。
まぁ自分でもやり過ぎたと思うが後悔はしていない。していたら今すぐにでも書く前の自分にバカなことは止めろと釘を刺しただろう。
「ダメだったですか?」
「ダメに決まってるだろう。もう少しまともに書けないのか?君は国語の成績は悪くないだろう?」
「まぁそれなりには」
その代わりに理数科目、特に数学だけは壊滅的なものだ。我ながらよく留年せずに進級できたものだ。
「ふむ、ところで君は友達はいないのかね?」
いきなり話の方向が変わった質問をされた。まぁあの文面からしてそんな事を聞いてきたのだろうし、普段からボッチでいる俺の生活風景から察したのだろうが生憎友達がいない訳ではない。ただ目立ちたくないからあえて学校内ではボッチでいるだけだ、ハチマンウソツカナイ
「居ますよ、少なからず友達と言えるだろう人が」
「本当か?」
疑り深く平塚先生は聞いてくる。いやに鋭い目付きで射ぬくように俺の目を見る。
「そんな腐った目付きのような奴がか?私にはいるようには見えないが」
「失敬な、人を見かけで判断しないでください。そんなんだから合コンに失敗するんですよ」
「ぐはっ!?」
前回の授業のとき要所要所で愚痴を溢していたのを覚えてた俺は咄嗟に反撃した。平塚先生はそのときのことを思い出したのかその場に崩れてしまった。ちょっとやり過ぎたかもしれない。メソメソ泣いてる平塚先生を他所に制服のポケットにいれてある俺の携帯(アラーム付き暇潰しアイテム)が鳴り出す。
「もしもし」
『あっ比企谷!今何処にいるの?授業終わってすぐどっか行っちゃって早くしないと始まっちゃうよ?』
「すまんすまん、なんか平塚先生に呼ばれて職員室にいるんだけど」
『平塚先生?あんた何かしたの?』
「いや、前回の課題に不備があってな。もう少ししたら行くから先に隊室で待っててくれ」
『わかった、早くしなさいさいよ。じゃねー』
会話も終わり携帯をポケットにしまう。どうやら平塚先生はまだダメージから立ち直れてないようだ。仕方なく俺は課題は書き直すとメモ書きを残し職員室を出た。
-ボーダー本部-
近界民の技術を独自に研究し、世界を守るために設立された民間組織であり、侵攻してくる近界民と戦うことを仕事とする。
存在自体は以前からあったが、公に活動するようになったのは4年半前の近界民侵攻から。
現在の本部はその際、建設されたものである。
そう、俺はボーダーに所属している。あの大規模侵攻後、ボーダー達が表舞台に出てすぐに志願して入隊した。入隊するまでの経緯はいろいろあったのでここでは割愛させてもらう(※あとで書くつもりです)。
俺が所属する隊は3年前に結成、去年漸くA級へと昇格し勢いに乗って上位を目指す所だったが、昨年の総武高校へ入学する日の朝に俺が事故って入院してしまいしばらくの間休隊する羽目になるとは思わなかったが、今現在は復帰しランク戦に参加している。
俺が所属する隊の隊室前まで来た。さて、今日も俺の平和なボーダー活動が始まる。
感想、指摘ございましたらよろしくお願いします。次は八幡の隊の紹介と隊員紹介を。