漆黒の剣風と金色のせせらぎ   作:クリュネル

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前回後書きで書くことは決まっていると書きましたが、
細かいところの調整やら途中でキーボードが壊れたりとかいろいろあって
今更の投稿となりました...申し訳ない

今回書いてて、前回のアスナの階層よりユウキ異様に長くなったな
って思いましたアリスの文章量もなぁ...
各それぞれの文章で一話ずつかける気がしますからねぇ~
そこにボス戦、長くなるなぁ~なんてひとり呟きながら...

ということで今回はボス戦ですね!
戦闘描写は下手くそですが軽ーく読んでください
それではどうぞ!


絶対の剣の少女、花の少女の心音

ユウキ side

 

 

ボクはどこにでもいるような普通の女の子で

現実では、何か特別な力があるわけでもないし何か影響力があるわけでもない

 

でもこの世界では違った。

結論から言うと適性がありすぎた。

この世界に適応しすぎている。

 

この世界《ソードアート・オンライン》には、今や悪魔の機械とまで言われている

ナーヴギアによってダイブしている。

この機械は人の脳と接続し意識を仮想空間にダイブさせており

脳によって不適合者や、高適合者が分かれるケースがあるみたい。

 

ボクは仮想空間に対する適性が極めて高く、

反応スピードも攻撃のキレも人並み外れていて

「電子の申し子」だとか、「絶対無敵の少女剣士」などと呼ばれ持て囃されていた。

 

それで、調子に乗って慢心していたのだろう。

層を重ねるごとに危険が伴うのは知っていた。

しかし、それを分かっていながら一人でクエストボスに挑もうとしていた。

 

ソロでの危険性を甘く見ていたのだ

はじめは上手く立ち回れていたでも、僕は過信しすぎていた自分の高適合者としての能力を

 

でも、その能力は脳の信号の伝達スピードによるもので

長時間使い続けると人より速い速度で消耗を強いられる。

 

それを知らなかった無知な自分のせいで途中で力尽きだんだん動作もままならなくなった

そうしているうちに足がもつれて転んでしまった。

そんな中誰もいない空間に響いたボクの言葉

 

「死にたく...ない...誰か...助けて」

 

むなしく響くのみ、

 

「ボクは...生きたかった、のに...

 まだ何もできてない...から...」

 

モンスターが目の前まで迫り長大な大剣を振り上げる

死を覚悟し目を閉じた

 

(あぁ、終わりか...呆気なさすぎるよね...こんな死に方したら、

 姉ちゃんにあっちで叱られちゃうのかな...)

 

「チッ!危ねぇよ...女剣士!」

 

不意に聞こえたその声と同時に金属音と衝撃

風圧で前髪が揺れる。

そして、数瞬前まで覚悟していた衝撃はいつまでも来ない

 

うっすらと目を開けるとそこには、

一見少女と見まがうような線の細い横顔と漆黒の長髪夜空のような黒の片目

もう片方は眼帯に隠れて見えない

そして、身を包むのは黒い戦闘服にウエストクロス

右手に掲げて敵の凶刃を防ぐのはシンプルかつ流麗なロングソード

 

「ぇ...黒の剣士...?」

 

情報を統合し自分の記憶を探って出てきたのは、

目の前にいる剣士の素性

そう、黒の剣士 名をキリト

 

「何気なしにクエストを受けてポイントに来てみれば...

殺されそうなやつがいて、何を思ったんだか...俺...人助けなんぞ

 なんでしてんのかなぁ...」

 

ちらりと硬直しているボクを見ると

いきなり上体を後ろに傾け、足を思い切り振り上げた。

 

つま先に若草色のライトエフェクトが集まり

 

「っ!」

 

無言の気合と共に敵の大剣にブチ込む

ガァンという音を立て大剣だけが部屋の隅に吹き飛ぶ

 

「ほら立てよ、絶剣

 そこに座ってても敵は消えないぜ」

 

大剣の軌道を見ていると手が差し伸べられる。

 

「っでも、ボクもう動けないから...」

 

黒の剣士はため息をつくと腰からピックを二本抜き取り後ろに投げる。

それらはそれぞれ左右の目に刺さり敵がひるんだ。

 

その隙に剣を鞘に納めボクに歩み寄ってくる

内心少し怯えながらそれを見つめる

 

「このクエストを降りるぞ、死なれたら困るからな」

 

そう言い、ボクを地面からすくい上げるや否や走り出す。

男の人とは思えないような細腕にボクを抱えボス部屋を出るや否や、

腰のあたりを片手で素早く探ると青い直方体を取り出す。

 

「って、そういえば結晶切れてるんだった...おい、絶剣お前結晶は?」

 

「多分ストレージに入ってると思うけど...」

 

そう言いつつさっきから動かそうとしている、右腕を見る。

まるで体が石になってしまったかのように、重く痺れる

いくら頭で念じても震えるだけで一センチも動かせない。

 

「動けないのなら別にいい無理に動かそうとするな。

 さっさと回復に努めろ」

 

ぶっきらぼうに彼は言う

心底面倒くさいという感情が表情に出て隠そうともしていないのだろうか

いや違う不器用なのだ。

 

彼はボクと同じで不器用なのだ。

かつて姉ちゃんにも同じようなことを言われた記憶がある

それと同じ感じなのだ

ただ、自分の不器用さが面倒くさいのだ。

でも彼には多分本当にめんどくさいとも思っているのだろう

 

感情は隠せなさそう

何故かそんな気がした。

 

 

 

その後も何回か顔を合わせる機会やフロアボスの時に共闘したりして

少しボクにも変化が起きた。

それは、自分のために剣を振るうんじゃない、誰かのために守るために剣を振るうのだと

自分を戒め律して剣を触れるようになったこと

 

守りたいと思える存在を持つことができたこと。

 

 

 

 

 

ボクは今、その存在を守れる立場にある。

自分の手の届くところにその存在が居るのならば

せめてその時だけでも、ほんのわずかな時間でも寄り添い守り通したい

助けてもらったこの命と掲げた剣に誓って。

 

ボクは無謀な戦いに身を投じる。でも、勝てると不確かな確証がある

それは目の前にいる小柄な黒い剣士の存在があるからだろうか?

 

 

 

ユウキ side out

 

 

 

アリス side

 

 

私は後悔している。

あの時は、アインクラッド第五層で突き放されたとき

私はキリトに手を離されたときつかみ返せなかったことが許せない

自分の器の小ささには呆れて何も言えない。

 

キリトに突き放され動揺し自分に余裕が持てず

我を忘れて怒りに任せてしまった。

キリトが私の手を放しまだこちらに伸びているときに、

自分から掴み返さなかった。

それに、あっさりと簡単に手を離されたのは私がキリトの手を掴んでいなかった

そんな自分の弱さが憎かった。

 

自分では掴んでいたつもりだった。

差し出された手を私が握っているつもりだった。

でも全く違った。

 

本当のキリトに手を差し出してはなんかいなかった。

表面だけの取り繕ったであろうキリトに手を差し出し掴まれていたのだ

意識の底にいるキリト本体には見向きもせず、

しかし、キリトは求めていたのかもしれない

繋がり

 

それも、上辺だけじゃない真の繋がりを

 

結局は自分が満足していればいいという私自身のエゴだったのだろう。

 

キリトに和人を写しそれで満足していただけだった

そんなところを私が自覚する前からキリトは見抜いていたのかもしれない

 

ナツやユキにも報告はしていた。

ユキは

 

「そんなことない、まだキリトも困惑しているだけなんだよ

 しかも、アリスちゃん楽しそうだったもん」

 

なんて言ってくれて泣いていた私を慰めてくれた

けれどもナツは、

 

「アイツだったとしたら、アイツも泣いているかもな...

 誰かを傷つけて苦しまないはずがない、多分記憶はないかもしれないけど

 アイツがアイツのままだったら、自分を傷つけることを厭わないくらいは思うと思うぜ?」

 

その言葉を聞いて私はハッとした。

 

キリトが和人ならば、心根は優しくて誰かを傷つけるのは耐えられないかもしれない

 

「誰かを守ることのほうが難しいが自分も魂は傷つかず

 相手も傷つかないだからどちらかを選べって言われたら迷わず守るほうを選ぶ

 自分にうそをついたとしてもね」

 

なんて、昔和人に助けてもらっていた時聞いたことがあるのを

おぼろげに思い出した。

 

だから私は、守られるだけじゃなくキリトを守る。

キリトが弱ったときに側で支えられるように、後悔しないように。

 

せめて、自分に嘘をついたとしても、キリトには正直な気持ちを伝えたい

 

「生きて」と。

 

他人だとしても、私を守ろうとしてくれた心の優しい剣士を

死なせたくはないから。

 

 

 

アリス side out

 

 

キリト side

 

 

 

ボス部屋に繋がる扉が再び俺の前で開いた。

二時間前俺の前で開いた時と同じように、しかし今は扉の中は同じでもそれに挑む者は違う

 

監視という名目でも、俺と戦おうとしてくれた女剣士

その心の在り方は美しいのだろう。

 

ならば俺はその心の在り方に敬意を払い身を削る必要がある。

例え、その結果俺の命が儚く消え去り存在をこの世界の全てから消したとしても

 

しかし、それは今となっては怖い。

今まで自分が消えることも厭わずただがむしゃらに剣をふるっていた

ことが当たり前なのに、彼女らは意図も容易くその俺の常識を打ち破るように

俺に手を差し伸べたのだろう

 

 

俺が死んだら彼女たちはどうなるのだろう?

そんな考えが頭を過ぎる。

俺は、散々彼女らを突き放してそれに二度と消えぬ罪を犯してしまった。

そんな奴がこんなことを考えていい資格なんてない

贖罪も何もできていない、できやしないこんな俺が

自分のエゴを押し通していいものか。

 

そんなはずはない。

だから、俺はただ使い潰されるだけの道具に過ぎない

 

しかし俺は、この以前まで抱いていた確固たる自責はなくただただ迷っている。

彼女たちのこれからを見ていたい。

 

しかし今ここは戦場だ。

そんな軟弱な考えや、迷いは剣を鈍らせる。

だから、俺は迷いもエゴもここに捨て切り捨てる

 

俺自身のために

 

 

 

そして、扉は開け放たれ敵が咆える。

全てを振り払うように背中の剣を抜き放つ

 

体制を深くして思い切り地面を蹴りボスとの彼我の距離を詰めていく。

その勢いのまま肩に担ぐように剣を構える。

 

視界の端に後ろからクリムゾンレッドの輝きが見え始める

全身の力を余すことなく思いっきり剣を握る右腕に伝え、

全身を一本の豪槍と化す。

 

ボスが俺を迎撃しようとするがもう遅い

 

黒き疾風と化して剣を突き出す。

その刹那、剣がリィン、と震え一際強く光を放ち___

 

 

紅き残光を描き

 

 

「っ!、つあぁぁぁ!」

 

自身最大の攻撃力を叩き出す。

 

敵が数メートルノックバックする。俺は技後硬直で数舜完全に止まる

これが、ソロだったのなら俺は三秒後にはポリゴンの欠片と化し

存在をこの世界から消失させていた。

 

 

これがソロだったのならば、の話だ。

敵もノックバックの効果で硬直を強いられている

 

俺は、この数か月一切使うことのできなかった

いや、使う権利のなかった言葉を叫ぶ

 

「「スイッチ!」」

 

俺と声が重なる誰かの声

鈴の音のような優しい、それでいて芯の通った力強い声

 

俺のすぐ横を金色の軌跡が、通り過ぎる

あの時、俺が捨て忘れていた高揚感が全身を支配する。

 

若草色の軌跡を描きボスにクリティカルヒットする

 

それと同時に俺の硬直が解け、

落下してくる「輝く星」を受け止め離脱する。

 

その視界の端でボスの体力ゲージ

四段あるうちの一本目、それの四%くらい削ったことを確認し

 

「...まずまずのダメージだな」

 

そこで俺の顔が笑っていることに気づく

 

(こんな時に笑うなんて、よっぽどの馬鹿だな俺は...)

 

その時腕の中から少女が立ち上がる。

俺が見上げたその顔は____

 

 

 

 

 

 

 

あの時と変わらない。いやそれ以上の花を咲かせていた。

 

 

 

キリト side out




このままだとダラダラと長ったらしい文章になると思ったので
一旦切ります。

来月の頭には投稿できればな~と思っています。
それでは、アディオス!(笑)

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