漆黒の剣風と金色のせせらぎ   作:クリュネル

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八月の間、ちょっと中々話の展開が思い付かなくて
こんな遅くなっちゃいました~
色々思い付いたらメモとかしたりしていたけれど、
しっくり来る内容に纏まらなくて...

こう言うのをスランプって言うんでしょうかね?
だったらもう、年中スランプな気はするんですけどね(笑)

取り敢えず今回も前回の続きでオリジナル展開です!
あまり期待せず楽しんでもらえたらな~って思います。

それではどうぞ~!


祈りと誓い、想いの剣

アリス side

 

 

私は和人の小さな背中を見て思わず息を飲んだ。

 

(何で...あんなに小さな背中にそこまで多くのものを背負えるの...?)

 

口に出さなくても言われなくても分かる。

 

いや、感じる。

今までどれだけの物を背負ってきて今その場に立っているのか

それをどの様に受け止め、進んでいるのか。

 

無意識のうちに私は、

 

「もう...やめて...

 キリト!もうやめてよっ!」

 

そう叫びながら走り出していた。

 

「アリス!?待ってよ!」

 

ユウキの制止すら聞かずに剣を抜き私は駆ける

後悔しないために。

 

後悔してからでは遅い

大切な人を二度も失う訳にはいかない。

一度は失ったけれど

記憶を代償に戻ってきてくれた。

 

多腕の石像はキリトに向かって拳を構える。

長髪で隠れて表情は見えないが驚いてこちらに顔を向けているため

まだ気づいていない。

 

「何で...」

 

キリトの口から零れた言葉

 

「助けに来たんだよ...キリト、貴方を」

 

微笑みながらキリトのより幾らか細身の剣を肩に担ぎ

ソードスキルのモーションを取る。

脚のスタンスを広げ思い切り剣を引き絞る。

 

すると剣に血のようなクリムゾンレッドの

ライトエフェクトが現れる

大きく踏み込み、

 

片手剣 上位重単発技<ウォーパル・ストライク>

 

を叩き込む。

 

数瞬せめぎあうが、剣は火力ではなくスピード重視で

その上STRで劣っているため少しずつ押し込まれる。

 

しかし、そんなことは分かりきっていることだ

だから、スキル終了と共に

 

武器防御スキル <インパクトスライド>

 

に切り替える。

このスキルはスキルの硬直時間をキャンセルして

受け流しに移行することのできる技だ。

 

欠点は硬直をキャンセルしてもそのスキル終了後に

もとの二倍の硬直が課せられる事だ。

そして成功率も40%と低い

 

負けたら終わりの賭け

でも、不可能だなんて思わない。

 

私はこの右手の剣に誓った。

 

(絶対に私は...)

 

「敗けられない...護るために...もう二度と失わないために!」

 

激しく火花が散り

剣に重圧がかかり体に力を込め

途方もないくらい重い衝撃を慣性をねじ曲げて背後に落とす。

 

剣にかかる重圧が消えた瞬間体から力が抜ける

 

(でき...た...守れた...)

 

顔を上げるとキリトが駆け寄ってくる。

表情は見えなくて如何なる感情が渦巻いているのか分からない

 

それと同時に背後からも足音が聞こえる

アスナとユウキだろう。

 

それを見たのかキリトは少しだけ見えた表情を曇らせ

ダウンしているボスを一瞥すると

 

「予定が狂った...出直す」

 

それだけを呟くとキリトは私の腕を引っ張る

それにつられて立ち上がり付いていく。

 

「...俺の目の前で死なれたら...寝覚めが悪い、さっさと行くぞ」

 

ボス部屋から出ると私をみて見て不思議そうな顔をすると

手を離し後ろに三歩下がるとベルトポーチから転移結晶を取り出そうとする。

するとおもむろにアスナが

 

「待ちなさい、貴方はキリトだったかしら?」

 

キリトを呼び止める。

キリトは名前を呼ばれたのに驚いたのか

ピクリと良く注視してないと気づかないくらいに反応した。

 

「...そうだけど...何ですか?」

 

「攻略組の中で危険な行為を行わないってそういう規則だったわよね?

 そのなかに独立行動も入ってたわ」

 

確かに死亡率が高すぎるため一人で行動することは推奨されていないし

余りいい顔もされない。

 

「いいんですよ...俺はビーターだし、望んでソロで動いているんですから...」

 

自嘲するようにおどけた様子で話す

でも、その表情には陰があり哀しそうだった。

 

「キリトさん、でもボクはキリトさんに危険なことはしないでもらいたいんだ

 だから...余り一人でいかないでくれないかな?」

 

「...まぁ、その言葉は気持ちとして受け取っておくよ

 だけど確約は出来ない、悪い...」

 

アスナの叱責もユウキの説得も全く聞き入れようとしてくれない

私は何と声をかければいいのか判らない。

 

(キリトを止めないと...でも...)

 

「俺はギルドにも加入しないし、パーティーを組みもしない

 ソロでいるからこそ死地にも行けるしそれで俺の利用価値もでる.........

 それに、死んだところで俺は悲しむ人がいないからな」

 

「でも...それでキリトさんは満足できるの?」

 

「貴方は自分の気持ちがハッキリしていない、

 だからそんな自暴自棄になるのよ」

 

ユウキとアスナの言葉を聞いて私はハッとする。

キリトはそんなものどこ吹く風で飄々としている

 

(キリトの気持ちも大切だけど一番は伝えたい気持ち、

 満足できるように最大限の努力をする...それが近道なのかもしれないな...)

 

これからすることを考えると少し顔が熱くなってくる

やっぱり恥ずかしい。

 

でも、いい加減覚悟を決めないと手遅れになってしまう。

そんなことを考えていると、

 

「お前たちが帰るも帰らないも俺は知らないが

 俺はもう一度行く...っと単独はダメなんだったかな?

 ......仕方ない、誰かお前らの中で監視をつければ文句ないだろ?」

 

アスナがキリトを睨み付けたのを見てなのか、

妥協して提案をしてくる。

 

「言い方が気に入らないけれどそうね...

 まぁ、私は貴方の戦闘が気になるから個人的には見たいわね」

 

「あっ!ボクもみたい!前はまともに戦闘見れなかったもん」

 

「えっ!?ちょ、ちょっと!」

 

二人がいきなりいきたいなんて何てことを言い出すのか

私だってキリトの戦闘を見たい。

それ以上に肩を並べて戦いたい。

そして...護りたい。

 

「...ユウキ、アスナさん」

 

何と言い出そうか迷って口を閉ざしてしまっていると

キリトの声が聞こえてくる。

 

「...そしてアリス...俺は正直、信頼をしていない

 でも、人の命を奪うほど慈悲のない人間ではないと言うことは

 信じている」

 

信じていると言われて少し嬉しい

信用も信頼も要らない、少しでも認められていればいい

そう思っていたから

 

「それに、手も足りないからな

 今回だけだ...行くぞ」

 

それだけを言うと再戦に向け眼に殺気が宿る。

これまでに見た不利な状況を覆す獣の瞳

 

それさえ見れれば心配は要らない

ただ信じて剣を振り続ければそれだけでいい。

 

部屋に入る直前私はキリトに

 

「久し振りの共闘、よろしくねキリト」

 

気合いを入れるためにも踏ん切りをつけ前を向く

 

(カッコ悪いところは見せられない)

 

何時もより気分が高揚している。

剣を抜き自慢の金髪を後ろに払い私はボスへと駆け出した。

 

 

アリス side out

 

 

キリト side

 

 

俺は全てを捨てたのだから

こんな風に助けられる権利も資格も無い筈だった。

 

それでも三人を見たとき、

声を聴いたとき、

アリスが助けてくれたとき、

「護る」と言ってくれたとき、

心配してくれたとき、叱ってくれたとき、

付いてきてくれると言ってもらえたとき、

 

俺は死ぬほど嬉しかった。

少しだけ生きる気力、勇気が持てた。

 

だから、俺は細やかに願い、誓った。

 

「彼女らの希望の光が消えませんように」と願い

 

「彼女らを護る」と誓った。

 

俺が消えようとも護り抜く

今や自分以上に大切な人を決して死なせはしない。

 

そう決意し、部屋に入ろうと踵を返す。

 

その瞬間、アリスの以前と全く変わらぬ

いとおしいとさえ思えた声で囁かれた。

 

刹那、脳がしびれたような感覚が走った。

鼓動が速く大きくなる

これはさっき、アリスに助けられたときにも感じたような

熱に侵されたような感覚

 

しかし、こんなことに集中を割いていたら死んでしまう

頭を強く振り何とか追い出す。

 

肩越しに覗く剣の柄を握り鞘から一気に引き抜く。

シャラン と鈴のような音を立て姿を表す。

剣が何かを求めているようにリィンと震える

 

誰に言うでもなく呟く。

 

「このふざけた世界を...俺は喰らってやるよ...

 護り抜くために」

 

駆け出したアリスの背中、ユウキの笑顔、アスナの瞳

見渡してから深く体を落とし込み一気に加速する。

 

さぁ、狩って喰らうか、狩られての垂れ死ぬか

血塗られた「コロシアイ」を始めよう。

 

 

キリト side out




またやってしまった...
どれだけ伸ばすんだろうか?
自分で書いているのに(←ココ重要!)

終わりが見えないと言うか何と言うか...
前途多難だなぁ
書くまで全く思い浮かばないけど書き始めたら止まらない
どうしよう...

まぁ、気に入ってくれた人は気長に
作者が焦ってる様子を想像して笑いながら待っていてください!
そうしてくれると作者も気が楽かなぁ…

兎に角これからも楽しんでいって下さいね!

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