漆黒の剣風と金色のせせらぎ   作:クリュネル

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またまた一ヶ月振りの投稿です。
もう一ヶ月更新にタグ変えようと思います。

後、この小説を読んでくれている皆さん
いつもありがとうございます!
これからもよろしくね!

ちなみに、今回はぶっちゃけオリジナルです!
ちょくちょくオリジナルを挟んでいかないと、
関係を深くしにくいのでは、と思い書いています。

それではどうぞ!


道は違えても

キリト side

 

 

また、独りになるのか...

また、絶望をするのか...

また、光が見えないのか...

 

次から次へと思考が暗闇に落ちて行く。

今はただひたすらに進み続ける。

 

もう後戻りは出来ない。

自分で皆を突き放し、拒絶した。

茨の道を自ら選び、別れたのだから...

 

戻ったところで、受けいられるはずがない

居場所も繋がりも無い。

 

だから、これまでのように

孤独で冷徹な自分を演じ切れば良い。

忌み嫌われるように残忍な自分をーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

目覚めると、なにも感じなかった。

何も思わなかった。

何も....

 

 

 

 

知らなかった。

 

 

自分が誰で、自分が何者で、自分はどうすればいいのか

そもそも、生きているのか。

 

重い瞼を開け、光が視界に射し込む。

その眩しさに眼を背け徐々に瞳を開く。

 

最初に眼に写り混んできたのは灰色の世界だった。

 

 

いや、厳密には左半分灰色の世界だった。

右半分には鮮やかな色彩が写っている。

 

それに驚きつつも体をゆっくり起こす

腕の関節などが痛いがそんなことを感じている余裕なんか無い。

 

知らない自分、知らない場所、

それを知覚していくにつれ混乱し始める。

 

「...どこだ...俺は誰だ?何なんだ?

 分からない...分からない...何も分からない!」

 

疑問が崩壊したダムから水が溢れるように

押し寄せる。

 

考える、分からない。

答えへの糸口が掴めない

 

「ウワアアアァァァァァァ!」

 

叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ、ひたすらに叫ぶ

警告を促すようにアラームが鳴り響く

遠くから聞こえる足音、

全て遮断され

何も見えない

何も聞こえない

何も感じない

頭を抱えのたうち回る。

 

何故か動きが制限される

構わず暴れまわる。

 

 

不意に何かが聞こえた。

 

 

「ダイ...ジョウ...ブ...だよ...ワタシ...も...」

 

 

途切れて聞こえるが意味は汲み取れる。

大丈夫だよ、と、私も

 

か細く、優しく全てを包み込む様な安らかな美しい声

そして、心の底に眩しく照らす金色の光がキラリと輝く。

 

俺を黙らせるにはそれで十分だった。

 

今のが何だったのかは俺には分からない。

でも、もっと、もっと、あの声を聞きたい。

 

その想いだけが勇気をくれて、進むことができた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

俺は目覚めて以来、その声を求め探し続けた。

 

そんな時、学校に入れられて人と接した。

皆は好奇心の眼を向けて来る

 

俺は何故か、色が左から消えた代わりに

他人の感情が分かるようになっていた。

 

羨望、軽蔑、嫉妬、

 

様々な感情が視界を通して伝わってくる。

それを悟ったとき俺は絶望した。

 

人はこんなにも冷たく、愚かなんだ

 

俺は恐怖心しか人に抱けなくなり

関係を全て断ち切り孤独を選んだ。

 

学校にも登校しなくなり、部屋に閉じ籠もるようになった。

この時からだっただろうか

 

オンラインゲームにハマり出し、

そこでも嘘にまみれた事に気付きソロになったのは

 

悲しかった

苦しかった

怖かった

 

真に俺が受け入れられる人は居ないと思った。

そんな現実をぶっ壊したかった。

 

そんな時だったソードアートオンラインが発表されたのは。

 

もうひとつの偽物の現実

 

俺は強く惹かれβテストに応募した。

奇跡的に当選してしまったのだ

 

そのお陰で今、デスゲームに捲き込まれたが

後悔はしていない。

 

俺の眼で見ても、信じたい、一緒に居たい。

そう思える人物に巡り会えたのだから

 

クラインやユキ、ナツ、エギル

コイツらは信じても良いと思えるほどお人好しなやつらだ

 

鼠から聞いた話だと俺は知らないが、

ボス攻略のすぐあとに噂が一気に広がり

βテスターに対する暴動が起きたらしいが

声を大にして弁解をしていたそうだ。

 

 

 

そして...アリス

 

俺を知っているようでそれでも俺に向き合い

共に戦ってくれた。

アリスの隣はあの声以上の安らぎを俺に与えてくれる。

 

だからアリスの隣で一緒に歩いていきたい。

望みが叶うのなら...

 

しかし、俺はそれらを突き放した。

拒んだ

哭きたくなるほど苦しい

愚かな自分を殺したい

 

それでも俺は進み続ける。

クリアして、みんなを解放することが償いになるのだから

俺の命は消えても構わない。

 

この決意は脆く、何かがあれば揺らいでしまいそうだった

 

その時だ

 

「キリト!」

 

 

狂おしい程求めた声が聞こえたのは

 

 

キリト side out

 

 

アリス side

 

 

私は無我夢中で走った。

彼の背中に追い付くように

 

彼...キリトは昔は臆病で優しくて、

脆く儚そうで...

 

だから、あんな発言はキリトの本心ではないことは

直ぐに分かった。

だけど、直ぐには動けなかった

追い掛けられなかった。

 

何故なら、キリトの眼には苦しみと強い覚悟の光が

浮かんでいたからだ。

 

多分無意識にも思ってしまったんだろう...

失いたくない、守りたい何て...

 

でも、それはーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「キリト!」

 

ビクリと背中が強張るのがわかる。

それでも止まらない

 

「話を聞いて!キリト!」

 

キリトは怯えている様に小さく震えている。

 

「何で...何で逃げるの!」

 

「...止めてくれ...頼むよ...」

 

声は弱々しく震えて懇願している

漸く振り向くが表情が見えない。

 

「醜いだろ...カッコ悪いだろ?

 早く見放せよ...今までのやつらみたいにさ」

 

胸が苦しい、見ていられないくらい怖がっている

消えそうになっている。

無意識の内に首を横に振る。

 

「もう...うんざりだ...偽善には...」

 

「違うよ...偽善なんかじゃない

 キリトを思うこの気持ちは偽物じゃない本物だよ」

 

「そんな言葉...どうやって信じればい良いんだ!」

 

確かに言葉だけだったら幾らでも言える。

でもこの思いを伝えるには方法がない。

 

...いや、一つだけ有る

想いを伝える方法が

 

大きく深呼吸をして一歩ずつ近づく。

 

キリトは固く眼を閉じてうつ向いてしまっている

寧ろ好都合だ、少し恥ずかしいから。

 

背後に回り、後ろから目隠しし、

キリトの華奢な体を胸に抱き寄せる。

 

「アリス...何して...」

 

逃げようとするキリトを腕に力を一層込めて

抱き寄せる。

 

そっと、耳に囁く

 

「もう逃げないでキリトは私が護るから

 これだけは信じて...私はキリトが大好きだから」

 

顔が熱くなるのを感じながら、

後ろを振り向かせる。

 

キリトの顔には一筋の涙の跡がある

 

「何...で...」

 

つま先立ちになり、幾分か高いところにある

キリトの唇を自分ので塞ぐ。

 

離れようとするが、より強く抱き締める

 

 

 

永遠とも言える長く感じた数秒間

そっと唇を離して微笑む。

 

キス特有の息苦しさ

もどかしさ

 

それを感じ少し火照っている体を冷ます。

 

「これで信じてくれた?」

 

唇に指を当てて惚けているキリトに問い掛ける

返事はない。

 

「フフフ、足りないのならもう一度やるけど?」

 

我に帰り慌てるキリトに

 

「信じてくれた?」

 

ともう一度問い掛ける。

頬が桜色に染まっており可愛らしい。

 

小さく頷く。

 

「じゃあ行こうか

 この城は、まだまだ始まったばかりだから」

 

てを繋いで二人は階段を登り始めた

 

アリス side out




疲れた~
今回も字数が多くなってしまった...

まぁこれからも月一で頑張ります!
よろしくね!

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