漆黒の剣風と金色のせせらぎ   作:クリュネル

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前回の投稿から、
ぐんぐんとUAやお気に入り登録者が増えてなんと...

UA9400突破&お気に入り登録者100人達成いたしました!!!

その中で、推薦をしてもらえたり、
面白い等嬉しい感想が届いたり等、
読んでくれた皆さん本当にありがとうございました!
これからもよろしくお願いしますね!

さて、今回は第一層攻略を書いていきます。
これからのキリトとアリスの運命はどうなっていくのか?
お楽しみください!
それでは本編どうぞ~


孤独の剣士

アリス side

 

 

このデスゲームが始まり三週間が経過し、

それでも現実世界に戻る兆しすら見れない。

それどころかまだ、誰も第一層をクリアすることが出来ていない。

 

私はデスゲーム開始直後に、

私達から離れ行方を眩ましたキリト/和人を

追いかけ、始まりの街を出て捜索を続けているが

一向に手懸かりすら見つからない。

 

何故、私達の前から姿を消し逃げているのか

何故、事故のことを、私達のことを覚えていないのか

 

聞きたいことは山ほどあるし話したいこともまた然り。

一刻も早くまた和人に会いたい、笑い合いたい、

諦めていたその願いも、もう一度叶うかもしれない。

でも叶わないかもしれない。

 

以前の様な関係には二度と戻れないかもしれない

信じたくないが恐らく、

 

事故の時に記憶を全て失ったのだろう...

過ごした時間も感じた気持ちも全て。

 

 

確認していないが態度からそう推測できた。

それを悟って、理解してしまった。

 

私は走った。理解しても、

分かっていたとしてももう一度だけ、

触れて、感じて、言葉を交わしたい。

それだけは、どうしても諦めることができなかった。

 

一緒に過ごしたことを過去の過ぎ去っただけの事

と言う色褪せた記憶にしたくない。

 

せめて死ぬのなら、もう一度だけ会って伝言を伝え

言葉を交わしてからがいい。

 

それだけを心の支えに進んで来た。

 

少しずつ自分を強化し、情報を集めて

願いを叶えるために、寝る間も惜しんで進み続けた。

 

 

そして、今ーーー

強化の為にもう一週間程この洞窟に籠っている。

 

「ハアァァァ!」 ザンーーー

 

何匹目か分からないがソロでずっとここを拠点にし、

レベル8モンスター[コボルト・ルートネイター]

を倒し続けている。

 

「イヤァァァ!」 ザンーーー

 

最後の一匹を倒し、ちょうどレベルが9に上がった。

それを他人事の様に見ていると、目が霞んで

体から力が抜けて意識が途切れた。

 

 

 

 

 

 

「ーーー、ーーーイーーオイ」

 

何か声が聞こえる。

 

「ーオイ!大丈夫カ?しっかりしロ!」

 

私は...大丈夫だけど何でそんなに慌てているんだろう?

後、不思議だな...安心する。

 

私はそこまで考えて自分の今の状況を理解した。

漸く覚醒しきり、体を起こす

 

回りを見渡すとそこは何時もの洞窟の安全地帯だった。

 

「オイ、アンタ、大丈夫カ?」

 

声のした方を向くとそこには頬に髭のようなペイントが施され、

マントを羽織った人が顔を覗き込んでいた。

 

思わずビクリとして身構えてしまった。

 

でも、武装らしい武装はあまりないため

襲いに来たわけではないのだろう。

 

「そう怯えなくても良いゾ、何もしないかラ」

 

話し方に少し特徴が有って不思議な人だ...

 

そんな場違いなことを考えつつ、

 

「あの...すいません。

 どなたですか?」

 

「ン、あア...ゴメンゴメン、

 俺っちハ、アルゴ、情報屋をやってるヨ」

 

「私は、アリスです。ところで

 情報屋...確か、情報で商売をしている

 プレイヤーの名称だったはず...」

 

アルゴは満足そうな顔をして頷く。

でもそんな人が何でこんな、攻略済みのダンジョンに

来たのだろう...

 

「あの...何でアルゴさんはここに?」

 

「...別ニ...気紛れだヨ、唯のネ」

 

「...え...っと、嘘ですよね?」

 

少し迷いがあったように見えた。

その証拠に少し言葉に詰まっていた。

 

「あ~ア、もウ...鋭すぎるだロ」

 

アルゴは溜め息を吐き、

こちらに向き直すと、

 

「確かニ、嘘だヨ

 ここには依頼で来タ。

 まぁ、これ以上はお金が必要だけド...今回は特別ニ

 教えてやるヨ」

 

「そうなんですか...」

 

「....敬語禁止ダ」

 

「...は、はい」

 

何やら不機嫌そうだが教えてくれるのだから、

それくらいは聞こうと思う。

 

「まぁ、依頼者から名前は出すナって釘刺されてるからナ...

 その依頼って言うのハ、アンタを助けロって言う依頼ダ」

 

「私を?」

 

「そうダ。ソイツもさっきまでここニ居たんだケド

 ハイドして逃げたナ」

 

「その人って...まさか!」

 

「うン?心当たり有るのカ?」

 

その要望と行動から誰か分かった。

当てはまるのはこの世界の知り合いで、タだ一人しかいない。

 

十中八九キリトだ。

 

「ええ、知り合いです。大切な...」

 

「そっカ、ああ後一つ、

 ボス攻略会議、今週中にトールバーナであるゾ」

 

「フロアボスですね...

 あの!そこに依頼人は来ますか?」

 

無言の首肯、最後にニっと笑って去っていった。

 

アルゴが去って私だけになった。

 

SAOの表情の表現は少しオーバーで

恐らく、今私は...

 

 

 

顔が真っ赤だろう。

 

 

 

アリス side out

 

 

キリト side

 

 

アルゴがダンジョンからでて来て偉くニヤニヤしている。

どうせアリスを弄って何か情報を掴んだのだろう

 

「...アルゴ、変なこと吹き込んでないよな?」

 

「バッチリダ!キー坊」

 

「どうだかな...ボス戦、アリス来んだろ?」

 

嫌味なほど良い笑顔なそれを横目に、

思い出す、デスゲームがゲームだった時間を

 

安らぎだった時間を。

 

 

キリト side out

 

 

アリス side

 

 

アルゴとの出会いから2日が経ち、

レベルも二つ上がり11となった。

 

今日はトールバーナで攻略会議が行われる。

早めに到着し、広場の物陰に隠れ

最近上げている隠蔽スキルを使い気配も消している。

 

会議まで後数分になって、人が集まり始める。

その中にはキリトらしき人は見当たらない。

 

もうすぐ、会議が始まりそうなので

仕方無しに隠蔽スキルを解除する。

 

残念に思いながらも、この会議は

キリトは参加しなくてよかったと思う。

 

βテスターを一方的に批難し、

貶しているだけだった。

 

反論した人もいたが、批難してる人に

押し負けて黙ってしまった。

 

結局ボス戦の対策は欠陥だらけのものになってしまった。

 

会議が終わり、ふと空を見上げると

一陣の風が吹く。

何かが翻るのが見えた。

 

それが落ち着き、風も止んだ。

それは、フワリと舞い降り歩き出す。

 

「...さて、行くか...」

 

その声はかつて、幾度も聞きいとおしいとさえ思えた、

ずっと追い求めて来た彼の存在の証明。

 

「...あ...うぁ...うあぁぁぁ」

 

「はぁ...アリス、こんなところまで来るなんて...

 来るなって言ったのに...」

 

その青年、キリトはゆっくりこちらに向き直る。

 

「キ...リト...だって、ずっと...」

 

「...あの時は強く言い過ぎた...悪かったな...

 でも、俺は君が探しているはずの奴とは、

 やっぱり違うと思う」

 

急いで首を振る

そしてホンノリ笑いながら続ける。

 

「あなたがどんなに変わっても、

 貴方であることに...違いはないよ

 だから、私はいつまでも待ってるここで、

 一緒に進みたいから...」

 

「...自分でも俺を理解できていない。

 だから、答えが出たら...

 

 

 君に一番に教えてあげるよ、アリス」

 

無言で頷き、ノールックでハイタッチをする。

 

「「明日は勝とう!」」

 

 

 

 

 

 

 

決戦の日の夜が明ける。

 

 

朝靄が薄く掛かり清々しい朝だ

何時もは寝付きが悪く寝不足なことが多かったが

昨晩は珍しくストンと眠りに落ちることができた。

 

これもキリトに再開できたからなのだろうか

もしくは単なる偶然なのか、

 

それは答えを出すまでもないと思う。

 

それから数分で準備を済ませ髪を結い、

街の北ゲートに到着した。

 

その集合場所にはすでに幾人か集まって、

装備の確認等をしていた。

 

暫くすると、後ろから

 

「アイテムとか、防具とか、大丈夫か?」

 

「ええ、大丈夫。

 後、私達は取り巻きのモンスターの担当だって」

 

「あぁ、ルイン·コボルトセンチネルの事か、

 手順は分かるな?」

 

小さく頷き、短く言葉を交わし後は、

お互いに目線で意図を伝える。

もう、会話は必要ないだろう

戦闘への意思表示を最後に、気を張り詰める。

 

そうして迷宮区タワー最上階を目指し歩き始めた。

 

移動中の戦闘はほぼなくて楽だった。

その間情報を交換し合い、弱点の確認をして進む。

 

そしてキリトはどうやら、無茶なレベリングをしていたらしく、

レベルは他の人より差が歴然としていて、

もうレベルは17にまで及んでいた。

 

そうしているうちにボス部屋の前に到着し、

リーダー格のプレイヤーが劇を飛ばす。

 

「勝つぞ!」

「「オオッ!」」

 

皆、大丈夫だ。とか、勝てるぞ!だとか

意気揚々とボス部屋に踏み入れていく。

 

それを見てキリトの眼に、怒りの炎が灯る。

 

「...死人が出るぞ」

 

「キリト...?」

 

呟きは皆には聞こえず、ざわめきに掻き消される。

でも、私には届く。

 

まるで、キリトの意志が形となって

私に繋いでいるような...

 

そんな思考を最後に動き出す。

最後に私達二人が部屋に入ると

燈籠に日が点り始め、

先が見渡せるようになる。

 

その部屋の奥には玉座に座った、

巨体のコボルトが姿を表す。

 

斧とバックラーを持ち、

悠然と立ち上がり...

 

猛然と襲いかかる。

 

それと同時に取り巻きも出現する。

レイドのリーダーが声をあげる。

 

「戦闘開始ぃ!」

 

今、戦闘の幕が上がった。

 

 

アリス side out

 

キリト side

 

 

戦闘が始まって、数分が経ち

各々の担当を各個撃破していく。

 

俺達もボスの取り巻きを相手取り、

余裕を残して戦っている。

 

周りを確認しつつ、完璧に

コボルトの攻撃を<スラント>でパリィする。

 

「それにしても、何か釈然としないな...」

 

「どうしたの?」

 

コボルトに止めを刺して、

隣に並びつつアリスが聞いてくる。

 

「手応えがない、無さすぎる...

 嫌な予感するな...」

 

斬っても避けられているような、

そんな変な感じがする。

 

それが遂に形になる。

 

HPバーが四本有った内、三本減らした時だった。

突然、斧とバックラーを捨て、

 

腰の鞘から得物を抜く。

 

でもそれは、情報と、

そして...俺の記憶と

 

違っていた。

 

知っていたのは、タルワールだったはずで、

あんな野太刀では無かったのだ。

 

どよめきの声が上がる。

 

「何なんだよ!情報と違うじゃねえか!」

「不味いんじゃないか?」

 

等と不安の声が大きくなる、

それにつれ、手元が狂い始め、

攻撃を受け損なう者が増えて行く。

 

それでも、パートナーのアリスは臆することなく

剣を振るう。

 

今はもう、まともに戦えているのは俺達位だろう。

 

「うわぁぁぁ!助けてくれ!」

 

ボスに対峙していた内の一人が声をあげる。

でも答える声は無い。

 

その近くでオブジェクト破砕音が聞こえる。

確認すると、リーダー格のプレイヤーの反応が消えていた。

遂に部隊は崩壊する。

 

逃げ惑う者、硬直する者、錯乱する者

命を散らしていく者。

 

 

 

 

そんな惨状が許せなかった。

 

 

キリト side out

 

アリス side

 

部隊は僅か数分で崩壊した。

最早、まともに戦える者は自分たちだけ

他はもう戦意を失い立ってすらいなくて

絶望が表情に浮かんでいた。

 

でも私だって怖い。

それでも、

 

それでもキリトは、

屈せず悠然と敵へ立ち向かい、

光を放っていた。

 

不意にキリトが振り返り、

 

「行くぞ...アリス」

 

剣を構え直し、ボスに突っ込んでいく。

呆気にとられるが持ち直し、追随する。

 

キリトはソードスキル<ソニックリープ>

をボスに向けて放つ。

 

若草色のライトエフェクトを纏い、

軌跡を残しながら霞む程のスピードで突進する。

 

野太刀を掻い潜り上段切りを浴びせる。

 

ボスの体力が僅かに減り

ボスが雄叫びを上げ野太刀を振り回す。

 

それが、ソードスキルのライトエフェクト

を纏い、暴れ回る。

 

すかさずそこにキリトがパリィをして

ボスを弾く。

 

「スイッチ!!」

 

キリトが叫ぶ。

 

「やあぁぁぁぁ!」

 

視界の隅に戦闘に介入しようとしているのか、

両手斧を構え走り出す巨漢のプレイヤーが見えた。

それを横目に、

私も叫び修得している中で最も

強い剣技、

 

片手直剣二連撃技<アーリースフィア>

 

を繰り出す。

一度剣を腰に下げる鞘に仕舞い、

一瞬の溜めで抜き放つ。

 

深緑のライトエフェクトの軌跡を描き

左下から切り上げ手首を返しながら、

右下からもコンマ三秒遅れて切り上げる。

 

ボスが十字に切られ仰け反る。

すると、

 

「お前らだけに任せておく訳には行かねぇ!」

 

と先程の男が斧を振り上げる。

ニヤリとキリトが笑い、

 

「上出来...

 これで終わりだ受け取れ!

 

 

 消えろ!」

 

キリトが空中で剣を大上段に構え、

藍色の光を宿らせ、落下の勢いも乗せ、

渾身の一撃を、

頭から叩き込んだ。

 

そのまま真下に切り下ろし、地面を揺るがすほどの

衝撃を起こして爆風が押し寄せてきた。

 

目を開けると、

ボスが光の結晶となって砕け散る。

 

キリトは剣を振り払い鞘に収める。

 

その瞬間、

歓声が沸き上がる。

 

それと同時に部屋に入ってきて、

喜びあっている。

 

私も左腰の鞘に剣を落とし込む。

 

「キリト、討伐おめでとう!」

 

「ああ、ありがとう。

 アリスもいい活躍だった」

 

笑顔で労い合う。

其所に、

 

「なぁ、お二人さん...

 その...悪かった、逃げちまって

 思わずビビって必死だったんだ」

 

戦闘に介入してきた斧使いが

頭を掻きながら、謝りに来た。

 

「嫌、良いよ。

 怖いのは同じだ、分からなくはないよ

 それにお前は出てきたじゃないか

 あれは助かった。

 無かったら、俺だって危なかった」

 

「いやいや、謙遜するな。

 今回の勝利はお前の物だ

 そうだ!俺はエギル、よろしくな」

 

エギルは手を差し出した。

 

「ん、ああ、俺はキリトだ。よろしく」

 

その手を握り返し微笑む。

 

「そちらのお嬢さんもすまなかった」

 

「いいえ、大丈夫です

 私はアリスで良いですよ、

 よろしくお願いします、エギルさん」

 

そう返したとき、部屋に大声が響いた

 

「何故お前らだけ、ボスが使う技を知ってたんだ!」

 

一人のプレイヤーがいきなり喚き散らし、

怒りを露にして居る。

 

「そうだ!お前らβテスターなんだろ!」

「本当は知ってて情報屋も嘘教えたんだろ!」

「だからこんなに死んだやつが多いんだ!

 お前らのせいだ!」

 

皆、それに乗って、不満をぶつけてくる。

私は最初に言い出したやつに詰め寄る。

 

エギルも同じように黙らせる。

 

「逃げておいてよく言えるなお前ら!

 二人は助けてくれたんだぞ!」

 

「βテスターだからって何?

 彼は勇気が有って立ち向かっていったのよ!」

 

しかし、先程よりも多く非難の声が上がる。

思わず耳を塞いで、叫ぶ。

 

「あなた達は何をしたの?

 私達が戦っているときに」

 

それでも止まない。

固く目を閉じ蹲る。

 

すると、気配を感じてふと顔を上げる。

そこにはキリトが立っており、

微かに見える横顔には、

嘲笑の表情が浮かんでいた。

 

おもむろに口を開くと、

 

「ハッハハハハ!

 俺を彼奴等みたいな雑魚と一緒にするなよ

 まともな奴なんて両手で足りる位しか居なかったよ

 俺はβで誰よりも高い層へ登り、

 沢山のモンスターと戦ったから技ぐらい分かんだよ

 コイツらも少し反応いいだけの雑魚だ

 分かったか?臆病共」

 

全員が黙り唖然としている。

そして、メニューを操作し漆黒のコートを

顕現させた。

 

今度は誰が喋ったか、

 

「そんなのチートだチーターだ...」

 

「βのチーターでビーターだ!」

 

何て声がする。

すかさず、キリトはただ、眈々と

 

「ビーター、か...いい名前だな

 そうだ、俺はビーターだ!

 これからは俺のことをそう呼べ

 一緒にしないようにな、雑魚共と」

 

コートの裾を翻し、部屋の奥に進んでいく。

奥の大扉を開け登っていく。

 

私を含めて、その場にいた全員が動けず、

見てることしかできなかった。

 

背中から、威圧感が放たれており

有無を言わせず居なくなった。

 

そして、視界には

 

<kiritoがフレンドから抜けました。>

 

と言うシステムメッセージが映っていた。

 

 

アリス side out




今回も長くなってしまった...
どうにかしてもう少し縮めたいなぁ...

とにかくこれからも、
この作品をよろしくお願いします!

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