漆黒の剣風と金色のせせらぎ   作:クリュネル

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今回からはSAO編に入ります!

前回の最後で驚いた方も少なくないんじゃないでしょうか
行方不明の和人、

今回からどうなるのか原作とは一味違った
ソードアートオンラインをお楽しみください!

それでは新章開始です!


記憶の断片
微かな光と悪夢の始まり


アリス side

 

 

 2022年、和人が行方不明になってから

早くも三年が経ち、私は少しずつ元気を取り戻してきた。

 

 和人が行方不明という事を聞いた時はかなり荒れて、

食事も出来なくなり、倒れたりして周りに

迷惑をかけた。

 

 それでも友達が辛抱強く支えてくれたお陰で、

いつもの生活ができるようにはなった。

それでも心の傷は癒えず笑うことが出来なくなっていた。

 

 それを癒そうと色んな事をさせてくれた

でもどれもダメで私は壊れたままだった。

 

 その一環で今回は新しく開発されたという

ナーヴギアで仮想世界でゲームをすることにした。

 

「アリス早く!」

 

「...あ、うん今やるから」

 

「一時からだよ後五分しかないんだから」

 

「判ってるよ柚木。

 そう言えば夏希もだったよね行くの」

 

「ああ、うん広場で会うってことになってる。

 アリスも広場でね!」

 

「判ったじゃあね」

 

 そう言って電話を切るとヘルメットのような機械、

ナーヴギアを被る。

 

一時まで後三分、

 

(...そう言えば、和人はゲーム好きだったな

 生きてたらやってただろうな一緒に)

 

(このソードアートオンラインを)

 

(もう一度だけで良いから会いたいな...)

 

(叶わない願いなのは分かってはいるんだけど...)

 

(もう一時か...)

 

私は小さく息を吸い込んで、囁く

 

「リンクスタート」

 

五感が無くなり意識は仮想世界へ移動する。

 

 

 

 

目を開けるとそこには異国の風景が広がっていた

 

「ここが仮想世界...」

 

周りには美男美女が沢山居た

 

「えっと...柚木達は何処だろう...」

 

「おーいアリス~こっちだよ!」

 

 自分を呼ぶ声が聞こえたからそっちの方を向く

そこには、現実とほぼ同じの容姿の

柚木と夏希が居た

 

「確か...こっちではユキとナツだったよね?」

 

「そうそう合ってるよ」

 

「取り敢えず、武器屋行って武器買おうぜ」

 

「ハイハイ、ナツ少し待ってて」

 

「ユキ向かいながら話そうよ、ナツだってウズウズしてるし」

 

 そんな他愛もない話をしながら

武器屋に向かう。

 

 武器屋では、私は片手直剣、ユキは細剣、ナツは両手剣

を選び、町の外に行こうとしたとき、

路地から、

 

「兄ちゃんβテスターだろ?

 俺にちょいとレクチャーしてくれねーか」

 

と聞こえてきた。

 

三人で顔を見合せ

 

「俺らも教えてもらおうぜ」

 

「私もそれに賛成、アリスは?」

 

「私もそれが良いと思う」

 

「じゃあ行くか、

 すいませーん俺らにもレクチャーしてください」

 

 と、ナツが走って行った

少し遅れて慌ててユキも走り出す

それに続いて私も走り出し付いていった。

 

 そこに行くと如何にもRPGゲームに出てきそうな

感じの青年二人が居た。

 

 片方は侍のような風貌のアバターで

もう片方は私と同年代位の男子で少し小柄で

私と同じ位の身長のアバターだった。

侍のような方はクライン、小柄な方はキリトといった

 

すると、キリトが

 

「...君らも?

 ...まぁ良いよ付いてきて」

 

と言うと

 

「「おうよ!」」

 

と、男二人が威勢良く返事をしていた。

 

「騒がしくてごめんね、キリト君」

 

「...ユキだっけ?良いよ別に気にしないから

 後、皆それぞれ呼び捨てにしたら良いんじゃないか?

 ゲームなんだし...」

 

 キリトはクールなのかポーカーフェイスなのか、

随分素っ気ない感じだ。

 

でも何故か私は何処か懐かしいような気がした

 

 

 

 街から離れた場所で五人でバトルの

確認をしていた。

 

「うおりゃぁぁ!うひぇぇ!」

 

「...クライン、大事なのはモーションだ、

 所定の位置に剣をやれば出せる」

 

「そんなこと言ってもよぉ、あのイノシシ動き回るしよぉ...」

 

「クライン、キリトの言う通りやればいい

 そしたら一気にズバーンって」

 

「アバウト過ぎでしょナツ...

 もっと分かりやすいように言いなよ」

 

「まぁまぁ、ナツはもう出来てるからクラインを見てやってくれ、

 ...あぁユキも一緒にさ」

 

「へーい」

 

「良いわ、じゃあクラインさんもう一回やってみて?」

 

「...アリスはどうだ?出来てるか?」

 

「少し難しくてまだ...

 このバーチカルのモーションが分からなくて」

 

「あぁ、それは...剣を肩に担ぐようにして、

 後はそうすればシステムが動かしてくれる」

 

「あっ、出来た」

 

「...おぉ、凄いな俺、βテストの時一日かけて漸く出来るようになったからな...

 アリスは筋が良いよ」

 

 と言いつつ、キリトが近付いてきて

頭をポンポンと撫でる

 

「キリト!?」

 

「...え?あ、つい癖で、悪い」

 

「良いの別に、ありがとう!教えてくれて」

 

(びっくりした...でも何でかな

 キリトが和人に重なる...全然違う人なのに...)

 

「アリス?」

 

「っ!あぁ、何だユキか...」

 

「どうしたの?アリス

 何か変だよ?」

 

「...何でもないよ大丈夫。」

 

「なら良いけど...」

 

 そこにナツが来て一旦ログアウトするから着いてきてくれ

と言いに来た。

 

 皆のところに戻り安全地帯に入って行き、

クラインがログアウトしようとメニューを開き

操作をする。

 

「そうだ、またどっかで一緒にやろうぜ、

 だからフレンド登録皆でしとくか」

 

皆でフレンド登録をしてクラインが

 

「ほんじゃまたな」

 

 そう言ってメニューを操作している

すると、

 

「おい、キリト、ログアウトボタンがねぇぞ?」

 

「そんな訳無いだろう皆確認してみてくれ」

 

「無い!」「こっちも」「私も...」

 

 

「このままじゃログアウト出来ねえだろキリト、

 クライン、強制解除を待つしか...」

 

「クライン、GMコール出来るか?」

 

「もうやった...」

 

「どうなってるんだ...こんなの今後のゲーム運営に大きく関わるのに、

 アナウンスの一つもない」

 

 キリトは皆に「自分から離れるな」と言うと、

クラインはどうしてもログアウトしたいのか、

跳び跳ね始めたりしている、

 

「クライン、無駄だ脳の信号は体には届かない」

 

「でもよぉ、自分の意思でログアウトもできないなんて

 有り得ねぇだろ...」

 

 クラインがそう呟いたとき、

鐘がなり始める。

 

すると視界が青い光に包まれていく、

 

「何だこれ!?」

 

「ナツ、ユキ、アリス、クラインこれは転移の光だ

 強制転移するはずだ、どこに行くかは知らないが...

 だから落ち着け」

 

 そう言い終わると同時に光が強さを増して、

視界が真っ白に染まる

思わず目を閉じる、

 

 暫くすると、耳に喧騒が届いてくるようになった、

恐る恐る目を開けると、

そこはダイブした際に居た広場だった。

 

「皆いるか?」

 

キリトの声が横から聞こえてきてそちらを向く、

 

「...クラインさんもユキもナツも皆いるよ」

 

「しかし一体何なんだ?ユキ判るか?」

 

「皆それを理解してないわ...ナツ、

 私だってそうよ。」

 

 周囲からは「これで外に出られんのか?」

「どうなってるの?」

と、困惑した声が聞こえてくる

 

 不意に空を見上げると、

真紅の市松模様のような物が空を埋め尽くしていた。

そこには[Warning][System Announcement]

という単語が周期的に切り替わっていた、

 

「...ねぇ、キリト上に文字が」

 

「...ん、何アリス、上?あぁ運営からアナウンスがあるのか」

 

 すると、市松模様の隙間から

粘液質の物が漏れだし空中に留まった。

それは徐々に形を変え、大きなローブだけが出現した

 

「あれはGMか...何でアバターが無いんだ?」

 

 キリトが状況を理解しようとしているが

理解が追い付いていないようだ。

 

ユキが近くに来て

 

「嫌な予感がする、ログアウトの件といい

 何かヤバい気がする」

 

私も同じ事を感じている。

 

するとローブのアバターから、

 

「ようこそ、私の世界へ」

 

と声がかけられる、

 

キリトが

 

「私の世界だと?...まさか!」

 

「私は茅場晶彦、この世界をコントロール出来るただ一人の人間だ」

 

 茅場晶彦、その名はこのゲームをするに当たって少し聞いたことのある

名だった。

このゲームのそしてナーヴギアの設計者にして若きプログラマーだ。

 

「なっ...茅場だと?」

 

「君達、プレイヤー諸君はログアウトボタンが消滅していることに

 気が付いているだろう、

 しかしこれは不具合ではない

 ‹ソードアートオンライン›の本来の仕様である。」

 

「本来のってどういう意味なの?キリト...」

 

「...判らないでも、この状況はアイツが望んで作ったと言う事だけは判る」

 

 キリトは動揺しているようだがある程度落ち着いている、

今はこの冷静さが有り難い

私は無意識の内に、キリトに体を寄せていた。

 

「君らプレイヤー諸君は自発的にログアウトすることが出来ない

 また、外部からの解除も認められない。

 それが行われた場合、ナーヴギアが君達の脳を破壊する。

 またこの世界で死んだ者も同様だ

 脱出するためには、この城の第100層にたどり着き

 最終ボスを倒しゲームをクリアするそれだけだ」

 

 100層何て無理に決まっている

キリトはβテストでは、約二ヶ月で第6層までしか

行かなかったと聞いた、

 

すると、後ろでクラインが

 

「現実に自分で戻れない何て...

 しかも死んだら本当に死んじまうなんて...」

 

 ユキやナツも相当ショックを受けたようで、

脚が震えている。

私も怖くて、隣に立つキリトにすがり付く

 

 キリトだけは、茅場を凝視したまま動かない

すると、キリトが

 

「ふざけるな...こんなのもう、ゲームでもなんでも無いじゃないか...」

 

「最後に私からプレゼントだアイテムストレージに入っている

 確認してくれたまえ

 それでは諸君思う存分ゲームに励んでくれたまえ」

 

「...プレゼントだと?」

 

 皆一斉に右手の指二本を揃え真下に振る、

すると、鈴のようなサウンドが響きメニューが開く、

アイテムストレージのページを開き

追加されたアイテムをオブジェクト化させる。

 

「手鏡?何のために...」

 

 皆も取り出して鏡を覗く

私も覗くとそこには、現実と同じように設定した容姿の自分が映っている。

 

 すると、クラインが光に包まれていく

それに続くように、ユキ、ナツ、私、キリトも

光に包まれる。

 

 目を開けると、何も変わっていない

いや、周りが変わっている。

 

 クラインが居た場所に無精髭を生やした、

男が立っている。

 

ユキとナツは見慣れた現実の姿になっている。

 

「うぉっ!?これ俺じゃん!現実の」

 

「俺もだ!ってユキも」

 

「ってことは...クラインさんなの?」

 

「アリスちゃんはは変わってないな、何でだ?」

 

「現実と同じに設定してたから...」

 

「あれ、キリトが居ねぇ...」

 

「俺だ...現実の...何で?」

 

 キリトが立っていた場所には、

艶やかな黒髪が肩甲骨の辺りまで伸び、

キリトと同じような小柄な体の

少女がいた。

 

「女の子?キリトは?」

 

「...俺だ、キリトは、それと女じゃない...」

 

クラインが恐る恐る聞く

 

「キリトってネカマか?」

 

「正真正銘の男だ...クライン」

 

 そんな会話を二人がしているがユキ、ナツ、私の三人は、

何も喋らない、

いや、喋れなかった。

 

「ん?アリスちゃん達どうした?」

 

「ユキもナツもどうした?」

 

 クラインとキリトと名乗る二人が心配して

声をかけてくる。

 

 しかし喋れない、

喉から声が出ず息だけが漏れる。

 

漸く声を絞りだし、

 

「なん...で?」

 

「ん...何?」

 

「何で...何でここに?」

 

「何でって言われても...」

 

「おいおい、アリスちゃんもユキちゃんもナツもどうしたんだよ?」

 

 クラインとキリトは話が理解できていない。

すると、ナツが

 

「クラインもキリトも三年前の事件覚えてるか?」

 

「事件何てあったか?」

 

「........」

 

「大規模な飛行機の墜落事故...」

 

そこにユキが補足する。

 

「あぁ、あったな...」

 

「いや、知らない...」

 

「キリト!?何で?お前が知らないわけないだろう!」

 

「知らないよ...」

 

「落ち着いてナツ

 ねぇキリト本当に覚えてないの?」

 

「あぁ」

 

「お前は当事者だぞ?」

 

「おい、ナツ当事者って...俺にも判るように説明してくれよ!」

 

クラインがナツの肩を揺する。

 

「アリスちゃんも一体...」

 

 クラインが声を掛けてくるも返事が出来ない、

視界が滲んでいる。

 

それすらも意識していない。

 

「あぁ、クライン、良いぜキリトも知らないふりしても無駄だ」

 

「別に知らないふりなんかしていない。」

 

「頼む」

 

「あの事故で行方不明の奴は死体か大ケガを負って見つかったか

 して、ほぼ全員見つかっただろ」

 

「あぁそうだったな、でも全員って違うだろ

 確か一人だけ子供が見つかっていなくて、

 今はもう、死んだって判断されて...」

 

「そうだ。で、その飛行機には九州に行くために俺らの元クラスメイト

 が乗って居た。

 そして、行方不明で見つかってないのがそいつだ」

 

「元クラスメイト?ってまさか!」

 

「俺らが驚いた理由それは、

 そいつがこいつだからだそうだろ?

 キリト」

 

「...なんだよ、それ。

 俺はそんな事件知らないお前らのことも知らない

 悪い多分人違いだそれ、」

 

 キリトの声は冷たく抑揚がない

まるで機械が話しているような...

 

「何で...和人...」

 

 呟きが聴こえたのかピクリと反応する。

それをユキが見逃さなかった。

 

「やっぱり何か隠してるでしょ?」

 

「...そんなわけないだろ

 万が一隠していたとしても、他人のお前らには話さない」

 

「ふぅ、良いわもう」

 

「じゃあな俺はもう次の町に進む

 お前らにはもう会わないだろうけどな」

 

「キリト、私...着いていく」

 

「やめろ、俺はソロでやっていく」

 

「でも...死んじゃう可能性が」

 

「...煩い」

 

そう言って走り去るするとクラインが、

 

「よくわかんねぇが、行きたいんなら行きな、

 後悔したくないだろ?」

 

「ありがとうございますクラインさん」

 

「俺らはまだ行かないだから、伝言頼む」

 

「私からもお願い」

 

「「幸せか?って」」

 

「判った」

 

クラインは、

 

「じゃあ俺からも、

 サンキューな教えてくれて色々って」

 

頷き、キリトが走っていった方向に向かう。

 

 

 

アリス side out

 

 

キリト side

 

 

 町を出て北西の村に向かって草原を走る。

 

 あいつらには少しきつい言い方をしてしまった、

でも、これしかなかった。

 

 どうやら昔の俺を知っているようで、

必死に語りかけてきた

中でも特にアリスは必死で

俺が突き放すと最後に名前を呟いていた。

 

「和人」

 

 と、俺の本名を言われ少しだけ反応してしまった。

そこを見られたか、ユキには見透かされているようだった。

 

 あいつらといい友達になれていたかもしれないのに、

そのきっかけを壊した。

 

 いや、友達だったのかもしれない

しかし、判らない

 

何故なら俺は

 

二年半以前の記憶が一切ないのだから




今回は異様に長くなってしまった...

詰め込みすぎたかな~
分けてもよかったんだけど、
夢中で書いてたらこんなになってしまいました!
自身初の五千文字達成ですよ...

書くのに五時間ぐらいかかってしまった、
休みでよかった~

今回からSAO編に入り、
アニメの第1話の内容と大体同じくらいの
容量かなぁ...

勿論オリジナルの場面が大半です。
色々ぶっ飛んでいる作品だとは思いますが
楽しんでもらえると恐縮ですよ!

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