俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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竈の巫女/女神、雇う/創る

 

 エンキドゥは創造の女神アルルの手によって作り出された土人形である。

 ↓

 エンキドゥは創造の女神によって作られた土人形である。

 ↓

 創造の女神は土を捏ねてエンキドゥを作った。

 ↓

 創造の女神は土から命を作れる。

 

 これを式①とする。

 

 

 ヘスティアは竈と火と祭壇と祭と鍛冶と薬剤と錬金術と魔術と言霊と文字と創造とetc.etc……の神である。

 ↓

 ヘスティアは創造の女神である。

 

 ここに①を代入すると

 

 ヘスティア=創造の女神は土から命を作れる。

 ↓

 ヘスティアは土から命を作れる。

 ↓

 ヘスティアは土を捏ねてエンキドゥを作れる。

 

 となる。

 

 つまり、ベルとして動いている俺にヘスティアが本格的に降臨して土を捏ねればエンキドゥを作ることくらい訳は無いと言う事だ。

 そう言う事で、俺は本格的にヘスティアとしての俺を降ろして土を捏ね、人型を作る。このまま命を与えてやれば……ほら、できた。名無しの土人形、所謂ゴーレムの試作品ってところかね。真理とか書かれてないけども。

 で、作った後は基本的に俺に従うように教え込んで、カレーを始めとした食べ物のことについても教え込む。産まれたばかりだからか吸収力が凄い凄い。これならあっという間に戦力になるだろうな。

 

 ……ああ、そう言えば名前を決めていなかったか。じゃあ、元ネタそのままエンキドゥで良いだろう。まだエンキドゥは作られてないはずだしな。確か本来エンキドゥが作られるのは、ギルガメッシュが圧政を行い続ける暴君であったから。それを諫めるため、あるいは殺すために神がエンキドゥを作ると言う事だったはず。そして今のギルガメッシュは暴君ではない。だったら作られるのは未来になるはずだ。

 と言う事で、俺はエンキドゥを作り出してバイト代わりにすることにした。正史……と言うか叙事詩のエンキドゥは作られてから暫く野獣と共に過ごしていたからこそ野性味があったのだろうから、初めからしっかり教育してやれば問題なく人間に馴染むことだろう。

 一番の目的は間違いなくカレー作りの後継者を作ることだが、残念なことに俺のカレー作りは難しいらしいからな。ポセイドンが食いたい時に食えるよう付き人に教えようとしたんだが、配合比率や味付けや合わせる材料にスパイスその物の調理法に加えて水やら産地やらにも拘ってみた結果、なんとびっくり泣きながら逃げ出してしまった。簡単に作る物だったり、自分で適当に食べる分ならともかくとして、他人に食べさせるために美味い料理を作るんだったらこれくらいは最低限必要だと思うんだがな?

 

 さて、叙事詩では獣と化していたエンキドゥは六日ほど愉しんでから人間の事を学んでいったようだが、俺が今回作ったエンキドゥはその六日間で様々な知識を頭に詰め込ませていくとしよう。まずは料理だ。別に何かを食べる必要は無いだろうが、それでも食べることは悪い事ではない。必要以上に食べるのは正直どうかと思うこともあるがな。

 料理と言ってもいきなりカレーを教えたりはしない。まずは簡単な焼くだけの料理。焼くだけと言っても材料を切ったりはするが、そのくらいは当然の事として調理手順から省くとしよう。最悪千切ってもいいし、エンキドゥなら自身の身体の形を変えることもできるはずだから刃にすれば切ることもできるだろう。加減を覚えてもらうためにまずは道具を使わせるがな。

 

 さあ、勉強の時間だ。きっちり戦力になってもらうために、ここでの勉強は欠かせんよ。と言うかギルガメッシュ叙事詩でエンキドゥが神に逆らった理由はそこにあるんじゃないのかと思うぞ俺は。教育ってのは一種の洗脳みたいなもんだ。しかも合法のな。だったら普通に考えて教育しない理由がわからん。違法ではあるが少年兵みたいな存在もあるんだし、どうしてやらんのかね。まったくわからん。

 


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