俺は竈の女神様   作:真暇 日間

87 / 330
竈の巫女、気付く

 

 ベルと名乗る俺の背中には、ヘスティア()の加護としてルーン文字が刻まれている。このルーンは神としての俺の力を人間としての俺の身体で多少なりとも振るえるようにと作り上げたもので、身体能力の向上や能力値を視覚化する効果などがある。いわゆるゲームのステータスのような扱いだ。

 ベル()の背中に入っている物は未だ実験中の物で、まともな人間にこのまま刻んだらどうなるかはわからない。俺は神の作った身体だから平気なのかもしれないし、別にそんなことは無く普通に人間に刻んでも問題ないかもしれない。それはまだわからない。

 

 だが、もしもこれを人間に刻むとしたら、問題になるだろうことがいくつか予想できる。

 一つ目は、こうして加護を刻んだ人間と刻んでいない人間の間にできる圧倒的とも言える差。刻んだ人間の中でも、レベルが上がっていく度にどんどんと差は開く一方。これでは間違いなく差別が起こる。

 二つ目に、加護を刻んだ後の話だ。加護を刻まれた人間に、もう神は用済みだとばかりに行動されては困る。一度刻まれただけで後は勝手に強くなられると、最悪その力で世界がやばい。実際、ベル()の身体に刻まれたステータスは上昇し続け、もう本当に大変なことになっている。元々の身体能力が高かったこともあるが、今では初めの頃のは話にならないほどだ。イシュタルに関節技極めた時に一気にステータスとレベルが上がっていたな。

 

 そう言う訳で、解決策を用意してみた。

 まず、一つ目の方。これはステータスやレベルが上がるのに必要な『経験値』の量を上げればいい。それでも差は間違いなくできるだろうが、同時に努力が報われる微妙なラインだ。差別している暇があるなら鍛えろ。きっとひっくり返せる。

 そして二つ目。ステータスの成長やレベルの上昇を、神の監視下でしか行えないようにすればいい。アークTheラッドのように戦闘中でも行動で経験値が入ってレベルが上がる方式ではなく、経験値を溜めてからその経験値を肉体の方に反映させるかをこっちで決める方式にすれば、少なくとも強くなるためには神から離れることはできなくなる。

 この方法を取れば、まあ少なくとも神が自分を信仰あるいは信奉する眷属に殺されると言うことは無くなるだろう。勿論この方法に問題が無いと言う訳では無いが、それでも今のよりは大分ましになるはずだ。

 

 俺は自分の背中を見ることはできないが、(ヘスティア)(ベル)の背中を見ることはできる。遠見くらいなら、八百万の神の中でも相当弱い部類であったり、あるいは完全な一芸特化型の神でもない限りは出来て当然の技術。勿論竈の女神である(ヘスティア)だってできる。

 そうして見てみたステータスは、結構な物になっていた。

 

 

 

 

 神造人間完成型試作一号機『ベル』

 Lv.32

 力:S980 耐久:F324 器用:SSS3288 敏捷:H138 魔力:SSS3012 幸運:SS 耐異常:SS 疑似神格:B 料理術:SSS

 

《魔法》

【カマドガミ】 ・ヘスティアの意思を受けて行動する。常時発動。

 

《スキル》

竈神の言う通り(ヘスティア・ミィス)】 ・竈神ヘスティアが竈神としてできることに関すること限定で神の権能の一部を使用できる。反転、調整しようとすると反動あり。

 

カレーの神様(カーリー・カリー)】 ・カレー作製技術に大幅な補正がかかる。カレー以外にはかからない。

 

 

 

 

 世界はどうやら俺にとことん美味いカレーを作らせたいらしい。良いだろう、その喧嘩買ってやろう。とことん美味いカレーを作って世界をカレーで埋めてやる。

 ……まあ、それは流石に冗談として、最近どうも身体能力が上がってきてやばいと思ってたらこんなことになっていたらしい。……32、と言えば……確か、俺が店を開いてからここにきてカレーを食べ、常連となった神の合計数が32だった気がするな。なんだ? もしかして神が常連になるとレベルが上がるのか? まさかそんなことは無いと思いたいが、とりあえず今度見てみよう。常連を増やしてその結果レベルが上がったら、もしかするともしかするかもしれない。

 まあ、流石に無いだろうけどな。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。