俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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(母親になるとは言ってない)


竈の女神、母になる

 

 先日拾ったデメテルだが、俺と触れ合っているうちにすくすくと大きくなっていき、今ではもう人間で言う三歳から四歳児くらいの体格になっていた。しかも頭の方もそのくらいまで成長しており、既にガイアからレアーへと続いてきた正当なる大地の女神としての権能を見せ始めていた。

 

「ねえ、お母さん」

「お母さんじゃないよ―お姉さんだよー。で、どうしたね?」

「おなかすいた」

「ここには食料が無いからねぇ……実は俺も産まれてから何かを食べた記憶がない。神じゃなかったら死んでるなこれは」

「……ないの?」

「残念なことにね。俺たちを呑み込んだクロノスって奴のせいなんだが、ここには生物が存在しない。動物もいなければ植物もない。あるのは大地だけのつまらない世界だよ」

「……そっか……クロノス、ってやつのせいなんだ……」

「そうさ。みんなあいつのせいさ。お姉さんはなんとかしてここから出ようとしてるんだけど、周りは中々頑丈でな。もう少し溜めないと止めがさせないと思うから、我慢しててくれるか?」

「……わかった。がまんする」

 

 ……いい子だろ? この子、俺の妹なんだぜ? 信じられるか?

 以前の俺がこのくらいだった時は、我慢しなさいと言われても我慢なんてできないでよく怒られていた覚えがある。それに比べてデメテルは本当に聞き訳がいい。まあ、普段大人しい奴ほどキレたら怖いって言うが、デメテルはその中でもとびっきりだろうな。なにしろ自分の愛娘が冥界に攫われた時に思いっきり世界を脅迫するような無茶苦茶やらかしたわけだし、主神となったゼウスでさえも本気でキレたデメテルに意見しようものなら凄まじい視線で睨みつけられていたらしいし。おお、怖い怖い。

 ……ゼウスと言えば、デメテルはゼウスに無理やり迫られて子供を作ることになるんだったか。ゼウスのことは嫌いだったが、自分の娘には愛情を注いでいたはずだ。護身術の一つや二つ覚えさせた方がいいだろうか。具体的には一夫多妻去勢拳あたりを。

 ちなみに俺はできる。一夫多妻去勢拳と言う名前だが、要するにあれは凄まじい威力の金的だからな。玉天崩などの個別の技名はあまり多くなく、基本的に男の玉を潰したり棒をへし折ったりすることに特化している。踵で踏みつけたまま体重をかけつつくるっと一回転すれば簡単に潰れて役に立たなくなるが、早々そんな機会は来ない。やはり蹴り潰させるのが一番だろう。

 ……肉体的にはもう違うとはいえ俺も元は男。あの痛みに関してはよくわかっているし、文字通りの最終手段と理解してはいるんだが……しかし力で劣る女性としては非常に効率的かつ有効な手段であることは間違いないわけで。

 ……炉の改良に、武器作りに、武術の修練に、魔法の鍛練。そして妹の面倒を見る。やることが多くて困ってしまうな。日常生活に混ぜ込んでも全てを並列して行うのは不可能だ。特に妹の面倒を見るのと炉の改良を同時にするのが難しい。以前に暴走させた時には私一人の髪の先端が焦げただけで済んだが、デメテルまで居るとなると暴走したら耐えられるかどうかわからない。今の俺なら外気功と内気功を合わせて硬気功に内養功を同時発動させて怪我を防ぎつつ僅かな火傷や爆圧による怪我を即座に直したり力に逆らわないように受け流すようにしているから怪我をしないで済むようになっただけで、そういったことができない奴は炉の暴走には耐えられないだろう。

 確かに、デメテルはガイア、レアーと続いてきた大地の化身の正当なる後継者とでも言える女神であるが、その器はガイアほど大きいものではない。ギリシャ神話において原初の神というカテゴリに入るガイアは、大地の化身とも言える神だ。しかし、ガイアの大地というのは人間や動物の生きることができる地上だけではなく、ギリシャ神話における冥界と天界以外の場所の全てを指す。天も、地も、全ては大地と言う一括りにされる。だからこそ、この世界に存在している、あるいは存在することになる神の殆どがガイアの血を引き、ガイアの治めていた数多くの『大地の一部』の権能を得ることになっているわけだ。

 その僅かな例外と言えば、ガイアを産み出したカオスより産まれたエロスとタルタロス、そしてその血を引く存在くらいだ。その他の殆どの神はガイアの血縁にある。一番濃いのはまず間違いなくガイアが単独で作り上げた天空の神ウラノスと、海神ポントス、暗黒神エレボスの三柱だろう。

 以前も考察したような気がするが、ウラノスはガイアと婚姻を結び、多くの神を産み出した。だから、ガイアの血が強く出れば大地や水、海などの権能が強く、ウラノスの血が強ければ風や雷等の天空に関わる権能を得るのだろう。

 

 ……ここで、面白いことがある。

 今の理論でいくと、ヘスティア()は大地の権能がやや強いが、実際には太陽や他の恒星の権能も保持している。最近では炎と雷がどちらも同じカテゴリ内に入る存在であることがわかっている。つまり、プラズマだ。

 

 

壁|ワ●)ジー

 

 

 違う、なんか変なものが脳裏をよぎったがお前じゃない。つーかこっち見んな。

 

 

壁|ワ●)ナノデスゥ…

 

 

壁|彡サッ

 

 

 よし消えた。最後に呪詛吐かれた気がしたが、とりあえずその呪詛も太陽炉にくべておこう。

 




 
 これを書いていて、ふと思ったことがあります。
 ヘスティアがどうしてロリ巨乳なのか、と言う事なのですが、これはきっと産まれに関係あると思うんですよね。
 ヘスティアはクロノスとレアーの間に一番初めに産まれた子であり、しかし同時にクロノスの体内から一番遅く吐き出された存在です。つまり、ヘスティアは長女であり、末っ子であるわけです。

 長女成分→巨乳
 末っ子成分→ロリ

 多分こんな感じなんじゃないかと思いました、まる

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