俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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 今日は朝7時くらいに一つ投稿しています。
 それと、この話の投稿と同時、活動報告でのアンケートを終了します。


竈の女神、別荘を建てる

 

 俺が人間として生きていた頃、最も日本語が通じる外国と言えば間違いなくハワイであった。あそこは一応アメリカの領地なのだが、日本人の観光客や旅行客がひっきりなしにやってきていたために現地の人間も日本語を話せた方が便利で、何かを売ったりする時にも財布の紐が緩くなっている日本人を相手にするなら日本語を話せないと後れを取ってしまうことを理解していたのだろう。

 まあ、時々『沖縄は日本じゃないから。琉球王国だから』とか言う屁理屈をこねる奴もいるが、はっきり言おう。琉球語は日本語ではない。わからん。こちらの言葉は通じるかもしれないが、あちらからの琉球語は正直わからない。無理だ。

 だが、それもある程度過ごしていればわかるようになるとわざわざそこに別荘を建てて年に数か月ほど過ごす猛者もいる。頭がおかしいとは言わないが、あれに慣れるのにはいったいどれだけの時間が必要になることやら。

 

 まあ、それもやってみなければわからないので、俺も真似てタルタロスに別荘を建ててみることにした。霧が立ち込めているため大抵暗いが、まあ問題は無い。太陽によって蒸発量を上げれば霧などと言う小さな水滴ではなく雨のような大きな水滴に変わる。沼のようにじっとりと湿った場所も乾燥し、特に低いところには海のような、あるいは湖のような水の溜まり場が出来上がることだろう。

 そうなれば太陽が昇り降りしてやるだけで風が吹き、植物は風に乗せて花粉をばらまいて受粉し、交配が進む。進化のためには自家受粉だけではなく他者との交配が一番だ。

 まあ、本来ならば虫や動物によっても受粉は起こるのだが、ここ、タルタロスにはそういった動物は存在していないため不可能と言える。ここの植生がある程度完成したら、俺の家の周りに暮らす動物たちに事情を話して移住してもらう事にしよう。まあ、動物たちにとってはある意味楽園のような場所だろう。後々に新しい住人が来るかもしれないが、それは俺の知ったことじゃない。

 

 俺の別荘だが、材料は今の家と変わらずアダマスだ。いろいろと便利だが、こいつでなにかを作るとなると武器しか思い浮かべないような奴ばかりで嫌になる。武器以外にもいろいろと便利な金属だってのに。特に磁性を持つってのが良い。雷撃や放射線に対して僅かではあるが防壁になってくれるし、非常に頑丈だから細かいチェックも必要ない。使いたい時に使える物臭御用達だ。

 ……ある程度樹が増えたら、ここで炭や何かも作ってみようか。俺と一緒にいる間ならともかく、ヘファイストスが独立する時に竈の火を保つにはそういうのがあった方が初めのうちは楽だそうだしな。火や火山の権能があるならそこまで難しいわけではなさそうだが。

 

 できればここに魚も欲しい。確かヘファイストスは生きた宝石を海に放してやったと言う話があるのだから、多分俺でもできるだろう。生きた宝石とはいかないまでも、生きた黒曜石とか生きた輝石だとかそういうのだったらセンスのない俺でもまあ作れないことは無いだろう。

 美的センスは俺に求めてはいけない。残念ながら俺は元々男で、ついでにファッションにはとんと興味が無かったからな。指輪やら宝石やらにも興味はなかった。まあ、中二病的に珍しい宝石とか物質界における硬度の高い物、柔らかい物、強度の高い物、低い物などはある程度調べてはいたが、本職と言う訳でもないしそこまで詳しいわけでもない。

 作るとしても、まあ味のいい魚とか地味だが捕まえにくい魚とかそんな感じだろう。どう命を吹き込むかだが……その辺りはいろいろ工夫してみよう。工夫は俺の十八番だからな。できる物は何であろうとやって見せるとも。

 

 ……そう言えば、ヘファイストスはゼウスの雷を鍛冶で作り上げていたな。もしかしたら、俺なら自分の権能の一つである竈から派生させた太陽を武器として作ることができるんじゃなかろうか。もし作れるならば、太陽の光を槍に仕立て上げたい。接近戦用の短剣や投擲武器ばかりで、中距離戦用の武器は無いからな。

 光線銃? 面白そうだが危険すぎるので却下。γ線を撃ち出す目に見えない光線銃とかやばい。

 


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