アメリカ大陸。人間として俺が生きていた時代でそう呼ばれていた大陸が発見された時、発見したとされる男はその場所をインドだと心の底から思い込み、そしてその思い込みは解かれないままに死んでいくこととなった。だからこそ今ではネイティブアメリカンと呼ばれている原住民たちはインディアンと呼称されたし、現代でも時折そう呼ばれることもあるわけだ。
だが、発見したものたち、ヨーロッパにて覇権を競うい合うことの多かった彼らは、新大陸を自分たちの物とすべく侵攻し、開拓し、脅迫し、自分たちの好きなように作り替えていった。だからこそ最終的には彼らは反乱を起こされてしまったわけだが……では、どうすればよかったのだろうか。
ヨーロッパに住む者達は新たな土地が欲しかった。先住民たちはそれまで通りに暮らしたかった。ならば、ヨーロッパに住む者達がアメリカ大陸に移住する時には文明の利器を捨てて行けばよかったのではないだろうか。
まあ、そんなことをしてもちゃんと生活できるかどうかはわからないし、むしろ送れば送るだけ死にゆく人間が増えたことだろうが、少なくとも人間同士の争いは減っていたことだろう。
開拓とは難しい。自分の意思を通そうとすればそこに以前から住んでいた者の意思を無視することとなるし、そうなれば争いは避けられない。かといって、自分の意思を通せないままで終われるほど人間の欲望は弱くない。争って勝てば欲しい物を手に入れる事ができ、かつ勝率が高ければ殆どの人間は躊躇わずにそうすることだろう。特に、自分達の団体にとって関係のないことならばよりその傾向は強くなる。
そうならないようにするならば、相手もこちらも損をしない、所謂win-winの関係を作ることが一番手っ取り早い。お互いに儲けたと思える関係ならばその関係は長く続くし、内心はともかくお互いに接している時には好意的な態度をとるようになる。
だが、もしも本当に誰もいないところがあって、何も生きていない場所があって、そこを支配している存在から『好きにしていい』と言う言質を取っていたとするならば……それは最も早い救いとなりえる。
要するに、タルタロスに小さめの太陽と月を作って天動説を実行させながら適当に植物を植えてやればいい感じにタルタロスに緑が増え、畑をつくって一大農場になりえるだろうと思いついたわけだ。
それを実行するためには、まずはタルタロス(神)に話を通さなければならない。タルタロス(場所)を支配する神としてタルタロス(神)が居るのだが、ある意味ではガイアが支配している大地のことを
そしてタルタロスに話を通すためにまずはガイアを探す。ガイアはタルタロスとの間にテュポーンを儲けることができる程度の間柄。つまり、タルタロスの居場所や性格を知っていると言うことだ。ガイアをカレーで釣ろうとしたら入れ食いレベルで釣れたのでとんとん拍子に話は進み、タルタロスと話し合って『暗き地底の世界に太陽を作り出して楽園にしようぜ
……いつかこのギリシャ神話の世界をカレーで制覇してみようかと思ってしまう。まあ、実際には好みもあるだろうし一つの味では難しいだろうけどな。甘口、中辛、辛口の三種くらいは用意しておきたい。個人的にも。
さて、それはそれとして適当に植物の種を蒔いて行く。畑として決めたところには丁寧に。そこからある程離れた場所には作物ではなく樹木を植える。植物の神とか植生の神とか植物系統の権能は殆どがガイアに抑えられているが、植樹と言う行為にはまだ唾が付いていなかったので俺が貰っていく。農耕はクロノスが持っているので、少し変えて農作を俺が貰っている。植樹や農作のできる竈の女神と言うのも、きっと珍しいだろうな。世界で俺ぐらいしかいないんじゃなかろうか。どうでもいいが。