俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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竈の女神、さらに増やす

 

 暇神多すぎる(二回目)。まさかギリシャ神話の外には広めていないにもかかわらずやって来る神格が居るとは思わなかった。来たのは俺が行ったことのあるメソポタミア神話からだが、結構な数が志願と言うか突撃してきた。ただ、どうにもエアの視線に訝しげなものが混じっているのは恐らく気のせいではないだろう。恐らくだが、エアがかつて殺害して世界の裏側に放逐したティアマトの権能を感じ取っているんじゃないかと思う。

 実際には裏側に放逐されていたティアマトを殺害して分解して吸収したんだが、そんなものはあっちにはわからないだろう。それに、竈の女神でしかない俺から地母神の香りがすればそりゃあ訝しみもするはずだ。

 だが、俺も多少言い訳ができる。俺はギリシャ神話における地母神の家系、それも直系だ。地母神でこそないが、妹に母から地母神の権能の一部を継いだのが居ると言う時点で言い訳としては十分だろう。事実、地母神から血を引いてなかったらティアマトの権能の吸収とか相当難しかっただろうと言う事は間違いないわけだしな。

 

 そんな感じで、俺の持つ地母神の権能は割と不完全だったりする。元々ティアマトの持っていた権能である地の権能を半分に分割した物のうち、陽の部分を世界の表に置いたまま大地とし、陰の部分を世界の裏側に放逐した。その放逐された地の陰の権能しか持ち合わせていない訳だ。

 地の権能を完全に保有していたティアマトですら天の権能を持つアプスーと共同でなければ完全な命を作ることができなかったのに、地の権能の半分しか持たない俺が完全な命の創造を行うのは非常に骨が折れた。

 だが、俺は女神、つまり陰の存在でありながら司る物は炎や太陽と言った陽の物が多い。ついでに精神は男と言う陽の物。さらに炎ではなく竈そのものの属性は地だ。元から持っていた陽性の地とティアマトから得た陰性の地、そして太陽から得た陽性の天の気と、ギリシャではほとんど降らないせいで神格として形を持っていなかったので無断で乗っ取った雪の権能からくる陰性の天の気。それら全てを混ぜることで規模は小さいが生命の創造を行うことができるようになったわけだ。マジできつかった。陰性の天の気とか殆どポセイドンとかそういう奴らが持ってたからそういうところを侵す訳にもいかないし、神にとっての権能ってのは自身をこの世界に留め置く楔のようなもの。それを侵されれば文字通りに存在をかけて戦いを挑んできてもおかしくはない。だからこそ、俺がヘファイストスに一部とはいえ鍛冶の権能を渡したことが驚かれたりしたんだが。

 

 まあともかくそうして暇していた奴らから権能の欠片を貰って式神を作り、仕事ができるかを確認してもらい、契約を結んで世界の中に送り込む。ちなみに、極一部ではあるが既に世界の中で神としての力を表に出して使ったために強制送還を食らった奴がいたりするが、そいつには『残念でしたまたいつか』ということになっている。なにしろ自業自得だし、俺もかなり忙しい。こういった世界の運営はそれなりに慣れているし、小神に対してマニュアルを渡せるくらいには知っているが、何でもできるってわけにはいかないからな。仕方ない。

 後、破壊神に対してはかなり細かく決まりごとがあったりする。なにしろ破壊神だ。町とか国くらいまでだったらともかく、世界丸ごと壊されてはたまらない。一応対策はしてあるが、それもどこまで通用するか怪しいところがある。俺に破壊神とかそういう系統の権能についての知識がないから細かく調整ができないって理由もあるが、破壊神の権能って何をどうすればとれるのか未だに理解できない。俺の破壊は基本的に別の何かにつながっているから、ただ無為に壊して回ればいいのかもしれないが……それをやるにはいろいろとこの世界には大切なものが増えすぎた。

 

 まあ、とりあえずもう一度世界を新しく作って壊してみるか。どういう行為をすれば権能が働くのかを調べればまあ何とかなるだろ。

 


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