今までは
と言ってもそこまで大したものでもない。俺の家と言えば、そこまで大きくない物でいい。
しかし、未来においてゼウスを主とするオリュンポスの神々は
材料はたっぷりと持ってきたアダマス。アダマスの持つ磁性を最大限活用することで周囲に磁界のバリアを張り巡らせる。この磁力は常に変動し、電撃や炎などを跳ね返し、あるいは受け止めることができるように作ってある。触れるとそいつに電気が流れ、こっちにも何かが来たことがわかるようにもなっているが、それはおまけ程度の効果しかない。
素人の手作りの家なんて普通に考えれば住めたものじゃないんだが、細かいところならば一度建ててからでも形を変えてやることができるので必要な条件は満たしていると言える。雨風が入ってこないように継ぎ目を消し、変な所に力がかかって歪まないようにいくつか柱を組み替えてやればすぐに終わる。ゼウスがオリュンポスで一旗……あ。
ゼウス忘れてた。
……あれ、もしかしてその場合神々の王になるのって俺か? んな七面倒くさいことはやってらんねえんだが。俺の権能的に国家があれば俺はそこに干渉できるし、家族が居ればそこに干渉できるし、家があればそこに干渉できるし、竈があればそこに干渉できる。支配領域にゼウスが治めていた天空とかを貰ったとしても正直何の役にも立たなそうだ。
……よし、そういう面倒な仕事は誰かに押し付けるに限るな。
「と言うことで誰か神の王になるつもりは無いか?」
「私は面倒だから嫌~」
「私は仕事多そうだから嫌」
「僕は……体格とかその辺りで軽く見られて戦争することになりそうだから嫌かな」
「
「おうお前ら正直に言えばいいってもんじゃねえぞ」
いやまあ面倒だから他人に押し付けようとした俺が言えるセリフじゃないんだがな。
「……んじゃあ……おーい、おふくろさーん」
「私はこうして浮気する元気もなくなったこの
「……そう、だな……」
まあそれでもゼウスが産まれてしっかり育つまでの王座だっただろうがな。ちゃんと教育して、しっかり王としての在り方と仕事の面倒臭さを教えておけば王なんてなりたくないと思わせておけたかもしれんのに。
……そうだ、ゼウスに押し付けよう。仕事の内容をしっかりと仕込んで、王として教育したうえで……誰がすんだよそんなもん。しかも人間国家の王と違って神々の王は一度争い始めるとマジで世界がやばいレベルの奴らの仲裁やら何やらをしなくちゃならない。きつそうだなまったく。俺は全くやる気が起きないね。
しゃーない、適当にそれらしいことやって適当に何とかするっきゃねえか。できるかどうか怪しいが、やらんよりはいいだろう。
それに俺はヘスティア。遍く孤児の庇護者であり、竈の女神。捨てられた子供を無視するのは在り方に反するからな。