俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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竈の女神、更新する

 

 ようやく帰ってきた俺の身体に刻まれた恩恵を更新する……が、今回は大して成長していないようだ。まあ、仕方がないな。長く動かしていたとは言っても山もなく谷もなく極平穏な生活を続けたのだから、以前のように頭のおかしい女王に殺されかけたりした時に比べれば成長率が悪くて当然だ。

 スキルも増えていないし、魔法も新しく増えていない。アビリティ自体は増加しているが上がり幅は大きくない。まあ、平穏な生活を続けた結果と言われてしまえばそこまでか。

 

 それと、作っていた世界がちょうどいい感じにできあがったので、この時点で一度時間を止めて保存しておく。失敗した時の事を考えるとこうしていくつかバックアップを取っておかないと不安になるからな。作ろうとすればまた作れるが、流石に面倒臭い。

 世界をコピペして増やすことは問題ないんだが、それを保存するのは少々面倒臭かったりする。それでもやっておこうと思うのは、俺が未来の面倒事を回避するために今面倒な事をやっておこうとするタイプだからなんだろうな。お陰で家に世界を入れた箱が増える増える。うち一つはそれらしく見せるために透明度の高い水晶の筒に入れてあったりするが、これがこれから使う世界になる。失敗したらすまんな。

 

 この世界に恩恵を広めるためにやることは、まずはダンジョンを塞ぐことだな。完全に塞いでしまうと問題しか出ないので入り口などは作るつもりだが、入り口以外からは外に出てこないようにしなければいけない。

 ……まあ、入り口を一つにすると決めたわけではないがな。

 

 それに、力を封印したままではどうしても俺だけだと無理が出てくる。そのために色々と根回しと言うか、ベータテスターのような存在を作ろうとしたわけだ。

 まあ、俺が貸しを作ってあってかつ世界の破滅を望んでない奴らを集めてダンジョンに対処させてから、そのまま本番を開始するって感じか。

 ちなみに使用料として権能の一部を置いて行ってもらって仕事の肩代わりを権能そのものに染み着いている本神の残留思念から式神を作ってやらせる方式を取っている。俺もそこそこ仕事は多いからな。仕事が完全に滞ってしまうと問題だとかそう言うレベルではなく普通にやばい。世界が文字通りの意味で上手く回らなくなってしまう。

 まあ、そのあたり了承できない奴は恐らく早々いない。なぜなら神ってのは基本的にどいつもこいつも暇を持て余しているんだからな。権能の欠片で暇潰しができるんだったら間違いなく乗って来るだろうよ。それも、自分たちの仕事を放り出した挙句その仕事を他ならぬ自分の分身がやるってんだから、自分の心に嘘をつく必要も全く無いわけで。これで乗らない奴は、恐らく仕事が大好きなんだろうな。日本人のようだ。

 

 ちなみに日本の神格の多くは仕事が嫌いだ。そのあたり、人間が作った神格に似なくてよかったと思う。島国で怠惰に暮らしていたらあっという間に生存圏が縮小してまともに暮らせなくなるから怠惰になろうとしてもなれない事情があるんだが。

 


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