俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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神話世界漫遊記(何故かクトゥルフ砕きに行くアステカ神話・精霊信仰)
竈の巫女、フラグ成立


 

 ギリシャ神話は、主体が神格や神の世界である黄金時代、神と人間が混じって描かれる白銀時代、そして神がほぼ舞台装置のように扱われ人間が主体として描かれる青銅時代の三つの時代に大きく分けられている。出来事で言えば、まあティタノマキア以前がおよそ黄金時代であり、ティタノマキア以降でかつギガントマキア以前が白銀時代、ギガントマキア以降が青銅時代と言えるだろう。

 そして、ケルト神話にも似たようなものとしてサイクルと呼ばれるものがある。人間ではなく神を主体とするものが神話サイクルとされ、大英雄クー・フーリンの活躍を主体として描かれる物がアルスターサイクル、フィン・マックールとフィオナ騎士団を主体として描かれる物をフェニアンサイクル、そして歴代のアイルランドの君主を扱うのが歴史サイクルとされる。

 

 現在はおよそ5世紀。そしてアルスターサイクルは紀元前一世紀から一世紀頃。フェニアンサイクルが三世紀から四世紀にかけてであり、クー・フーリンは何故かアルスターサイクルから数百年未来であるフェニアンサイクルに現れたりしている。つまり、フェニアンサイクル以降である現在に現れたりしてもおかしなことは……あるが、絶対にあり得ないことではない。

 

「よう」

 

 だからってマジで出てくることはないだろうよ。さっさと帰れ。

 

「ひでえなオイ。せっかく会えたってのに」

「スーパーケルト人に良い思い出が無いもんでな。飯は食わせてやるからはよ帰れ」

「おっと食事に誘われちまったか。犬は出ないよな?」

「出してもいいが今回のは猪だな。食ったら帰れ」

「つれねえな」

 

 俺はスーパーケルト人と違って戦闘大好きでもなければ性欲に非常に素直なわけでも無いんだよ。クー・フーリンもどっかの誰かに『死ぬか犯されるか好きな方を選べ』とか言ってた筈だし、本当にケルトはなぁ……。

 まあ、性欲云々に関してはギリシャがどうこう言える話ではないんだが、ギリシャの中でも俺とアテナとアルテミスは一応言えるはずだ。処女神だしな。アルテミスはオリオンと出会ってから色々あれだが、それでもまあ言えなくはないはずだ。

 

「お、うめえなこれ」

「一番の得意料理ではないが、一応料理の権能を持つ神格だからな。このくらいはできるとも」

「ほぉ? やっぱり神格か」

「ただし、人間の身体に入っているから本体よりは弱いし、そもそも戦闘系は得意分野って訳じゃ無いんだよ。何を期待しているのか知らんがな」

 

 なにしろか弱い竈の女神様だ。軍神アレスやら戦神ヴァハグンなんかと一緒にされちゃあ困る。筋肉モリモリマッチョマンの変態は映画の中だけで十分だ。この時代に映画とか存在しないが。

 ……映画と言えばハリウッド。ハリウッドはアメリカ。アメリカ……アメリカ…………あ。

 

 思い出した。Xothってゾスじゃねえか。やべえアメリカ成立させないようにしないとアーカムシティにミスカトニック大学やらができたりインスマス面の奴等が溢れてくる可能性が出てきた。時代的にまだ間に合うと思うが、できるだけ急がないと不味い。

 そうだな……名前を借りるとしよう。確かどっかの神話の太陽神が神話から蹴り出されて『私は再び帰ってくる』的なことを言い残してきたって話があったから、そいつの名前を借りてアメリカ先住民に力を貸してさっさと追い出してもらおう。名前は確か……テスカトリポカ、だったか。赤だの青だの白だの黒だのがあって、それぞれ別の神格と同一視されてるはずだが、確か追い出されたのは白いテスカトリポカ、別名をククルカンとか言う神だったはずだ。

 だが、太陽神で繋がりがあるとは言ってもククルカンは男神で俺は女神。その辺りをどうするかと言えば……なに、都合の悪いところまで同一視されるようにはならなければいい。

 つまりあれだ。赤青白黒と四色揃っているなら、そこにもう一つ混じったところで問題なくね? と言うことだ。そして竈に付き物の色と言えば灰。灰のテスカトリポカと名乗って植民地にしようとする奴等を綺麗に解体してやろう。

 


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