あとがきのはアンケートではありません。いわゆる『言ってみただけ』です。これだろうと思う者は在ったら気楽にどうぞ。ご新規さん大歓迎です。
時が来た。ポセイドンが入ってきてから少々。一応ポセイドンを調教して立派な好青年に仕立てあげ、全身の肉と神としての力を綺麗に元通りに見えるように直すくらいのことはできるくらいの時間が過ぎた頃、俺は待ちに待ったその時が来たことを理解した。
この場所に新たに存在するようになった石。それはつまり、ゼウスが産まれ、もう自分の子が呑まれるのが嫌になったレアーがゼウスの代わりに
「さて、持てる物は持ったか? 服は持ったか? 武器は持ったか? キッチンや畑は? ちなみに俺は酒の貯蔵庫も研究施設も全部持ってるからな。忘れ物があるなら今のうちに言えよ。出発したら戻ってこれないからな」
「妹一号デメテル、準備万端です隊長!」
「妹二号ヘラ、準備OK、いつでも出れるわ」
「弟一号ハデス、持って行けるものはいらないもの以外全部大丈夫だよ」
「弟二号ポセイドン、準備完了でっせ」
「ポセイドン?」
「サー!準備完了です!サー!」
よろしい。それでは脱出しよう。
俺は目の前にある巨大な太陽炉に触れて、外殻を少しずつ削り取る。安定させながらの作業は中々骨が折れるが、それでも必要があるならやるしかない。やってやるさ。
俺は竈の女神。今までは竈の方からしか派生してこなかったが、今度は別のところからの派生。
『女神』。それは神であり、女であることを示す言葉。それは単なる記号であり、種族であり、それ以上の意味がない……と言う事ではない。
女神と言うのは、受容と拒絶を同時に体現する概念の結晶でもある。男を受容し、子を作り出すと言う点だけを見ても、女神は男神に比べて生産や製作に優れていることが多い。また、他の存在を自らに受け入れると言うことを当然の物として行い、新たな物を作ることすらしている。
では、俺がこれから何をするか。俺は外殻が外れて膨大な熱量を発する太陽を、そのまま身体に取り込んだ。
熱い。身体が焼けそうに熱い。しかし同時に力が溢れ出す。その力の流れを操り、集束し、
瞬間、俺は大地を強く踏みしめる。
大地を踏みしめた力は、全身の肉からの力を受けて増幅しながら足元から身体を登る。太陽のエネルギーを受け、その力を熱量として駆け上る。足元から始まり、ふくらはぎを登り、太腿を経由し、脊柱を駆け上がり、肩で方向を変え、肘で再び加速し、手首で踏み切り、手掌から回転と共に放出される。結界は容易く消し飛び、代わりに肉が焼け焦げる匂いが立ち込める。大きな悲鳴のような声が聞こえ、炭化していた分厚い肉の壁が再生を始めている。急がないとまた閉じ込められるな。
デメテル、ヘラ、ハデス、ポセイドンの四柱に伸縮自在のおんぶ紐だったものを巻き付け、夢想流舞で走り抜けていく。しかし、
ちなみに太陽炉はともかくとして対消滅炉や縮退炉は弟妹達がいるところで使うには少々どころではなく危険すぎるため使用を自粛していたものだ。何しろ対消滅炉は質量を完全に何らかのエネルギーに変換することができる。質量とエネルギーの変換と言えば、とても有名なE=mc^2と言う数式が出てくるが……これを実際に計算してみたことがあるものはどれだけいるだろうか。
光速度はm単位で299792458m/s、およそ三十万km/sと言う圧倒的速度で突き進む。この数値を二乗した場合、その数値は8.9875518e+16。要するに89875518000000000と言う数値となる。もしも1kgの物質が完全にエネルギーとなった場合、実に89875518000000000Jと言う頭がおかしいとしか思えないエネルギーに変わるわけだ。
ちなみにだが、有名な広島原爆の実際のエネルギーは5500000000000J。たった1kgの質量を完全にエネルギーへと変えるだけで広島原爆の1600倍もの威力になるわけだ。
……まあ、俺は一つ一つの質量を1kg程度に抑えた覚えは無いし、個数も一体いくつ置いてきたかも忘れてしまった。最悪半死半生の重体くらいにはなってくれるだろう。神だから死なないだろうしな。
では、脱出だ。やれやれ、娑婆の空気は美味いね。
太陽のように熱い指で
神様が
相手を貫く
そんな時の掛け声募集中(笑)。この後出てくるポセイドン視点で出てきます。
なかったらこっちで勝手に決めます。何か来ても使うとは限りませんが。いいネタ在りますし。