俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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竈の巫女、企む

 

 ぞろぞろとカレーの亡者共を引き連れて、王の居るロンディニウムへと進んでいく。先頭は俺。続いてモードレッド。そして通ったついでにカレーを振る舞った奴等が全員俺の後に続いている。

 ハーメルンの笛吹きにでもなったような気分だが、こいつらがついてくるのは曲ではなく飯のため。それも恐らくこれまで食べたことがないほどの美味のため。一応神の手料理だからな。味わって食えよ。

 

「うめぇ!うめぇ!!びゃぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛う゛ま゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!」

『びゃ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛う゛ま゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!』

 

 ポセイドンよりヤバいリアクションをとる奴がこの世界に居たとはな。やはり世界は広い。なかなか楽しめそうで何よりだ。しかし顔の緩み具合がもういっそ気持ち悪いと言うのが適切なレベルだ。ポセイドンも同じだが。

 あと、完全にジャンキーと言う状態からようやく抜け出して普通に会話ができるようにまで回復したようだが、カレーを目の前にしたりカレーの匂いを嗅ぐとまたジャンキー状態に戻ってしまう。犬に餌をやっている気分だ。人懐っこい餓えた犬に。

 実際こいつは餓えているように見える。食事と言う点ならば食べることはできていても楽しむことはできていないようだし、それ以外にも愛情に餓えているようにも見える。

 産まれてからのことを聞いてみたが、父親は自分の存在すら知ることはなく、母親も自身を道具としか見ていない。風土は違えど流石はケルト、頭のおかしい奴等が揃い踏みだ。

 つまり、こいつは俺的には孤児カウントになる。そうじゃなければ何もないのにカレーなど食わせはしない。後ろの奴等のように、回復するそばから魔力と信仰を吸い上げているところだ。こいつは魔力がかなり多いようだしな。

 ただ、どう見ても女にしか見えないモードレッドは女扱いされるとなぜか怒る。理由はわからないがなぜか怒る。何をどうしようが男は男で女は女だと言うことには変わりないだろうに、実に不思議なことだ。

 ……今夜男にしてやるか。少々疲れるが不可能ではないし、反転の権能を上手く行使すればできることだ。最近ゼウスにやってやったらなかなかの美女になって驚いたが、なんとかなるだろう。多分。

 カレーで直るか? 反転した結果元々の性別が変わるんだから直ったところでそのままだ。残念だったな。

 

 ロンディニウムまで歩いていくと、まああと三日ってところか。走ればもっと短いんだが、わざわざ走らなければいけない理由はないし、元々作った世界が取り返しのつく範囲で追い詰められるまでの暇潰しだ。暇潰しに使う時間で急ぐってのもおかしな話だし、走る予定は今のところ無い。

 俺には無いが、モードレッドは大丈夫なんだろうか。色々とやらなくちゃならないことがあると思うんだがな。具体的には蛮族狩りやら報告やら。

 

「それより重要なことができたから大丈夫だ!それに関しての報告なんかも出してるしな!」

「俺か?」

「そうだぜ」

 

 隠し事をほとんどしないやつは話していて楽だな。最近は色々と契約の隙間を突いて来ようとする奴ばかりと関わってきたから癒される。

 


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