さて、世界を作って様々な種族を住まわせている訳だが、中には存在しているだけで害になるような存在もいないわけではない。
が、そんなもの基本的にどんな種族にだって居ないわけではないのだ。立場が違えば害になるものが変わるように、種族が変われば生きていくのに必要な行為も変わる。世界の魔力は基本的に無尽蔵だし、世界の内部での総量は変わらない。魔法として消費した分は現象として散った後に魔力に還元されるし、魔力を食って生きるものは存在しているだけで魔力を自身から散らし、死んだ時に魔力の結晶を残すか純粋な魔力として散っていく。
だが、俺がいるとついつい世界の裏側から持ってきた神秘を魔力に変えてガンガン流し込んでしまう。あまり濃すぎると変質が怖いし、ちょっとばかりやり方を変えることにした。
あれだ。こう言う世界において魔力が大量に集まってできるものと言えば、魔境かダンジョンのどちらかだろう。なお、異界はダンジョンに含めるとする。
そう言うわけで俺から供給される魔力を一ヶ所から出るようにして、さらにそこの空間を歪めてダンジョンを作る準備だけはしておく。今のところ送り込んだら即座に同じ場所から再吸収できるようにしてあるが、再吸収をやめるとあっという間にダンジョンが出来上がる。
……そうだな、世界を作り上げた神としては俺の世界に住む者達がちゃんと生きていけるか試しておきたいと言う思いもある。子供を愛するだけでなく試練も与えるのが神の在り方だと言うのは理解していたし、これまでもそういったことはやってきたが、ここまで一方的な試練は出したことがない気がする。下手したら普通に全滅するしな。
……ああ、うん、そうだな。どうせだったら色々と利用してやるか。丁度ゲームのような設定もあるし、それを少しばかり調整してマトモな存在にも付けられるようにしておこう。
α版はかなりの肉体的な強度か精神力がなければ刻んだ瞬間に器である肉体がまるで一瞬にして血圧が一千万倍になって内側から弾け飛ぶように爆散してしまうようだし、今まで地球で使ってきたのは使えない。β版をこの世界で生まれた神に使ってみたが、どうやらこれなら問題なく使えるらしい。ただ、それでもある程度鍛えていたり、何らかの功績をあげていなければ難しいものだと言うこともわかった。少々面倒だが、やはりその辺りもきっちりとしなければ。
……ああ、そうか。そうだな。そもそも本物でやる必要はないわけだ。バックアップの方から更にコピーしたものを使えば、例え潰れてしまっても全く問題はなくなる。本当に潰されたら潰されたで後の処理やら復旧やらが面倒なことになりそうだが、ちょくちょくバックアップを取って何か致命的な問題が出たら破棄して巻き戻せばいいか? なんとも悪役な考えだが、全知でも、ましてや全能でもない俺ではこのくらいが限界だ。完全に神格だったら他にも色々と思い付いたかもしれないが、俺は元人間の神格だからな。かなり神としての在り方やら視点やらに染まってはいるが、いまだに人間らしい思考回路は残ったままだ。ギリシャ的思考に馴染めないのもそのせいだな。
だが、平和ボケした日本人的思考は大体消えた。だからこそこういった人を人とも思わないことができるわけだ。
世界一つを使った、
具体的に言うと北欧神話とか危ないな。ロキがマジでオーディン殺すついでに神界を破壊し尽くしかねない。あの時ロキに『胸が小さいのはオーディンのせい』とか言わない方がよかったかもしれん。