数日後。若干膨らんだ自分の胸を信じられないとでも言いたそうな顔でもみもみもみもみもみもみもみもみとエンドレスもみもみしているロキをガン無視してさっさと支度をする。何の支度かと問われれば、当然のことながら帰り支度だ。それ以外無い。
だが、そろそろ言っておいた方が良いだろう。
「もう手遅れだと思うが、体質をかなり無茶して誤魔化した結果そこに脂肪を貯めてるから、あんまり揉みすぎるとまた別のところに脂肪が貯まるようになるぞ」
「何で先に言うてくれへんのん!? めっちゃ揉んでしもたんやけど!?」
「じゃあこれは先に言っておくが、特性ドリンクはもう手持ちに材料が無いから作れんぞ。どうしてもと言うならまた胸に脂肪が貯まりやすくなるよう調節してやr」
「お願いしますやってください何でもします!」
言質取った。取ったからと言って何をするわけでもないから取らないでもいいんだが、ここは特に意味もないままとっておくことにした。何度も繰り返すが意味はない。ロキだしな。
帰り支度を中断して持ち出すのはとっても不思議な豆乳飲料(改)。まあ、脂肪分を増やして吸収率を上げたものだが、食った物が皆々筋肉になってしまう奴にはこういうものが必要になってくる。ヘファイストスは鍛冶師を目指して色々やってたから胸の大きさにはこだわらなかったし、ヘファイストスの妻であるアフロディテはヘファイストス公認で浮気を繰り返してはいたが女で相手にするのはヘファイストスだけと言うなんとも歪んだ関係を持っている割には自分の身体に対しての誇りは並み以上に在ったのでこういうのに頼ったことは無いが、必要な奴には必要だからな。戦いの前のエネルギー補給としても役に立つし。
で、やること自体は前とそう変わらない。飲ませて揉んでを繰り返すのみ。あまり一気に大きくし過ぎると皮膚が裂けて赤色皮膚線条になったりすることもあるから慎重に慎重に。さらに
実はこの『そんな気になってくる』と言うのが神格にとっては結構重要で、その時の気分によって効果に変動があったりするのだ。効いている気になっていると、より大きく効果が出たり、反対に全く信じていないと最低限しか効果が出なかったりする。神の身体ってのは面白いもんだな。
「ところで腹のは胸に持ってくるとして、背中のはどうする? 尻に行っとくか?」
「ぁ、んんっ! ぁ、なん、の、はなしやぁ……っ?」
「脂肪の話だが……あー、わかった、余裕無さそうだからこっちで勝手にバランス見てやっとく」
「ん……任せたでぇ……」
はい任されました、と。
しかしこれは本当に難物だな。体質だけでなくなんか概念的な物にまで『ロキは貧乳である』と規定されているような感じだ。世界の意思とかそういうのも多少はわからなくはないが、ロキの胸の大きさが世界の形を変えるとか早々無いだろうし、多少盛るくらいはしていいだろう。
……待てよ? 確かロキは妊娠経験があったはずだな? 名前は忘れたが相手は馬で、産んだ馬の名前がスレイプニルだったはずだ。
で、産んですぐにスレイプニルはオーディンに持ってかれた筈だから、ロキはスレイプニルに乳をやっていないだろうということが予想できる。すると、そういうのが必要ないと判断された結果胸が小さくなるということは十分考えられる。ロキが妊娠したのはそれだけのはずだし、そのほかの子供は男親として産ませたはずだから乳が関係するのはそのくらい。で、その機会がなくなったから胸が育たなかった、と。
つまり、ロキの胸が板とか俎板とか洗濯板とかロキ板に水とかロキ無乳とか言われてしまうほどに小さかったのはオーディンのせいだったのか。なるほど。
……おや? ロキから凄まじい殺気がどこかに向けて放たれている。何があったのやら。