俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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(なお、口には出さない模様)


竈の巫女、忠告する

 

 さて、俺の知るこの神格は様々な形で信仰されている。有名な物で言うとキリスト教にユダヤ教、そしてイスラム教も聖四字の神が信仰されている。一部のキリスト教ではキリストを神格として扱っている所もあるが、キリスト自身は神ではなく神の子であって信仰を向けられるような存在ではないというのが多くの派閥で言われる共通の意見であるらしい。

 まあそんなものは関係なくキリストも神として扱う教派もあるらしいが、はっきり言って俺には関係ない。関係なさ過ぎて引くくらいに関係ない。若干『キリストが生まれた時に祝福してやってギリシャに引き込んでやろうかな』とか思ったこともあるがそれやると後でもっと面倒臭いことになるだろうと冷静に考えてやめたしな。だからはっきり言って関係ない。

 

 ……そう言えば、最近とある悪魔に大天使ミカエルの黒歴史を譲ってもらった時に悪魔が人を堕落させるのに甘い菓子でも使えばいいんじゃないかと言う案を出して、そこで色々と教え込んだな。そう言う点では若干関係あるかもしれないが、関係あるのは悪魔側であって天使でも神格でもないし、信仰にも関係ないしいいんじゃあないかね。実際にいいのかどうかは俺にはわからん。甘いもので釣られる奴が居るのかどうかもわからんが。そもそも甘いもので釣られる奴よりも飢えをなんとかするためにカレーで釣られる奴の方がより多そうだしな。

 まあそれはそれとして、基本的に神が人間に関わろうとしない神話で、かつ自分達もあまり積極的には人間と関わらないタイプの存在だと色々と人間社会にはそぐわないものが出てきたりする。例えば、天使の中に調味料を司る存在が居ない割に、どの天使も本気でやれば塩だけは出せるとか。なおその塩は元人間だったり植物だったりが塩になる奴だから犠牲が不可欠。そのためあまりやらないらしい。

 

 ただ、未来において神の声を聴くことができなくなった奴が教皇とかそう言う席について、他の神話圏に遠征に出るようなことになったらまず間違いなく蹴散らされるから気を付けないとまずいだろうな。ケルトは大体の英雄は普通に人間程度にしか生きないし、人間以上に寿命があるだろう存在は多くがさっさと死んでしまったり、あるいは世界の裏側から出ることができない存在だったりするから割と簡単に滅ぼせるだろう。しかし問題はそれ以外の、具体的に言うと北欧神話とギリシャ・ローマ神話、そしてメソポタミア神話群だ。

 北欧神話については人間界までなら何とか潰せるかもしれないが、それ以上の世界にまで広げようとするとえげつない攻撃が飛んできたりするから非常に難しいだろうし、ローマ・ギリシャ神話では七日かけて作った世界を文字通りに一発でぶち壊せる存在が居たりする。俺じゃなくな。

 そしてある意味で一番やばいのがメソポタミア神話群だ。と言うか、そこに居るギルガメッシュとエンキドゥがやばい。何しろあいつらまだ生きているし、死ぬ気配が今のところ欠片も無い。ついでに未だにあの山脈を越えた先の世界だけ神秘が濃すぎるからまともな人間だと急性神秘中毒で全身の血管と言う血管、神経と言う神経が魔術的な意味を刻み込まれてその痛みに耐え切れず発狂して死んだりしそうだし、そこで死ななくとも血管によって描かれる魔術的な文様が起こす魔術を制御することができないで自爆して屍を曝すことになりそうだし、お勧めできない。

 さらに言ってしまうと、ギルガメッシュは神格に対して抜群の効果を持つ宝やら武具やらを大量に持っているし、エンキドゥはエンキドゥでその身体そのものが神を縛り付ける鎖と言ってもいい。そう言う機能も一応付けたからな。神話において神に近ければ近いほど、あの二人にはいいカモだ。

 俺? カレー食わせれば大人しくなるから問題ない。たまにカレーの新作コンペとかもやってるからな。カレーに影響された存在を集めて。

 


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