俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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竈の巫女、困る

 

 聖四字の神も、しっかりと話をすれば丸くなるもんだ。ヤンキー(死語)も元はと言えば大人に自分の意思が通らないことを始めとする不満から様々な形で反抗しようとするからこそああなるわけで、しっかりと話をすれば分かり合えたりするものだ。今回は分かり合わざるを得ないようにしているからノーカンでもいいがな。

 聖四字の神というのははっきり言って面倒な存在だ。未来においてかなりの知名度を誇るが、同時に非常に敵の多い宗教でもあった。そりゃそうだろあんな風に宗教で軍団を作って遠征してほかの宗教を弾圧してたらそうもなる。そのあたりを理解していたのかしていないのか、あるいはどうでもよかったのかは知ったことじゃないが……まあ、止められそうなら止めるのが人情ってものじゃないかね? 俺は人間じゃないが。

 

 さてそれはそれとして、面倒なことはもう終わったといっていいだろう。結果的に神が一柱増え、全てを司る存在が全ての善性を司る存在と全ての悪性を司る存在に分かれただけだし。全ての悪性を司るって言うと、アンリマユを思い浮かべてしまうのは仕方のないことだろうか。完全な善と悪に分かれた神話ってのはなかなか少ないんだよな。普通なら二つ以上に分かれて戦っていた場合、どちらも善性を持ちどちらも悪性を持ち、様々な形で敵を騙したり策に嵌めたり味方を犠牲にして勝利をもぎ取ったりといった話があるからどちらが善でどちらが悪と言う形には当て嵌めにくいんだが、あの神話については根源から善性の神と悪性の神に分かれているからな。

 ……出てくる神出てくる神大体悪性って神話もあるからあの神話はだいぶましなほうなんじゃないかね? もしもあの神話が現実に世界として存在するようになったら全力で摘み取らせてもらうが。

 あー、だが摘み取るとその世界の神格に向けられてた信仰とか全部俺に来るし、神格の能力とかも一部こっちに来るからなぁ。炎については今更だからいいとして、冷気についても普通にできるからいいとして、風だって代替できるからまだいいとして、地はかなりできることが増えるだけだからまだましだとしても、水については正直専門外だぞ? 時間と空間はそこそこ行けるし、知識などの形のないものについても司ってこそ無いもののそれなりにあるほうだからいい……いやまあいいかどうかは置いといて悪くはない。やはり問題は水だ水。それも海。

 ポセイドンはまあ範囲が被らないからまだましだとしても、問題はオケアノスやら別の神話の神格やらだ。あいつらに無断でいきなりそんなところ陣取ったら邪魔ってレベルじゃ済まないし、喧嘩を通り越して大戦争にもなりかねない。

 かと言って潰さなければより世界が乱れて面倒なことになるのは間違いない。困った困った。珍しく本当に困った。

 

 ……いや、うむ、俺だけが頑張ろうとするから困るんだな。他の神話の神格にも話を通すことにしようか。どこの神格になるかはわからんが。

 


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