若さと言うのは厄介な物だ。経験不足から来る向こう見ずさや老いて権力を持つ者に対しての反骨精神、自身の自由が自身以外によって制限されていると言う不満などを、有り余るエネルギーに任せて爆発させることが多々ある。言ってしまえばヤンキー(死語)の理屈だな。
俺に関係のないところで勝手にやる分には一向に構わないんだが、こういう場合は大概関係があるから面倒臭いんだ。実際にこっちに色々と被害や影響が出てくるし、自分の家の自分の部屋で周りに迷惑をかけないように行動してくれるんだったらともかく、そうしないからな、大概の場合。
実際に何をしようとしたかと言えば、本当にヤンキーかケルトのような事だ。戦い、食い、そしてヤる。うむ、実にケルトだな。
ケルトらしくない所と言えば、
「襲おうとして失敗して関節極められたまま尻に敷かれている所かね」
「ぬがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「やかましいぞ、静かにしろ」
「揺らすなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ん? 揺らすな? 揺らさないでください、だろう?」
「ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
いや実に五月蠅い。こいつ本当に何とかならんのかね。
そう言う訳でこいつに釘を刺すことにする。上腕に一本ずつ、前腕に一本ずつ、大腿に一本ずつ、下腿に一本ずつ、両の足の甲から裏に貫通するように一本ずつ、両掌から手の甲に貫通するように一本ずつ、そして心臓に三本。
突き刺した釘には様々な呪詛を刻み込む。神格を削ぎ落とし、体力を奪い、力の上限を引き下げ、回復速度を減衰させ、信仰の一部をバイパスして全く関係の無いところに放出させる。主神を意味する
全能ではない以上、全てにおいて善性であろうとすることは不可能だ。しかし悪性を無くしてしまった以上、心から救いを求める無辜の存在に対して無視を決め込むこともできなければ滅ぼすこともできはしない。そう言う事ができるとするならば、自身が全く手を触れていないところから生まれた悪意や悪性の存在に対してだが、そう言った悪性については自身と同量正反対の力を持ったもう一柱の自身によって司られている。そして、完全な善性の存在は悪性の事を行うことはできないが、完全なる悪性の存在はやり方次第で一見善性に見えることを行うことができる。勝手に食らい合い、善性の方が消滅することだろう。
そうすれば、残るのは俺の紐付きの悪性神。善性を滅ぼした結果、その世界がどうなるかは俺は知らんが……まあ、少なくとも俺の所にちょっかいをかけてくることは無いだろうよ。ちょっかいを掛けようとしたら死ぬしな。
……そう言えば、結構前から大分静かになった。途中まではだいぶ悲鳴を上げていたような気がしたんだが……金色だった髪は白くなっているし、やり過ぎたかもしれんな。