俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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 そう言う訳で若干キリスト教に触れます☆


神話世界漫遊記(どうも立川にいそうな聖書系神話+α編)
竈の巫女、海を割る


 

 物理的に海を割るなら、障壁系がいい。可能ならば無色透明にしておくとより幻想的な光景が拝めることだろう。幻想的だからよい、現実的だから悪いと言ったことは無いが、それでも多くの者が美しいと思える光景と言うものは大概どこかになんらかの法則と言うものが存在している。自然的であったり、逆に幾何学的であったりとその法則は様々な違いがあれど、基本的に絶対の基準などと言うものは早々存在するものではない。

 俺が人間だった頃に絶対だと言われていた物理法則や科学の原理等も様々な形で例外が存在したし、今の世界からすると物理法則以外にも魔術や魔法的な法則といったものが存在すると言うことはある種の自明の理と言える。現実に存在するもので、たった一つの法則に全て支配されている物などそう存在するものではない。だからこそ北欧のルーンを五行相克に当て嵌めるなどと言う真似ができるわけだが。

 エジプト神話圏を辞してギリシャ神話圏に戻ったヘスティアを追って俺も行動を始めたが、この時代の世界は繋がり部分が薄かったり歪んでいたりするので通り抜けしづらい。できないことはないので問題ないが、問題がなくとも面倒はある。

 そういった場所を刺激しないように走り抜けようとするが、大概そういった場所には何かがあったりする。天を衝く山脈であったり、深い深い地の裂目であったり、細長い海であったり、世界と世界の境にはなんらかの形で地形が存在していたりするのだ。

 そして、エジプトの存在するアフリカ大陸と、すぐ近くに存在するユーラシア大陸の間には二つの海が存在している。

 片方は大陸の内部に入り組んだ海であり、ポセイドンの支配領域でもある地中海。そしてもう一つは細長く、人間から見れば深いが海全体からすればそこまで深いわけでもない海。紅海だ。

 だが、何があったのかそこに多くの人間たちがいた。大半は襤褸を着ていて、はっきり言ってしまえばみすぼらしい。靴もなく、長く歩くのに苦労しそうだ。

 そんな人間たちが、必死に祈りを捧げている。どこの神にかは知らないが、少なくともギリシャ神話系の神格ではないと言うことはわかる。

 ……エジプトからの逃亡者たちが、紅海で、祈りを捧げて……ああ、なんとなくわかった。ユダヤ教系の前身だ、これ。このまま放置しておけば恐らくどこかの予言者だか奇跡を起こす者が現れて十の戒律を守ることを条件に海を割って逃げ道を作ってくれるやつだ。

 

 あと何年かはわからないが、しばらくすればユダヤ教の救世主とやらが生まれる可能性がある。正直それは面倒だし、それのおかげで色々世界が荒れたり魔術が衰退したりと様々な影響が出るわけだが、悪いのは当時の教会の権力者共な訳だし、その罪まで押し付けるのは―――ああ、そう言えば全ての人間の罪を背負ったんだっけか。じゃああいつが悪いわ。殺しとくか?

 

 それはともかくロードローヴァーを駆って海に突撃。海面をそのまま走るなり凍らせて走るなりと色々方法はあるんだが、今回は割ることにした。海底の光景とかなかなか見れる物じゃないからな。たまにはいいだろう。この辺りの海神って誰だったかね? ポセイドンでは無い事は確定なんだが、紅海あたりの海の神格……? 誰だ?

 ……地中海はポセイドンだが、ギリシャ神話的に言うのならば地中海以外はオケアノスの領域だ。まあ、わからないが割れないことは無い。それに、割れはしたが繫がりを断つことはしない。水は流れる物だからな。

 空中を水の帯が流れるように固定しよう。魚たちはこの水の橋を渡ると良い。落ちたら人間達に食われてしまうから、落ちないように気を付けな。俺はさっさと去らせてもらおう。この光景が持つのはあと七日。それまでに人間達が渡り切れなかったら溺れるのみだ。

 では、行こうかね。更なる果てに。

 


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