俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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竈の巫女、ぶっちゃける

 

 城之内と呼ばれていたエロ小僧は、最後には男を見せた。一口食べた時点で顔が蕩けた時にはこれは駄目かもなと思ったが、最後の最後にはちゃんとカレーではなく友情を取った。美しい友情だな。尊敬するよ。なにしろ俺にはそこまでできる友はいないもんでね。

 そんな美しい友情に応えて、名前を教えてやることにする。言葉で伝えるのもありかもしれないが、あえて文章で教えてみるのも面白いかもしれない。読めない文字を出されてそれをどうするのか。まあ、読めるだろう本人に見せるのが一番楽だろうがな。

 言葉にしたところで古代エジプト語の名前を西暦2000年辺りの高校生が正確に発音できるとも思わないし、ここはやはり名前を紙かなにかに書いて見せるのが一番だろうか。

 そう言うことで名前を書いた紙をくれてやる。カレーのおかわりはやらないが、まあ苦しめ。

 そしてその紙が王に渡り、王がその名前を知った瞬間にこの世界に終わりが来た。

 ゆっくりと王の身体が崩れ始め、砂となる。遊戯盤から魂が弾き出され、未来の魂も元居た場所へと戻ろうとしている。なにも言わず、突然に消えていくその姿を見送るのは、数人の神官たち。約一名はカレーの皿を抱えている辺り既に手遅れと言えなくもない。

 

 ……そして、プレイヤーのいなくなったゲーム盤はその活動を止めた。動き回っていたキャラクター達はその動きを止め、砂となって消えていく。周囲に存在していたものが消え去り、そして光すら存在しない世界の狭間に溶けて消えた。

 ……まあ、未来の不安のほぼ全てが取り除かれたと同然の状況で消えたんだ。幸せとは言えないかもしれんが不幸ではなかったろうよ。

 死の恐怖に怯えることもなく、いつの間にか消える。まるで俺のような死に方じゃないか。いつか未来で神様になれるかもしれんぞ?

 

 俺も、そろそろ戻るかね。世界の狭間と言っても、何もない訳じゃない。空間さえ広がっていればそれを足掛かりに行動できるし、本体とも言えるヘスティアとの繋がりを辿れば簡単にとはいかないが戻れる。

 ちょいと場所がずれるかもしれないが、歩くなり走るなりで十分戻れる範囲だ。世界さえ違わなければできて当然。時間はかかるかもしれないが、今回のは今までの旅行に比べてかなり短かったからな。時間はまだまだある。

 それに、ケルト神話領域と他の神話領域は既に繋がり始めている。帰還ついでに行けなかったケルト神話圏に行ってみるのも悪くない。

 ただ、時代を間違えると大変なことになる。ついさっきまでエジプトを模した世界の複製品の中に居たわけだが、時間の流れが外の世界と違っている。一瞬にして数年、数十年が過ぎることもあるし、一年過ぎても中では数週間や数日と言うことも無くはない。

 言ってみれば週刊誌のようなものだ。修行のために数年過ぎた、と言う形でその数年を一瞬で過ぎ去らせたり、逆に戦闘などでは何週間も何ヵ月間もかけてたった三分の殴り合いの試合を描く事もある。

 それと同じように、時間の流れが早くなったり遅くなったりを繰り返していたのがさっきの世界であり、しかも何度も何度も巻き戻って繰り返されることすらあった。そんな世界が崩壊した時、それまでは在る程度整合が取れていただろう時間の流れがまともであるだろうか。否、まともであるはずがない。

 

 何が言いたいかと言えば、多少の時間のズレは仕方ないと見逃してくれ、と言う事だ。ではな。

 




 
 今回のバクラ&アテム(最終回)

アテム「勝ったぞぉぉぉぉぉぉぉ!!」
バクラ「イワァァァァァァァク(ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ)
アテム「逆wwバクラwwwwぎゃくwwwwww」
バクラ「……俺様は滅びねぇ! いずれ第二第三の俺様が……!」
アテム「そう言うのいいから」
バクラ「 」

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