俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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竈の巫女、暴露する

 

 さて、この勝負の勝利条件は何だったか覚えているだろうか。忘れていても全く問題は無い。正直に言って私もあまり興味が無かったから忘れていたしな。

 ともかく、勝利条件は『本来の記憶において王が死ぬまでの間に隠された王の名前を知ること』だった。誰もがその名を知らないし、そもそもその名を付けた者は既にこの世からいなくなっている。

 だが、この王が入ってきたという石板には間違いなく王の名が記されていた。その名の部分だけが削り取られて分からなくなっていたそうだが、この『記憶の世界』には削れていないそれがあったのだと言う。問題は、そもそもその石板が安置されている所は罠が大量に仕掛けられているせいで入ることができず、当然そこに書いてある名前も読むことができないことらしい。

 ……俺からすれば、入れたところで恐らく日本人であろうこいつらがこの時代のヒエログリフを読むこともできなければ正確に発音することもできないだろうと言う懸念があるんだが、こいつらはそこのところをどうするつもりなのかね? 考え無しか? だとすると阿呆としか言いようが無くなってしまうんだが。

 

「あーあ、だれかもう一人の遊戯の名前を知ってる奴はいねぇのかよ?」

「もう一人の遊戯、とは?」

「ん? あー、王様の事だな。よくわからないが千年パズルの中にもう一人の遊戯が居てよ。遊戯がパズルを完成させた時に遊戯と入れ替われるようになって……あー、まあ色々あって本名を探してるんだよ」

「ほー」

「いろんな奴に聞いてみたんだがわからなくてよ。しかも名前が隠されているはずの場所には罠がいっぱいで入れねぇし、罠の内容を知ってる奴は教えてくれねぇしさ」

 

 まあ、普通に考えて教える奴が居るわけないわな。そもそも知っている奴が居るかどうかからして怪しい。石板から名前の部分だけ削り取ったのが未来のアクナディンらしいが、少なくとも現在はそのことを知る者はいない。未来から来ていると言う事は恐らくプレイヤーはあの狂信者とこの王、そしてさっき名前が出てきたミイラとなったアクナディンだろう。その結果、アクナディンは名前を知っていても伝える手段がなくなっているため勝利条件を満たしているものの相手の勝ち名乗りを聞かずに時間切れを待つ以外に勝利する方法は無くなり、更にこの記憶の中においてアクナディンは拘束されているため行動することもできない。

 だが、こちらの王の方も本当の名を知ることができないまま時間切れを迎えようとしている。真の名を知らずにゾークを倒すことを想定していなかったためにまだ続いているが、本当ならば時間切れはゾークが倒れ、ゾークに連なる者がこの記憶の世界から全て消えるその時までだったらしい。

 残された時間はあと一日。その間に真の名を知らなければもう一人の遊戯こと王は死ぬらしい。

 

 ……。

 まあ、聞かれたら返すってことでいいかね。

 

「でさ。ねーちゃんは何か知らないか?」

「知ってるが人の胸元をじろじろと見てくる小僧には教えん」

 

 まあ、背の割にでかいから見たくなる気持ちはわからんでもないが、それで不快にならないかはまた別問題な訳で。

 




 
 今回のバクラ&アテム

アテム「お、キーキャラクター見っけ」
バクラ「……」
アテム「悪いなバクラ。……バクラ?」
バクラ「……」

バクラ「ゴフッ!」
アテム「!?」

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