俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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竈の巫女、ぼやく

 

 狂信者が死んだ! この人でなし! 実際人ではないからもう何も言えんなこれは。

 そう言う事で狂信者が死んだ。どこかから血反吐を吐いたような、ストレスで胃に穴が開いて大出血した結果吐いた血液が床を叩くような粘ついた水の音が聞こえてくるような気がするが恐らく気のせいだ。気のせいでない訳が無いから気のせいだ。気のせいであることを気にしていては何も始まらないので最近強化されてターメリックドラゴンだけでなくクミンドラゴンとコリアンダードラゴンも宿した代わりに若干多重人格気味になっているキサラに新しいカレーを味見させつつ、現状を眺めている。

 死んだ一人と、一時的に投獄されている一人を除いた四人の神官と王の五人に対し、狂信者は一人で勇猛に戦った。しかし、やはりと言うべきか数の暴力には勝てずにその命を散らしてしまった。千年秤によって神官本人とも言える精霊を取り込んで一時的に手駒とすることを繰り返して神官セトを裏切らせ、さらに融合による強化に加えて周囲の怨霊を集めて魔力を使った攻撃を弾く盾を作り上げる。それによってシャダの精霊の効果を弾くようにもなった。

 それによって効果の制限を受けなくなり、精霊デュオスの効果によって今まで倒した魔物の数だけ攻撃力を倍加させる。正確には(倒した魔物の数+1)×(元々の攻撃力)となるらしいが、その元々の攻撃力が凄まじいことになっている以上、狂信者を相手に真正面から立ち向かう事の出来る存在などほぼ存在しない。例外除く。

 

 しかし、真正面から行けないのなら真正面から行かなければいいだけの話。こっそりと後ろに回って背中から心臓を貫くように短剣を突き刺したホヒ(仮)によって狂信者バクラは倒されることとなった。ホヒ(仮)は最近習得した精神加速を使い、かつ全速力で走ることによって誰も追いつくことができないほどの速度で動いた。その結果としてしばらく動けなくなるほどに疲労してしまったが、それでも何とか戦いは終わったのだ。

 その場にいなかった狂信者の背を何故貫くことができたのかと言われれば、そこにはマハードの命令があった。ディアバウンドを操る際に、遠隔で動かしているのならばその繫がりを辿って行けば操っている本人を見付けることができるはずだと。また、千年輪によっておおよその方向はわかることからディアバウンドの宿主は間違いなく王都のどこかに潜んでいることはわかっていた。

 それを探し出し、捕らえる、あるいは殺害することを命じられていたが、ホヒ(仮)は初めは捕らえることはしても殺すことはしたくなかったらしい。しかし戦いの場にいたホヒ(仮)の精霊であるカレー・マジシャン・ガールの目で状況が危険なことがわかっていたので問答無用で殺害したらしい。

 ディアバウンドを使った戦いに集中していたらしい狂信者はいとも容易く討ち取られ、そしてゲームは殆ど終わりとなったわけだ。

 

 ……しかし、終わらんな、このゲーム。勝負着いたんじゃないのか?

 




 
 今回のバクラ&アテム

アテム「おい、終わらないんだが」
バクラ「勝利条件満たしてないからな」
アテム「なんだそれ。そもそも勝利条件知らされてないんだが」
バクラ「お前の名前を知ること。この記憶の世界の中でな」
アテム「……どこで知るんだ?」
バクラ「それを知るところから始めるこった。ちなみにこのままだと俺勝つぞ。アクナディンが知ってるからな」
アテム「なん……だと……!?」

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