俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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竈の巫女、眺めてる

 

 狂気と言うものは、時に様々なものを産み出すことがある。失敗することも多いだろうが、失敗を恐れず行動することで逆に活路を開く可能性もあるからだ。

 特に、まともな神経をしていれば普通は考えないし、例え考えたとしても普通はやらないようなことを当然のようにやってしまう。なんとも恐ろしい事だ。

 だからこそ、あの狂信者はこんな手を使ってきたのだろう。千年秤の力を使い、老神官アクナディンの精霊と自身の精霊を融合させ、自身の悪意を、怨念を精霊を介して植え付けた。自身の怨念がアクナディンの意思より強いと確信できていなければ使うことなどできない手だ。普通は使わないし、俺だって使わない。

 しかし、実行した結果として狂信者は王宮内に手駒を作ることができた。これは狂信者が行動を起こさなければ決してあり得なかった結果であり、そして同時に狂信者にとっては非常に幸運だったと言わざるを得ないことだろう。ボロボロになっていた腕はアクナディンの精霊であるガディウスとダメージを均等化することで半分ほど元通りになったし、手駒を作り、更に千年眼も手に入れたと変わらない状況にまで持ち込めた。これで狂信者の持つ千年アイテムは二つ。後五つ集めれば大邪神ゾークがこの世界に現れる準備ができるわけだ。できたからと言ってそいつの思い通りになると決まったわけではないが。以前復活した時には股間の龍にめがけて放たれた魔法を喰らって悶え苦しんでいたところをボコられてたし。

 

 そんないいところなしのゾークだが、きっと家の中ではかなり威張り散らしているんだろう。内弁慶と言う奴だろうな。実力はそこそこ以上にあるようだが、使いこなせなければ意味は無い。使いこなせていないから、かつてマハードとホヒ(仮)、そしてシャダの精霊に囲まれて叩かれて倒れてしまったんだろう。実に愚かなことだ。ちゃんと鍛えないから……。

 鍛えていないゾークはただのゾーク。鍛えていても結局はただのゾーク。ちゃんと鍛えないとただのゾーク。ちゃんと鍛えてもただのゾーク。このゲームが終わって不要になったらゾークの意思を取り除いた力の部分だけもらって帰って何か作るかね。きっとそれなりの物が作れることだろう。力だけは十分にあるからな。

 

 ……あ、精神に狂信者が混じってることに気付かれて思いっきりアクナディンがボコられている。可哀想に、アクナディンが悪いんじゃないっていうのに。悪いのは大体ゾークの奴なんだ。

 だが、そんなゾークが正座で出待ちしてるとか誰も思わないだろうな。律儀な事だ。

 




 
ゾーク「……」マダカナー

 今回のバクラ&アテム

バクラ「加減無さすぎね?」
アテム「しねぇよ? 絶対しねぇよ?」

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