斯くして世界は黄金となる。黄金とは錬金術における完全物質の一つであり、賢者の石によって鉛などの卑金属より変質して作り上げられるものでもある。つまり、この場合の『黄金となる』と言うのは『完成する』と言うのと同義であるわけだ。
完成された世界とは、その内部だけで全てが完結しているものである。外界と内界を隔てる何かがあり、それが存在している限り内部は何も変わらずに世界が続く。生き物がある程度の数存在して、食物連鎖が起こった場合でもそれは変わらない。数は多少増減するが、一部が極端に増えてしまうようなことはまず無い。物にも依るが、基本的にバランスは取れているものなのだ。
人間にとって最も近くに存在する世界とは、自身の身体だろう。外とは皮膚によって隔離されているが、体外から食物と言う形で栄養を取らなければ保つことのできない不完全な世界。だが、不完全であろうとなかろうと世界は世界だ。けして黄金ではないだろうが。
この世界もまた黄金ではない。記憶の世界とでもいうのか、明確な終焉が存在している。ゲーム盤としては中々に優秀だと思うが、それでも完全とは言い難い。
神の作った遊戯盤ですら完全なものなどありえないのだ。人間が作った物が完全であろうはずがない。完全でないからこそ入り込むことができた俺が言うのもあれだがな。
「要約してもらって良いですか?」
「このカレーはこの時代のこの場所において黄金」
「いただきます」
キサラは凄まじい勢いでぱくぱくとカレーを食べ始めた。これもまかないとして出しているんだが、それを見ている神官シャダやカレマジガールの顔が凄いことになっている。明らかにカレーに飢えた者の目だ。このまま放置しておいても特に何がある訳でもないと思うが、しかしあいつらはここの店ができてからずっと贔屓にしてくれていた客だ。多少の我儘くらいは聞いてやろうじゃないか。
ただ、神代マシマシカレーは絶対に駄目だ。あれはこの時代の人間だと中毒症状を起こしてカレーを食べなければ呼吸できなくなって死ぬ可能性があるからな。ここもかなり神秘は濃いが、神が当たり前のように地上に降りてきていた頃と比べてはいけない。むしろあれは神が世界を作り上げた頃の濃厚さだからな。世界の裏側に消えて行っている神秘がまだこちらの世界に存在していた頃の物だ。
ちなみに俺は世界の裏側で慣れた。あと、神秘に関しては恐らくギリシャ神話圏でもかなり詳しい方だという自負もまああるからな。神秘マシマシカレーを食っても問題ない。
「それはそれとして黄金カレーだ。味わって食え」
「おかわりを」
「味わえって言ったろうが馬鹿野郎」
「おかわりを」
「お前は食ってから言え。冷めるぞ」
「(モッキュモッキュ)……ふぉふぁふぁい」
「口に物を入れたまま喋るなホヒ(精)」
「ホヒ(精)!?」
まあ気にせずいつも通りだ。ただ、地下で蠢いている死霊共がまた静かになった。 世界を周回させる度に食っているのか。いつか発狂しても知らんぞ? もう狂ってるかもしれんがな。
今日のバクラ&アテム
神官セト「王よ!是非神の力を見せていただきたい……」
王「俺が使うのはこいつだ!」クリクリー!
神官セト「オーラ・ストリーム!」
王「爆破!」
神官セト「
アテム「ところでこれって実際にはどういう計算式だ?」
バクラ「分裂した数×300。1000000に分裂すれば300000000」
アテム「 」