俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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盗賊王、侵入する

 

 深く、深く、大地に潜って移動する。気配を辿られないように。例え辿られたとしても攻撃を受けないように。深く、深く。

 第一の能力である壁抜け。そして新たに手に入れた闇迷彩の能力により、太陽光の届かない場所にて姿を隠すことができるようになったディアバウンドは、暗い地下からじっと神官たちを見つめている。

 見付かりそうになれば隠れ、攻撃されそうになれば隠れ、ひたすらに身を隠して逃げ回りながら必要な情報を得て行く。鼠のように、百足のように、蛇のように、密かに動く。

 

 ディアバウンドは強い精霊だ。だが、一部の神官共はディアバウンドを簡単に滅ぼすことができる程度の実力があるようだし、衛兵すら数人がかりでならばディアバウンドと対等以上に戦うことができるようだ。どう考えても人間じゃない。

 そうして到着した王宮の地下。恐らく、罪人達への拷問や処刑を行っていたと思われる場所にディアバウンドは到達した。

 その場所は、砕け散った人間の死体と怨念に溢れ返っていた。恐らく、元々存在していた地下の大空洞に死体を落としていたのだろうが、そこには既に先住民がいたようだ。

 暗黒の中で生き続けたが故に光を感じることはできず、食物と言えば同族か、時折落ちてくる人間の死体のみ。それらを喰らいながら、この小さな先住民達は怨念を浴び、身体を変質させながら生きてきたのだろう。

 ディアバウンドの存在は、魔力の弱い者や少ない者には感知できない。しかし、ここにいる存在の殆どはディアバウンドの存在を確認しているようだ。瘴気の中で生き、瘴気に適応した生きる屍。かつて人間だったと思われるそれらは、その多くが人間の形を失っていた。

 

 ───実に、都合が良い。

 王や神官に恨みを持つ怨念と、その怨念によって魔物へと変わった人間のなれの果て。使い道はいくらでもあるし、これが居なくなっても誰も気にも留めないだろう。

 残念ながら既に死んでいるこの存在を生贄とすることはできないし、これらの存在の事を今の王は知らないだろうからあの王の民を生贄として使って作り上げた千年アイテムでこの国を滅ぼしてやると言う小さな目的の一つを果たすこともできない。

 だが、それでもここにある怨念や先住民たちは、ディアバウンドに食わせればいい養分となることだろう。怨念を纏め上げ、吸収し、より強くなる。まさかこんなところにこんないいものがあったとは。かつての王に礼でも言ってやりたい気分だ。礼を言うためだけに墓荒らしをしてやろうか? 返事は墓の黄金で良いぜ?

 

 ただ、食欲と王族への恨みだけでできている存在などディアバウンドの敵ではない。むしろ、そう言った感情はディアバウンドにとっては味方になる。

 怨念を吸収し、その場に存在する亡霊、怨霊の一切を喰らいつくす。そうすることでどんどんとディアバウンドの力が上がり、最後の一体を喰らう頃には何百、もしかしたら千年以上も熟成された負の感情を取り込んで力としたディアバウンドはこの場所に来る時の数倍、もしかしたら十倍以上もの力を得た。

 この力で、まずはあの老いぼれ神官から千年アイテムを奪い取ってやる……!

 

 ディアバウンドに調べさせている間に気付いたことがある。この王宮には、異常なほど強いものと、そうでもないものの二種類が存在している。

 強い者の筆頭は、千年錠を持つ髪の無い神官、シャダ。まさか掌圧に魔力を乗せて放つだけで数十m離れた地下にいるディアバウンドに衝撃を当てることができるなど思ってもいなかった。

 次に、一部の衛兵ども。強い奴と弱い奴が混在しており、見ただけでは強い衛兵か弱い衛兵かを見抜くことはできない。

 だからこそ、奪えそうな時に、奪えそうな奴から奪い取って見せよう。一つ手に入れるごとに、千年アイテムに宿る闇の力、クル・エルナ村の人間達の怨念を吸収して俺様……私は強くなれるのだから。

 




 
 今日のバクラ

「おっ!記憶にこんなところがあったのか……ラッキー! これでディアバウンドの強化ができるぜ!」

「……」
「…………」
「…………? 何も、起きない……のか……?」

 トントン

「ん?」

「もっと! 熱くなれよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

                     _,..、__,,_ 
                   _y'彡三三≧=、 
                 ,イミt彡三三三ミミヽ、 
                 、j'ミミシ'"`ー---=ミミミミt 
                 }ミミリ   、,    Vi|リ! 
                 '、ミ! -=、_,ハ、__,.=- lj州 
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                 `゙! `¨,.´ ゙、゙¨´ jリソ 
                   、. /'-、,-'ヽ ... /´ 
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         ト.,_ '、_ ', | ;    ||   |:::::,イて//   ' / /    '、 
        ,ハ `' 、ヾj |    ||   「レ'  {ソ     ,' / ,. -__,. } 
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      /      ソ! ;|    ||   iJ         l f_ / '´  '、 
_    ん- 、 、  ,ノ ', l!     ||   |||         l ト、'  _,. -__,.ヽ 
  `¨`ヽ'^'ー ミヽヽ ノ  ,};:'    ||   |||         | | ,ゞ彡'´ -‐ ーミi 



「耳がぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァァァ!!!?」

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