いやしかし、懐かしい。俺がこうして他人を縛り上げたのは、俺の義理の娘の妻が俺の家で致そうとしたのを止めた時以来だ。
その前はアポロンハムを作ろうとした時で、さらにその前はゼウスの暴走を止めた時だった気がするな。まったく、ギリシャ神話の神々は暴走するやつが多すぎる。暴走するにしても他人に致命的な迷惑をかけないように気を付けつつの暴走ならまだしも、自分の安全すらも度外視した欲望の暴走が多すぎる。本能的すぎるのも困ったものだ。
その欲望が生物的な物だったらまだしも、生きるのに必要のない欲の暴走と言うのもまた救えない点の一つでもある。俺が縛り上げるのも仕方無いだろう。
それはそれとして、縛り上げたままぶら下がっているこの阿保娘二人をどうすればいいだろうか。流石に亀甲縛りはやり過ぎだと思い蓑虫のように縛り上げたのだが、その状態でぷーらぷーらと揺れて楽しまれてはなぁ……。
「むもむんむむぃ!」
「はふへぇ!」
「聞こえんな。カレーが美味くて何も聞こえん」
楽しんでないだの助けてだのと言った言葉なんて全く聞こえん。全くもって聞こえん。さて、俺は食事も終えたことだし仕事に戻るとしようか。
「( ゚q゚)」←涎だらだらなシャダ
「( ゚ー゚)」←涎を呑み込むセト
何と言うか凄く見つめられているが知らん。こんなものを現在の人間に食わせられるかと。神代の存在、それも神格すらも魅了したカレーだぞ? 今の人間なんぞが口にしたらカレーのために生きカレーのために死ぬ亡者になりかねん。
俺はちゃんと色々考えているんだ。その時代の人間が食べても全く問題の無いように成分やら神秘の量やらを調整して、後遺症やら依存傾向やらを確認した上で『なくても死にはしないし生きる屍にもならない』と言う量を選んで作っている。
……考えないで作った結果が古代メソポタミアのあのカレーであり、あの現象だ。まさか三週間程度で神格が正気を失うとか、予想できるわけが無い。ギリシャ神話での依存については俺の口から出まかせが予言の権能を通じて真実になってしまったからそうなったんじゃないかと思っていたし、世界が違えば予言の効果も失われるはずだと思っていたからあの時には割と本気で驚いたものだ。
それ以降はちゃんと実験やら何やらを繰り返して食べられる物を作ってきた。その時代に存在する神秘の濃度から逆算してある程度の試算はできるようになったし、そこまで難しい事でもない。昔は死罪が確定していた奴に何度も何度も食わせて影響やら何やらを確認したりしていたのだから、ずいぶんと効率的になったもんだよ。
今日のバクラ
「小指……絶対切断されたと思ったのに、切れていない、だと……!? どうなってやがる……?」 ※魂だけ切られています
「だが、動かそうとしても小指だけが動かねぇ……いったい何が起きてやがる?」 ※小指だけ支配権がバクラから獏良に移っています。
「……まあ、痛みも感じなくなった。これなら後は左の小指を守れば」 ※フラグ成立
ザバーニーヤ!(小指の神経を映し出して梳る)
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」