この世界はやり直しが効くから遊べるが、必ず遊ばなければいけないわけではない。遊んでもいいし、真面目に働いてもいい。今日もシャダとお付きの衛兵達がカレーを貪るように食べ、神官セトはようやくキサラと少し話ができるようになった。長かったな。
そう言えば、キサラだ。キサラの内側には白い龍が居たんだが、最近なんだか白からカレー色に染まってきている。カレーの染みはなかなか落ちないし、恐らくこの変化も元には戻らないだろう。薄くはなるかもしれないがな。
ブルーアイズターメリックドラゴン……まあ、単語のバランス的には悪くはないが、ホワイトとかブラックの方が合っているな。元々白だったわけだし。
しかし、白かった頃よりも能力自体は上がっているように見える。本来持っていなかった効果も持っているようだし、他のカレー精霊との相性も悪くない。
ブルーアイズ・ターメリックドラゴン
カレー属性 ドラゴン族
攻撃力4500 守備力3800
効果
場にカレー属性の存在が居る限り、この魔物は攻撃対象にならない。
このカードが場に居るとき、自分の場のカレー属性の存在は戦闘で破壊されず、戦闘ダメージを受けない。
この魔物が場に居る限り、フェイズ毎にカレー属性の存在は攻撃力・防御力・
これはやばいな。最悪俺でも負けるぞ。主にターン毎ではなくフェイズ毎の上昇ってのがやばい。
言ってみれば1ターンの間にドローフェイズで一回、スタンバイフェイズで一回、メインフェイズ1で一回、バトルフェイズで一回、メインフェイズ2で一回、エンドフェイズで一回、計六回効果が発動するだけでなく、相手ターンでもお構いなしに発動するからな。はっきり言ってやばい。
これは俺も強化が必要だな。この世界では精霊あるいは魔物は人間の強い意思によって強化されるらしい。何らかの形で意思を吹き込めば更なる強化が見込めるわけだ。
そう言うことで、精霊の強化のために最近カレー作りの腕が上がってきたキサラと偶然遊びに来ていたホヒ(仮)の精霊であるカレー・マジシャン・ガールに店を任せてアクナムカノン王の王墓へやって来た。ちなみにカレー・マジシャン・ガールは一日カレーの大皿8杯までの無料券で釣ったら釣れた。はっきり言ってちょろい。
しかしそんなちょろいカレー・マジシャン・ガールだが、実力は確かだ。神官シャダや衛兵達も時々見回りついでに寄ると言っていたし、まあ問題なかろうよ。
アクナムカノン王の王墓に来た理由は簡単だ。ここが荒らされていると言う話なので、ここに盗掘に入って死んでいった盗掘者達の魂を集め、怨念やら何やらを抽出してからエジプト神話世界……とは少し違うが、この世界の冥界に放り込むためだ。
抽出した怨念や憎悪、恐怖や後悔などの無数の感情は炉に放り込んで分解し、純粋なエネルギーとして自作の精霊に吸収させる。結果的に俺の精霊は力を増し、冥界に行かずに現世に留まる霊魂は減り、ついでに罠もよりえげつなく改造するから新しく入ってくるのが難しくなる。一石三鳥か。
アクナムカノンのが終わったら次は近場のピラミッドにでも行こうかね。どうせそこでも大量の罠で殺された盗掘者の死体と霊魂で溢れ返っているだろうし、その辺りのも纏めて頂いていくとしよう。どうせ本来捨てとく物だろうしな。資源は有限だ。有効活用有効活用。日本のもったいない精神は未だに俺の中に生きているからな。
……三つ子の魂百まで、ってのはよく聞くが、まさか億年単位の時間が過ぎても変わらないとは思わなかった。驚きだ。このままなら神として俺が死ぬまで変わらないかもしれないな。
今日のバクラ
「クッソ……ケツは守りきったがなんかすげえ汚し尽くされた気分だ……必死になりすぎて進めた場所も忘れたし……」
「はぁ……また始めっからか……」
「……!? はぁ!? アクナムカノン王の王墓で盗賊王が死んだ!? 何があった!?」
「…………罠が近代化されてる……だと……!? この時代に赤外線照射装置とか無いだろ……どうなってんだよ……!?」
Y<タイヨウバンザイ!
「徹夜明けの目に太陽光がァァァァァァァァ!!」