「カレーは最高、カレーは美味しい、カレーは最高、カレーの美味しさを知ってもらいたい、カレーは最高、カレー屋を探そう、カレーは最高、カレー屋で雇ってもらおう、カレーは最高、カレーは正義、カレーは最高、カレーは至高」
「カレーサイコウ、カレーオイシイ、カレーヤサガシテヤトッテモラオウ、カレーヒロメヨウ、カレーサイコウ、カレーハセイギ・・・・・・」
……よし、洗脳完了。弱った心に洗脳はよく効くな。ここまでこの娘を追い詰めてくれたエジプトの民には感謝してやらねば。髪形を変えやすいように一日一メートル髪が伸びるようにしてやろう。栄養や最大細胞分裂回数はそっち持ちだからすぐ禿げるようになるがな。その辺りはもう自業自得ということで諦めてもらうとしよう。あと死ね。
さてそう言うことで俺のカレー屋でこの娘を雇うことになったんだが、国家が直接運営しているわけでもない以上、俺はこの国に税を払わなければいけない……のは、遥か未来の話。今ならばわざわざそんなことをしないでも普通に店を出すことができる。この国の神官団や王をカレー漬けにしてやればさらに簡単にそれができるようになるだろう。
危険な薬物は入ってないぞ? 中毒性も今、この国に暮らしている人間ならば普通に問題なく受け入れられる程度だし、具体的にはまた食べたいなとなんとなく思うくらいにまで落ち着いている。
まあ、もしも未来から何らかの方法でやってきた誰かに直接こういったカレーを食べさせた場合、どうなるかの保証はできんがね。
「俺はカレー屋だ。お前が探していたカレーを作り、そして売っている。カレー屋を見つけたお前はどうする?」
「カレーヤ、ミツケタ、ヤトッテモラウ」
「名前は?」
「ナマエ。ワタシ、ナマエ、キサラ。カレーダイスキ。ミンナニヒロメタイ」
よし、じゃあキサラな。名前を呼ぶことによる弊害? ああ、あれは勘違いだ。むしろ名前をつける方がやばい。実は呼ぶのも世界の中での存在の重さが上がるからやばいと言えばやばいんだが、まあホヒ(仮)は俺がつけたんじゃなくて本人が言っていただけだから気にしなくていいだろう。
本人は顔を真っ赤にして否定するだろうが、残念ながらまともに呼んでやることはできないんだよな。残念ながら。別に反応を楽しむためにいちいちそうやって呼んでいる訳ではない。結果的に楽しんでいることまでは否定しないが。だから俺が悪いわけではなく、本人が名乗った偽名を偽名だと理解した上で呼んでいるわけだから何が悪いかというとホヒ(仮)が悪い。
万が一、ホヒ(仮)が英雄の座に召し上げられた場合、本名であるマナではなくホヒ(真)として登録される可能性もあるが、俺は悪くない。
……そうそう、言葉による重さが増すと言う話だが、この現象を上手く使うと言霊使いの真似事ができるようになるらしい。
普段は重さが増さないように気を付けているんだが、逆に重さを増すようにしながら発言すると現実が言葉の通りにねじ曲がると言う現象が見られる。なお、ねじ曲げた後はその形が正しいものとして世界は続くし、その現象をあくまで物理的かつ表面的なものにしておけば世界そのものに大きな影響は出ないと言うところまで確認できた。
これを使えば、割と簡単に様々なものを作り出せるようになる。細かく正確に作らなければいけない物だったり、あるいは材料が非常に稀少な物だったりしなければ、普通に作るより遥かに早く作れることだろう。
まあ、これでカレーを作った場合、かなり残念なカレーになることはまず間違いない。最低限カレーと呼ぶことができる物ができれば御の字。実際にはカレー粉を水に溶かしただけの物ができる可能性も十分にある。まともに食えたものじゃあないだろうから、そういう使い方はまずやらんだろうな。
今日のバクラ
「……」
「……ああ、わかってる。次は何が来るんだ?」
ズラァッ!
「……湯の入ったカップ麺の群か。ほれ、一思いに右をやれ」
スゥッ……←カップ麺のパッケージがNO!NO!NO! に変わる
「……なら、左か?」
スゥッ←再びNO!NO!NO!
「……両方か?」
スゥッ←YES!YES!YES!
「……オラオラか?」
スゥッ←YES!YES!YES!YES! OH MY GOD!
バシャァッ!バシャシャシャァッ!!
「アッツゥゥゥアアアェェェイ!!」