俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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竈の巫女、話し合う(バクラネタ開始)

 

 知性のある生き物であれば、およそ共通する行為と言う物がある。知性の無い生き物……例えば単細胞生物などにも共通するような物を除くと、それはコミュニケーションと言う一つの物に絞られる。それも、排他的なコミュニケーションではなく、友好的な物だ。

 植物プランクトン同士が酸素や養分などの限られたリソースを奪い合う事で起きる、他者を排斥するための行動。それが排他的なコミュニケーション。野生動物で言うならば縄張り争いが、人間で言うならば宗教戦争などがこれに含まれるが、こういったコミュニケーションはどれだけ進化した生物であろうとも関係なく行われている。

 そして友好的なコミュニケーションと言うと、人間では主に会話と言う物があげられる。無論、会話で行われる排他的コミュニケーションと言う物も普通に存在するのだが、動物であっても威嚇と言う形で存在しているのでおかしなことではないだろう。結局のところ、ツールが変わったところで使う側が変わらなければ結果的な違いとしてあらわれることは早々無いと言う事だ。

 

 だが、もしも会話に使うツールは同じであるにも拘らず会話に使う言語などに差異があった場合や、あるいは初めからお互いに好意的なコミュニケーションをとることを考えていなかった場合には、その間に立ってお互いの言葉を通訳したり、意思のすり合わせを行う存在を入れることで会話をし、好意的なコミュニケーションをとることができることもある。今回の出来事はまさにそれだろう。

 俺とお師匠様(仮)の間にホヒ(仮)が入ることで、お師匠様(仮)の誘拐されていたかもしれないと言う誤解が解け、いきなり悪意をぶつけられた事によって話し合いの余地なしと判断した俺の間に一時的であるが話し合いの場を設けることに成功した。まあ、それでも少々問題はあるが、それでも何もないよりはずっと良いだろう。

 

「申し訳ない。まさかこのような事故が起きていたとは思いもせず、弟子を救ってくださった方に非常に礼を失した行為を……」

「ああ、まあ、そんな気にしなくて構わんよ。色々と小言を言いながらも大切に思ってるのは伝わってきたし、原因はこいつだしな」

「ゴメンナサイユルシテクダサイ」

「なに? 『ごめんください死んでください』?」

「違いますよ!? と言うかそれわざとですね!?」

「わざとじゃない訳無いだろうに。俺は耳は良い方だし、基本的にからかう時かすっとぼける時くらいしか聞き返さんぞ?」

 

 例外としてふざけたことを抜かした相手に言葉として繰り返させてぶん殴ることはあるが、それにしたってけして多くはない。殴るのは昔はそれなりに多かったんだが、それはあくまでもあっちの方から手を出してきた時に限られた。

 ギリシャ神話の神格はなぁ……どいつもこいつも屑ばっかりでなぁ……屑過ぎて純粋に驚愕するなんて経験は早々できやしないと思うぞ。

 

 まあともかく、会話と言う形でお互いの意思の確認ができた以上、ある程度この都を自由に動く事ができるようになったのと、弟子を助けてもらった礼として多少の便宜を図ってもらえるようになった。

 この国の神官団の一人、それも魔物を使役できる千年アイテムを預かる存在に便宜を図って貰えるとは、望外の幸運だと言って良い。

 さて、これからどう動こうかねぇ……?

 




 
 今回のバクラ

バクラ「あん? なんで俺様はこんなNPC作ったんだ? バランスブレイカーも良い所じゃねえか。修正修正……」

 ザシュウッ!

バクラ「突然現れた蟹が俺様の右足の小指をォォォォっ!?」

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